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白と黒の狭間で ~現冥境奇譚~  作者: 白杉裕樹
第一章
31/35

第28話 激闘、只見戦!5

今回は、体調不良のために作品が短くなっております。


大変申し訳ございません。

 終は大空を見続けた。

「何にも変わってないな。あいつ……」


 くすっと笑うと、彼女が残した一本の剣を見た。

 


 日本刀の特徴である片刃で反りがあり薄くて細身の刃とは違い、叩き斬るための両刃で肉厚な刀身が重量感を醸し出していた。

 そういった意味では、日本刀というよりも西洋刀に近い感じだ。

 両手剣のロングソードに似ている。


 刀身は白く輝いており、どんな素材で作られたのか判らなかった。

 普通の剣ではないのは確かだ。


 微かに魔力を帯びていて、しかも……自分と全く同じ波動の魔力だ。

 


 直刀なのに持ってみると軽く感じる。

 そして……何か懐かしさも同時に感じた。


「向こうの……俺?」

 彼女ははっきりとそう言っていた。


 時々、彼女は訳が判らないことを言っているが、深くは考えない方がいいかもしれない……知らない方がいい場合だってある。



 刀身の中心部分には見たことのない文字が刻み込まれていた。

 紋章みたいな模様も初めて見るものだ。


 剣の使い方は……今まで伊織に散々な目に遭わされながら学んだのだから問題はないだろう。




 今までの訓練は無駄にはならなかったわけだ。

 

(本当に、伊織には感謝だな……)


 終は剣のグリップを改めて握りなおし、剣先を復讐者達へ向け構えた。






 先程の天照のオーバーロードの魔法攻撃により、死霊たちの大部分が崩れ去り大地に還っていった。


 まだ残っている死霊達が天照や巴、忍者群に詰め寄ろうとしていた。


 巴が天照の傍で薙刀を振っていた。

 忍者群も天照に対して、自前の護符で回復を図っている。

「ありがと、みんな。私の方はもう大丈夫だから」

 天照がそう言いながら立ち上がると、改めて周囲を見渡した。


 自我を忘れて暴走した結果、敵味方共に被害が出ているようだ。

 上空を見た瞬間、ハッとしたような表情で後方を見た。


 ここからでは、玄草達がいる場所は良く見えない。



 そう言えば、私の一撃が消された後にあの女神は、あろうことか剣を戦闘結界外から「投げた」のだ。

 そうそう壊れないはずだが、女神が投げつけた剣は戦闘結界を貫通、1枚の戦闘結界が消滅してしまった。


 運が悪く、破壊された戦闘結界を張っていた魔術師が、その反動に耐え切れずに意識を失ったみたいだ。

「さっきの悲鳴みたいな叫び声がそうだったのね」

 どうやら最後の1枚が玄草が張った戦闘結界のようだ。


 天照は残った結界を見ながらホッとした。

 完全に戦闘結界を破壊されると、現実の世界に今、戦闘結界内の現状が再現されることになるのだ。

 それは、只見町が壊滅し多数の死傷者を出す事になる。

「玄くんは……? 戦闘結界の方は大丈夫なの?」

 天照の表情に焦りが見え隠れしていた。

「ほっ、良かった。まだ玄くんのは残ってたわ」

 天照が心底ほっとしたのか、座り込んでしまった。


   

「天照殿、ここは大丈夫だから行ってあげて」

 騎馬を操りながら、死霊達と戦っている巴が言った。


 天照が玄草を心配する気持ちは、痛いほど良く判った。

 本来なら、自分もそう行動したかった。

 しかし、そう出来なかった自分を今でも悔いる時もあった。


「ありがとうね、巴ちゃん、忍者くんたち……」

 立ち上がった天照の表情が、いつもの表情に戻っていた。


「待ってて、玄くん! 今、そちらに行くからね!」

 そう言いながら、天照は振り返ることなく玄草の元へと駆け出した。



 駆け出す天照を見届けた巴は、優しくそして力強く戦口上を挙げた。

「ここで行き止まりだ! この木曽の巴を斃せぬかぎり、ここは通れぬと思うがよい!」

 忍者群も、彼女が駆る騎馬の脇を固めている。


「いざ、出陣っ!!」

 巴が薙刀をまっすぐに死霊使いに向けると、鬼神の如く突き進んでいった。

この作品は、基本的に火曜、金曜にアップしていきます。よろしくお願いします♪


次回は、12月13日0時にアップ予定です。


乞うご期待ください

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