ミルフィアの計画
新連載開始しました。暇つぶしに読んでいただけると嬉しいです。
ミルフィアは金色の髪に藍色の大きな瞳で肌は透きとおるように白く可愛い幼女だ。五歳の時散歩していた屋敷の庭で転んで高熱を出し三日間寝込んだ。
その時に流れ込んできた記憶で、ここが前世で読んだ小説の世界だと気づいた。
彼女を溺愛している両親と兄がいる。父親は金髪でブルーの瞳の長身のイケメン、母親も銀髪で茶色の目の優しい雰囲気の美女、兄も銀髪でブルーの目の格好いい男の子だった。
ミルフィアは自分が将来悪役令嬢と呼ばれバッドエンドを迎えることを思い出し震えが止まらなかった。
十歳の時に婚約者として決められる伯爵令息サライ・スタンレイが貴族学院に入ってから浮気をした挙げ句、婚約破棄をしてくるストーリーだった。
その中でミルフィアはいかにも悪役令嬢らしくサライの浮気相手に嫌がらせをする。婚約者を取られたというプライドが現実を受け止められず色々やらかしてしまうというお約束の物語だった。
たとえ女性に後ろ暗いところが無くても婚約を破棄されたとなれば瑕疵が付いて次の縁談は絶望的になる。それなのに嫌がらせをしたとなると良くて貴族用の修道院だろうか。両親の溺愛具合からするとお金は積んでくれるだろうから環境は良いだろうが自由はない。祈りを捧げて一生暮らすのだ。
そんなことは御免だわ、私はサライと婚約なんてしない。せっかくこんなに可愛い子になったのよ。おまけに家はお金持ち、自分の未来は自分で決めさせて貰おうと決心した。
色々思い出したことをノートに書いておくことにした。小説の強制力でイベントが立ち塞がるかもしれないのだから。
誰にも見られないように鍵付きのノートに書いておくことにした。それをまた鍵付きの机の引き出しにしまった。
そして次にすることは勉強だ。今も家庭教師が来て色々勉強している。語学、教養、マナー、ダンス、礼儀作法、刺繍、ピアノとバイオリンだ。何処へ嫁いでも恥ずかしくないような教育がされているのだと思う。幸いミルフィアは優秀で難なくこなしている。
将来お金に困らず暮らしていくとしたら、経営と経済について学ぶことだろうか。お父様に後でお願いしてみよう。
お父様に昼食の後、勉強を増やしてほしいとお願いしたら驚かれた。今でも結構な時間が取られている。もっと遊ぶ時間があってもいいんだよと言われた。
ミルフィアは遊ぶより未来を変える方が大切なので、勉強が楽しいのですと言って目をウルウルさせてお願いした。
このおねだりの仕方に弱いお父様は兄様と一緒に受けることを条件に了解をしてくれた。
兄様はロハン、三歳上で八歳、頭脳明晰でイケメン、侯爵家嫡男として教育も完璧でミルフィアの自慢だ。
「ミルフィアはどうしてそんなに勉強が好きなの?」
「なんとなくです、やれば頭に入ってくるんですもの、楽しいから色々なことが知りたくなるの。お兄様と一緒にお勉強が出来てとても嬉しいのだけど駄目ですか?」
「そんなことはないよ。ミルフィアと一緒ならどんなことでも楽しいさ。どうせ勉強しないといけないことだったし」
妹に甘い兄はミルフィアに微笑みながらそう言った。
そんなある日玄関辺りが賑やかになった事があった。使用人に聞くとお父様のお知り合いが御子息を連れて来ているらしい。お兄様が対応に連れ出されているようだ。そうよね、男の子はお兄様の相手よね。そのままお庭で遊ぶみたいだ。
安心した私は楽器の置いてある部屋でピアノを弾いて楽しんでいた。
楽しくなるような曲を弾いて気分を上げようと小さな手で一生懸命弾いていたの。
まだ五歳だから指が短くてドからソの五音にやっと指が届く感じなので難しい曲は弾けないけど、子どものためのピアノ曲があってそこからなら選び放題だった。
夢中になっていたら後ろから拍手が聞こえてきた。お兄様と一緒に知らない男の子がいた。
「上手だね、素敵な曲だった」
知らない男の子がそう言った。ミルフィアは思わず兄の顔を見た。
「お兄様そちらの方はどなた?」
「サライ君というんだ、お父様の友達の息子さんだ。今日初めて一緒に遊んだんだけど、ミルフィアの綺麗なピアノの音が聞こえてきて一緒に聞いていた」
「サライ・スタンレイです。父が君たちのお父様とお話があるらしくて、君のお兄様と遊ばせてもらいました」
その名前にミルフィアはびっくりした。こんなに早く出会いがあるなんて思っていなかったから。
五歳で早くも出会ってしまった。困る、どうしていいのかわからなくなった。
取り敢えず急いで兄の後ろに隠れた。それだけで理解してくれた兄は
「妹は人見知りなんだ、さあ外へ行って遊ぼう」
とサライを外に連れて出てくれた。
サライは軽くお辞儀をすると部屋から出て行った。
お読みいただきありがとうございます。誤字報告ありがとうございました。訂正しました。




