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幸せになる時

お読みいただきありがとうございます。これで最終回です。甘々になりました。

 ミルフィアのウエデイングドレスは白の繊細なレースをふんだんに使った美しいものとなった。一年もの年月をかけて作られたそれは花嫁を最高に美しく飾り引き立て、見る者の目を釘付けにした。

アーサーは人外の麗しさで白の金色の装飾の付いたタキシードを着こなし花嫁の隣に立っていた。


王都の大聖堂で行われた結婚式は両家の親族、知人、仕事の関係者、宰相補佐という仕事の為、第三王子殿下まで出席されるという大事になっていた。

もちろん公爵家なので薄いのだが血の繋がりはあった。


誓いのサインを書きキスをするためにベールが上げられた。ミルフィアの唇に柔らかくアーサーの唇が触れた。瞳は慈しみに溢れていた。


初夜という大イベントが披露パーティーの後待っていた。ミルフィアは、新居で侍女達に湯船に入れられ磨き上げられる運びとなった。

早朝から準備のために起きていたのでマッサージが気持ちよくうとうとしてしまった。


いつの間に終わったのだろう。侍女のダリアが起こしてくれた。侯爵家から付いて来てくれたのはダリアとリオだった。リオは護衛兼執事だ。かなりの腕前になりミルフィアを守るのに相応しいと侯爵家の騎士団長の推薦を貰っていた。


しっかり目を覚ますとダリアにシルクの薄い寝間着を着せられた。


「可愛くて着心地良いけど薄くない?」


「それでも厚いくらいです。世間一般では透けるような物を着るのが普通なんです。お嬢様にはまだ刺激が強いかと思いこれくらいで留めたのですよ」


と得意そうに言った。


「ダリアはどこでそんな知識を得たの?ずっとわたくしと一緒だったじゃないの」


「侍女として先輩の皆様に聞いておりました」


「そうなのね、まあいいわ。あまり透けるようなものはまだ早い気はするもの。気遣いをありがとう」


「とんでもないことでございます、お嬢様、いえ奥様」


「奥様に慣れないといけないのね」


「では失礼いたします、おやすみなさいませ」


「おやすみなさい、ダリア」


夫婦の寝室にはミルフィアが五人くらいは寝られるような大きなベッドが置かれていた。ソファーに座ってアーサーが来るのを待つことにした。

レモンの入った水と果実水、ワインが置かれていた。


ミルフィアは水を口にした。


シャワーを浴びたアーサーが、ノックをして部屋に入ってきた。バスローブを着ている。乾き切ってない髪の毛が気になり、タオルで拭いてあげようとしたら頭を出してきた。可愛い。金色の髪は柔らかくて触ると気持ちが良かった。


「乾かさないと風邪をひいてしまうわ」


「ひかないよ、ミルが乾かしてくれたから。可愛い僕の奥さん。少しワインを飲みながら話をしよう。これは甘いワインだ、ミルにも飲みやすいよ」


「酔ってらっしゃるの?」


「そうだよ、君に酔ってるんだ。ほら少し飲んでご覧、リラックスするから」


「では少しだけ、美味しいわ」


「君は飲める口なのかな、それとも弱いのかな?少しずつ飲んでみよう」


「成人してから少しだけお食事の時に頂きました。お料理に合って美味しかったわ」


「これから寝る前に二人で飲みながら話をしよう」


「いいですね、楽しそうです」


「明日から一週間結婚休暇を貰った。ミルを存分に愛でられる」


「わたくしのことをいつからミルと呼ぶと決めていたの?」


「結婚したら絶対そう呼ぶと決めていた。僕だけの愛称だよ。可愛い寝間着だね。もう少しボタンを外してくれる?僕が外そう、こっちへおいで」


「外すならベッドのほうがいいです」

赤くなったミルフィアがようやく絞り出した小さな声で言った。


「わかった、じゃあこうしよう」

アーサーはミルフィアを横抱きにしてベッドに連れて行きそっと降ろした。

そしてそっとミルフィアを抱きしめ、額、頬、首筋、最後に唇にキスを落としていった。唇へのキスは最初はそっとついばむように、最後は大人の深いキスをされた。


ミルフィアはアーサーのキスに身体が熱くなっていくような気がして何も考えられなくなった。

そっとボタンが外されていきミルフィアの美しい胸の双璧が露わになった。


「綺麗だ、ミルなんて美しい」


アーサーの熱い眼差しに溶かされてしまったミルフィアだった。



気がつくと朝になっていた。昨夜のことを思い出し恥ずかしくなって目を開けると、整いすぎた顔のアーサーがミルフィアを蕩けそうな目で見ていた。


「もう目が覚めたの?身体は辛くない?もう少しこのままいさせて」


シーツに隠れたその下は全裸だった。思わず頭までシーツを被ってしまった。


「顔を見せてよ、ミル。もう少ししたらお風呂に入ろう。僕が洗ってあげる。さっぱりしたら朝食を運んできてもらおう」


「一緒にお風呂に入るの? アーサー様と?」


「アーサーだ、昨夜はアーサーと呼んでくれたじゃないか。忘れたの?」


「忘れてはいないけど」


「休みの間はミルの世話は僕の特権、誰にも譲らないよ。食事からお風呂まで全部僕の楽しみ。器用だからね何でも出来るよ。お風呂の支度は出来ているから入ろう。抱っこしてあげる」


「歩けるわ」


ベッドから降りた途端、思わず座り込んでしまった何故なの?力が入らない。


「今まで随分我慢をしてたんだ。昨日は無理をさせてしまった。だから僕に世話をさせて」


昨夜の事を思い出し真っ赤になったミルフィアだった。


「わかったわ、言う通りにするわ」



お風呂に入っている間にシーツを交換してもらい、朝食をワゴンで運んできて貰った。恥ずかしいのでまだ誰にも会いたくない。

新婚の朝は甘く過ぎていった。








誤字脱字報告ありがとうございます。助かります。


サライはミルフィアが初恋です。自覚して直ぐに失恋しましたが。

小説通り親に押し付けられたら反発していたのかもしれませんね。ミルフィアが予想外の動きをしたせいで道を踏み外しませんでした。

お兄様はもう少ししたら幸せな結婚をする予定です。


次作   貴方の愛は誰のもの? 記憶をなくした私は消えようと思います   を執筆中です。宜しくお願いします。

読んでいただけると嬉しいです。

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