エピソード1 プロローグ
とある仕事の依頼を受けてそれなりに規模の大きな都市にやって来たシオンとヴァール。
その都市の賑やかな大通りを歩きながらヴァールはシオンに、
「めちゃくちゃ色々な商品があるな。マイハニーの実家の近くでは見た事が無い物ばっかりだ」
と、いうような事を言いながら通りすぎる店の商品について話し掛けていったのである。
これにシオンは、
「…見るのは良いけど下手に商品を手に取るのは止めた方がいいよ、ヴァール。色々と危ないからね」
と、言ってヴァールに注意していったのであった。
このシオンの注意を聞いたヴァールは、
「…この街の成り立ちのせいか?王国軍の盗賊殲滅戦を生き延びて逃げ延びてきた盗賊達が作った街だっていう…」
と、言ってシオンに尋ねていったのである。
このヴァールの質問にシオンは、
「そうそう。だから店に並んでる商品もほとんどが盗品で構成されてるって噂がある。面倒事に巻き込まれたくないなら手を出さないのが無難だね」
と、言って大通りを通りすぎたのであった。
そうして目的の邸宅に到着したシオンとヴァールは早速、
「…よし、行くよ、ヴァール」
「了解だ、マイハニー」
と、声を掛け合ってその邸宅に侵入していったのである。
そうして至るところに罠が仕掛けられている邸宅の中を突き進んでいった二人は途中でシオンが、
「…だいぶ進んできたけど…今いるのが全体のだいたい…半分ってところかな?」
と、言ってヴァールに話し掛けたのであった。。
これにヴァールは、
「…これで半分かよ…。マジで噂通りの、いや、噂以上の迷宮要塞邸宅だな」
と、言って返して周囲を見渡したのであった。
そんなヴァールにシオンは、
「とりあえずもう少し進んでどこがどうなってるかをしっかりと頭に叩き込んでいこう。いいね、ヴァール?」
と、言って迷宮要塞邸宅の奥に向かって進んでいったのである。
その後最深部目前の場所まで突破してきたシオンとヴァールは最深部の扉の前で、
「この先に目標の物があるはずなんだけど…さすがにこれだけのトラップを仕掛けた大邸宅の最終フロア、防御システムが半端じゃないね」
「…なぁマイハニー、これどうやって突破するんだ…?」
「まだわからない。とりあえず今日は下見だから、お手紙を置いたらさくっと帰って必要な物を揃えたらまたここに戻ってくるようにしよう。こうするわよ、ヴァール」
と、言って手紙を書くと最深部の扉に貼り付けてこの大邸宅から脱出していったのであった。
その手紙には、
「後日、この邸宅で最も価値の高い財物をいただきに参ります。怪盗ジュノー」
と、書いてあったのである。