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白と黒の狭間で ~現冥境奇譚~  作者: 白杉裕樹
第一章
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第14話 復讐戦2

ガシャ! ガシャ! ガシャ!




 忍者の一人が“遠目”を使って、階段を確認すると3つの影が登ってきているのが判った。


「どうやら階下の術師が、式神を召喚したようです」

 鎧武者が3体。

 刀を抜刀して、今にも切りかからんとばかりの雰囲気だ。


「よし、鎧武者はまだ階段を登り切っていない。そこで迎え撃つ!」

 濃紺色の忍者服を着た忍者が、もう一人を連れて鎧武者の方へ向かった。


 幸いにして、2階の術者にはまだ自分達の存在がばれていない。

 しかし、先程から何か視線を感じる。 


「外を見て下され。式神のカラスが全体を監視しているみたいですぞ」

 ここでまだ、ばれる訳にはいかない。




カァ……カァ……

 (3階で戦闘が始まったみたいだ。)

カァ、カァ、カァ

 (小競り合いが起きている。)


 外で監視しているカラスが、戦況を主に伝えていた。



 

カラスが2階の隅部屋で、何か光るものを見つけた。

顔を光る方に向けようとしたとき……一本の矢が、カラスの頭を打ちぬいた。


グギャァァ……!


 カラスが一枚の札に戻りながら、焼け落ちていった。



「主よ、戦闘を監視していた式神は射貫きましたゆえ、ご報告を……」

 騎馬に乗った一人の青年が、長弓を構えながら誇らしげに言った。

「ありがとう……一」

「いえいえ、主の命あらば何なりと射貫きましょうよ」

 遠くで終と騎馬に乗った男が理科室前の廊下にいた。

「おや、他にも3つの式神がこの空間を見ておりますぞ……」


 この式神に言われて、初めて気が付いたが確かに監視用の式神が鳥に変化して監視している。

「全て撃ち落とせ……」

「御意」

 騎馬に乗った青年が改めて弓を大きく引くと、矢を3連射した。


「命中っ!」

 青年が誇らしげに言った。

 全て、首を射抜かれて絶命し……火が付いた式神が燃えながら落ちていった。


「よし、自分達は




「監視のもの、消滅したり」

 一人の忍者が全員に伝えた。

「我らに勝機あり!」

 一斉に、階段に向かって火薬玉を投げつけた。


ドゴォォォンッ!!!!


 凄まじい爆風と火薬による破壊が、階段の光景を変えてしまった。

 その爆発力によって崩れ落ちる階段。鎧武者も崩れ落ちる階段と共に下の階へと落下していき……絶命した。

 

 運よく生き残った鎧武者も一部の鎧が爆風によって破損していた。

 破損した箇所を見逃すはずもなく、忍者が刀を取り出すと、鎧武者の破損した部分を斬りつけた。


 そして、もう一人の忍者が首元に刀を突き刺し、発火剤で刀ごと鎧武者に火をつけた。


グギャァァ……ッ!!


 活躍も出来ず、でたらめに刀を振り回すだけで絶命していく鎧武者。 

 


 残るは防御障壁に守られた術師達のみ。


 階段が崩れ落ちたために、下からの援軍も難しい。

 魔術師達は見えない敵に対して恐怖だった。

「て、敵の確認は……で、出来たか?」

 震えながら異能者が言った。


「い……いや、黒い影がいくつか見えただけで……」

「ちくしょう! こんなんなら誘いに乗らなきゃよかった」

 異能者の一人が泣きそうな雰囲気で、震えながら言った。




……そういえば。


「ガキを殺す仕事だが、やってくれるか?」

 ローブを被った魔術師が言った。

「ガキを殺すのに、こんなに金をだすのかよぉ!」

「……そうだ。 前金で一人50万、見事に殺せたら一人200万出す」

 金額を聞いて、驚きながらも笑っていた異能者。


「俺達も魔術に関しては、ちょっとばかり有名人なんだぜ?」

 ローブの魔術師が言った。

「それは頼もしいな。しかし、ガキといっても油断はしない方がいい……」


ギャハハハハ!!


 異能者は大笑いして50万を受け取った。

「俺達にまかせなっ! あんたは気軽に見学でもしてればいいよっ!」



 たったあれだけの金のせいで殺されるかもしれない……


 ちくしょう。

 こんなんだったら、依頼を受けるんじゃなかった。 



 自分達が狩られる方で


 実は、向こうが狩る方。



「目の前に敵っ!!」

 もう一人の異能者の声で、ハッと我に返る異能者。

 全渋柿色より黒に近い服装の音が目の前に立っていた。


「おぉ……忍者(Ninjya)

 異能者の前に立った忍者が自己紹介をする。


「我は主の命により、おぬしたちを討ちに来た」

 式神なのに、どこか人間味のある人形たちだ。


 しかも、式神なのに対魔法、対物理防御護符まで携えている。 


「いざ、勝負っ!!」

 忍者が改めて、宣戦布告してきた。


「人形に負けてたまるかよっ!」

  3方向から、火薬玉が投げつけられた。


ドゴォォォン!

ドゴォォォン!


 防御結界を破るには、一度では無理だ。

 爆発した黒煙と発火が流れ去っても、まだ防御結界は健在だった。


「結界の方はどうだっ!」

「この攻撃なら、後2回は持ちそうだっ!」

 爆発の炎も煙も結界内には入ってこないとわかっていても、思わず避けるポーズをとってしまう。 


 後、2回か……結界が持たない事を考えると、こちらから攻撃をした方が勝機が出てくるかもしれない。

 一か八かの行動だが、お互いの顔を見合わせて、異能者達が魔法の詠唱を始めた。



 結界を解除した瞬間、魔法の詠唱を同時に始めた。


“地の精霊達よ、かの大地に岩柱をたてよっ!……大地の柱っ!

(Spiorad an domhain, cuir na piléir charraige ar thalamh na talún……Colún an Domhain)”


“風の精霊達よ、あの者達を切り裂けっ!……風の切断風

(Biotáillí gaoithe, gearrtha na daoine sin……Géire gaoithe)”



 防御結界が解除されると同時に、忍者に向かって異能者達が魔法の同時攻撃を仕掛けた。

「さすがっ! やるな……!」


 地面からの岩柱が辺り一面にせり出し、空いた空間を風の暴風が刃となって、忍者に襲いかかってきた。

「くっ!」

 さすがの忍者達も全ては避けれなかったみたいだ。

 終が持たせていた護符も何枚かが破れ、消滅しかける物もあった。



 一気に走りぬけて、崩れ去った階段を下りれば援軍がいるはず。

 足場が悪くなったのも気にせず、2人は走り始めた。


 走る……走る。

 とにかく、全てを無視して走る!


 目標は5m先の崩れ去った階段だ。



“風の障壁っ!(Bac gaoithe!)”



 後方に居た異能者が風の防護壁を建てた。

 魔法の詠唱と同時に、手りゅう弾も同時に投げた。


 爆風が土埃をあげて、風に舞って一面に広がっていく。

 これで周囲からの目がごまかせるか?



 少しでも時間を稼いで……っ!

 目的地はすぐそこなのに、遠くに感じる。




 こんな恐怖はもうこりごりだ。

この作品は、基本的に火曜、金曜にアップしていきます。よろしくお願いします♪


次回は、9月27日0時にアップ予定です。


乞うご期待ください

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