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これは“世界”を救う物語。  作者: 高平めめこ
召喚された十三人の勇者
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0-3-21 混合訓練

 クローディアさんと神域について調べてから、一週間が経ち、緑騎士さんと銀騎士さんが死んだという報告が入りました。これで残りは赤騎士さんと青騎士さん、黒騎士さんの三人。私の知ってる人が残るのは嬉しいけれど、あまり知らなくても死んで行くのは悲しい。

 これで一週間前に知った通りになった。これで私の力、というか知識は正しいモノであると認めざるを得ない。この知識では、残る三人の七騎士はほぼ同時に死ぬが、それが何時で、何によるモノなのかは分からない。黒の魔人が三人を相手取るならばクローディアさんも其処に居ると思う。なのにこの三人が死ぬ、というのは何処か納得がいかない。

 どうやってこの三人が倒されるのか気になるけれど、私の知識の範囲では知る事が出来ない。黒の魔人は確かに七騎士を四人葬っているけれど、三人相手をどうにか出来るとは到底思えない。何か別の存在が介入すると言われた方が納得が行くけど、そんな存在がこの世にいるとは思えない。

 死ぬのが分かってもどうなるか分からないからモヤモヤする。黒の魔人を倒した後に何かとんでもない巨悪が生まれるのかもしれないと思うと、この世界はかなり危険な状況にあるのではないかと思ってしまう。


 そんな現在(いま)は青騎士さんと黒騎士さんが王都周辺を十数人の騎士と共に厳戒態勢で周っているそうだ。黒騎士さんの奥の手はかなり強いし、今の私でも正面から受けられるか予想出来ないから良いチームだと思う。

 世界は七騎士の半数が一人の手によって葬られた事で大混乱となっており、各国の騎士やそれに準ずる職務の人類種は大層不安になっている、とは赤騎士さんの言葉だ。


 そして今日はクローディアさんと赤騎士さんの二人で十三人全員を見る混合訓練の日である。混合訓練の内容は交流戦みたいな感じで、三、四人の組み合わせで四チーム作り、クローディアさんが見守る方と赤騎士さんが見守る方に別れて二チームが戦う形となる。

 その後は片方のチームが移動して別の方に移動して戦う相手を変えて全チームと、つまり三回戦う事になる。魔力や体力の管理をきちんとしなくては後半になって動けない、なんて事態も起きる。初戦は良くても後が厳しいのは勇者の特徴かもしれない。


 そして今日私とチームを組むのは須藤くんと行方くん。私達は二番だから最初は赤騎士さんの方だ。組み合わせた二人ともオールラウンダーで、私を含めると三人が何でも出来てしまう困った構成となってしまった。

 作戦会議は初回のみ十分で、それ以降の休憩を兼ねたモノは五分しかない。ここで全てを掴まなくては、ガス欠となってしまうのが混合訓練の怖い所だろう。尤も、“完成した存在”となった私にはあまり気にすべき点では無い。だけど動けなくなった二人を守りながら勝利するのには神域を展開する必要があるかもしれないし、そんな事をすればクラスメイトが死んでしまうので却下だ。

 因みに私が“完成した存在”となったと知っている人はいない。秋音ちゃんには話しておこうかと思ったが、口の緩い妹からは直ぐにクラス全員に知れ渡ってしまいそうだから辞めておいた。


「それじゃあ今から十分。一番勝率の高いチームにはご褒美があるから、頑張るようにね。賞品は秘密、一位にしか用意してないからね」


 そう言うと赤騎士さんとクローディアさんの間に魔力で編まれた大きな時計が出現し、秒針が動く。


「さて、作戦会議だ」


 須藤くんが切り出すと行方くんが手を挙げる。


「敵初戦の相手は本城くんに四季の秋音さん、吉良々さんだね。四季さんはなんだか色々変わって今は大鎌が武器なんでしょ? 僕は後方支援するから二人で本城くんを倒して残る二人には投降してもらおうか」

「私は構いませんけど、須藤くんは? 男子で一番強いのは須藤くんですよね。本城くんの事をそんな簡単に倒せるとは思えないのですけど」


 本城くんについて私は男子四番目の強さとしか認識していない。意外な事に齋藤くんはナンバースリーで、ナンバーツーは紋土くんである。喧嘩に慣れていそうという偏見もあるけれど、やっぱり彼は強いみたい。

 見た目通り、というかあの見た目は“完成した存在”となった今でも若干怖い。目を見て話せと言われたら嫌な事ベストスリーに入りそう。


行方(ゆくえ)の案に賛成だな。二人で行けば尊の事も倒せるだろう。魔術対策は行方に任せるよ」

「オッケー」


 行方くんは男子の中で近接をあまり得意としないタイプだけど、戦えない訳ではない。近接魔術はクラス一の実力と言っても過言ではないと思う。私の場合は言語魔術だから言霊が必要となるけれど、行方くんは頭で魔術を組み立てられるタイプだから平然と嘘の魔術を口にする。

 以前の交流戦ではその戦い方は彼らしいと思わせてもらった。今回は御方だけど、翻弄されてしまいそう。


「あとは残り二チームだね。次に当たるのは紋土くん、米俵くん、加祝さんだね」

「ここは三人全員で――と思ったが冬美さんがサポートしてくれないか? 夏さんの魔術は意外と厄介だから」

「うん。任せて」

「なら僕と須藤くんで前衛二人を相手にしないとだね。紋土くんの相手は任せるよ。それとも、僕が紋土くんとやろうか?」

「いや千石の方を頼む。金翔は強いからな……あ、別に行方を弱いって言ってる訳じゃなくて、相性的に俺の方が適任かなって」

「あはは、僕も冗談で言ったから気にしないでよ」


 加祝さんなら私でも抑えられるかな。

 魔力には一戦目でかなり余裕が生まれそうだから、二戦目はそこそこ多く使ってもいいかもしれない。だけど、三戦目の相手がかなり魔術特化だから残しておいた方が吉かもしれない。魔術を打ち消すのはデスサイズで事足りるけれど、行動不能にするなら拘束系統の魔術を使える様に魔力は残しておきたい。

 確か相手は――。


「ラストは齋藤くん、濃松さん、魚沼さん、恵方さんだね。どんな戦い方だと思う?」

「誠も魔術は撃てるからなぁ。四人後衛の可能性もあるな」

「それだとかなり面倒なチームだね。四季さんはどうしたい?」

「私なら、齋藤くんと濃松さんを最初にダウンさせるかな。あの二人は後方支援がかなり上手いし、齋藤くんはその剣術が強いし。残りの二人はこっちの残り人数でどう戦うかを決めるかなぁ」

「まぁ、そうなるよな」

「だねぇ」

「なら最後のチームは誠と濃松さん狙いで行こうか。行方と四季さんが魚沼・恵方の二人を止めて欲しい」


 私達はこれに同意して、作戦会議を終わらせる。

 正直最後の四人チームは魔力が切れている事を願わないと此方が反則でもしないとかなり勝利が厳しい。正に初戦は良くても、という構成なのだが、この数ヶ月で人類種として七騎士を相手に出来る様になったと考えればそんな失敗はせずに最後にきちんと力を残していそう。

 そう考えると恐ろしい集団である。世界最強と言われ、戦争の抑止として機能する七騎士に一年も掛からずに切迫する勇者とは正にこの世界の悪を払うに相応しい呼称だと思う。


「あと三分だ。しっかり話し合う様に」


 まだ三分も残ってるのね。


「なんか話しておく事ある?」

「そうだな……余力があれば最後の誠たちの時に面白い技を見せようかな。最近ようやく形になったんだ」

「へぇー、じゃあ僕も面白い魔術見せようかな。魔力消費が大きくて、一発限りだけどねー」


 須藤くんの面白い技、気になりますね。

 行方くんも開発してるみたいで、何だかとても気になります。

 最近は初期の頃と比べるとみんなの成長が著しいから気を抜くとすぐに追い越されてしまいますが、“完成した存在”となった私はこれ以上の成長は望めません。“死神”がどれくらいの強さなのかは今日で良く分かりますね。

 メルリヌスさんは結局神域で倒したから強さを測れたかと言われると微妙な所ですので、今日みたいな訓練はとても助かります。


「もう少しで始まるね。混合訓練はいつもと違ってかなり緊張するから、変な失敗しそうだなぁ」

「行方が失敗したところなんて見た事ないぞ」

「え〜、そうかなぁ」


 なんだかあまり見ない組み合わせだけど、仲が良いのかな? 男子って良く分からない。女子は女子でコミュニティがあるけれど、この世界に来てからはみんな一層仲良くなった気がする。男子もそうかのかな。混ざってみたいけど、よくわかんないから遠くから見る感じで見守ろう。


 他のチームはまだ作戦会議をしているみたい。

 内容までは聞こえてこないけれど、基本的には四人チームに対する策を講じている様な気がする。私たちとの戦闘は控えめ、なんて声も時折聞こえる。

 みんなの本気具合が伺える。

 これは戦うのが楽しみ。


「それじゃあそろそろ始めるぞ。俺の方は一番と二番、クローディアさんの方に三番と四番が行ってくれ」


 十分がこんなに長いとは思いませんでした。

 ようやく混合訓練が始まります。

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