エピソード0 第7話
静かにヴァールを見上げたシオンはそこで目に入ってきたキマイラに、
「ヴァールって名前は良いとして!その合成獣…キマイラはどうするのよ!?倒すって言ってもそんな簡単な相手じゃないわよ!?」
と、言ってヴァールに訴えていったのである。
するとこのシオンの悲鳴に近い言葉を聞いたヴァールが、
「いや、何も問題はないさ、マイハニー。少し離れて見ていてくれ、そうすれば問題ないの意味がわかるだろうからな」
と、言ってシオンに自分から離れるように告げたのであった。
この言葉を聞いたシオンは、
「…え?でも…」
と、言ってヴァールの側から離れる事を躊躇ったのだが、ヴァールは、
「大丈夫だ、マイハニー。すぐにわかるから。ほら、離れて」
と、言って半強制的にシオンを自身から引き離していったのである。
これにシオンは、
「あっ、ちょっと、ヴァール!?」
と、言って引き離されたところからヴァールの元に戻ろうとしたのだが、それよりもヴァールはそのシオンの行動よりも早く、
「ほら、いくぞ合成獣!」
と、言って自身の右腕に噛み付いているキマイラの首筋に手刀を落とし、続けて膝蹴りを入れてキマイラの動きを一瞬止めると、
「ほれ、吹っ飛べ!!」
と、言って右腕に噛み付いたままのキマイラの首を自由になっている左手で掴むとキマイラをジャイアントスイングの要領で振り回すと適当なところで左手を離して投げ飛ばしたのであった。
こうしてヴァールに軽々と投げ飛ばされたキマイラは投げ飛ばされた時の勢いのままに未踏空間の壁に叩きつけられ、そのまま地面に落下して少しの間身動きを止めたのである。
この一部始終を見ていたシオンは、
「…えぇ…?あのキマイラをあっさりと投げ飛ばすの…?どうなってんのよヴァールって…」
と、言って軽く引きながらヴァールと投げ飛ばされたキマイラを交互に眺めたのであった。
そんなシオンにヴァールは、
「な?大丈夫だっただろ、マイハニー?」
と、言って話し掛けてきたのである。
そんなヴァールにシオンは、
「…まあ結果的にはそうだったけど…でもあそこまで出来るとはさすがに思わないじゃない。驚いたわよ…」
と、言ってヴァールに言い返したのであった。
こうしてシオンとヴァールが話しているところに投げ飛ばされたキマイラが起き上がってもう一度シオンとヴァールに襲い掛かってきたのである。
これにシオンは、
「…まだ向かってくるか…。これはどちらかが死ぬまで続く戦いになりそうだな…」
と、言って襲い掛かってくるキマイラを眺めたのであった。
そんなシオンにヴァールが、
「ふむ、それならマイハニーに俺のとっておきを見せるとするか」
と、言ってシオンの手を取ってきたのである。