エピソード0.5
ある日、修行期間を終え、後継者として認められたシオンとヴァールの二人は国王からの呼び出しを受けて王城に向かっていた。
この道中でヴァールはシオンに、
「何の用があって呼び出しなんて受けたんだよ、マイハニー?」
と、言って尋ねたのである。
これにシオンは、
「それは私もわかんないな…。呼び出しの理由を説明されてないからさぁ…」
と、複雑な表情で言って王城に続く道を歩いていったのである。
そんなシオンにヴァールは、
「何も聞かされてなくても行かないといけないとか、階級制度は大変なんだなぁ…」
と、言って過去の記憶を思い出しながら話したのであった。
この言葉にシオンは、
「過去には階級制度?は無かったの?」
と、言って尋ねたのである。
これにヴァールは、
「ほとんど無かったな。だから今の世界の事を知っていくにつれて、やベーな今の世界、って思いが強くなったなぁ…」
と、言ってシオンに話して聞かせたのであった。
これにシオンが、
「今の時代を生きる私達にはそっちの方が信じられない話だけどね」
と、言って答えると王城への入り口が見えたところでヴァールに、
「それじゃそろそろ私語は止めておこうか。これ以上は本当に止まらなくなりそうだし」
と、言って会話を止めようと話し掛けたのである。
このシオンの言葉にヴァールも、
「了解だ、マイハニー」
と、言って了承したのであった。
そうしてその後少し歩いて王城の入り口に到着したシオンとヴァールは兵士に、
「お待ちしておりました。こちらへどうぞ」
と、言われて王の待つ謁見の間まで案内されたのである。
こうして王に謁見したシオンとヴァールは、
「御無沙汰致しております陛下。シオン・ガブリエル、ただいま参上致しました」
「御初に御目に掛かります、シオンの協力者をさせてもらっています、ヴァールと申す者です。以後、お見知り置きを御願いしたく思っております」
と、言って跪いていったのである。
このシオンとヴァールの言動に王は、
「二人ともそんなに畏まらなくて良いぞ。その方が話し易いからな」
と、言って楽にして良いと話し掛けたのであった。
これにシオンは、
「それではそうさせてもらいます」
と、言って立ち上がると王に、
「それで今日は何の用で呼ばれたんですか?何も聞かされないまま呼び出された感じなんですけど?」
と、言って王に尋ねていったのである。
これに王は、
「いやなに、シオンが無事にガブリエルの正統後継者として認められたと聞いてな、その祝いと同時にこれからも王家の専属トレジャーハンターとして活躍してほしいと伝えようと思ってな」
と、言ってシオンとヴァールに王城に呼び出した理由を話したのであった。
この王の言葉にシオンは、
「…そうですか…。まあ…わかりました」
と、言って何か含みを残した答え方を行ったのである。
このシオンの答え方を見た王は続けて、
「…もちろん、裏の方もよろしく頼むと伝えておく。これで良いな?」
と、言ってシオンに目配せしたのであった。
これを見たシオンは、
「…了解しました」
と、言って王に頭を下げると、
「以上でしょうか?それならもう行っても大丈夫ですか?」
と、言って王に退出したいと話したのである。
これに王は、
「うむ、急な呼び出しをして悪かったな。もう言って良いぞ」
と、言って答えたのであった。
これを受けてシオンはヴァールに、
「良いってさ。行こう、ヴァール」
と、言って謁見の間から出ていったのである。
このシオンの行動にヴァールも、
「マイハニーが出ていくとの事ですから俺も行きます。失礼します、陛下」
と、王に言ってシオンの後を追い掛けて謁見の間から出ていったのであった。
この二人の行動に王は、
「色々と…頼んだぞ、二人とも」
と、言って静かにシオンとヴァールを見送っていったのである。