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これは“世界”を救う物語。  作者: 高平めめこ
召喚された十三人の勇者
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0-3-1 異世界への道

三章始まります!

視点は変わり夜黒くんから新たな子へ。

この章は彼女の為の物語。

 私、四季冬美は自分の体調不良を呪った。

 帰宅するなり開口一番に二卵性で私より背の低い双子の妹でる秋音ちゃんから私の恋人である夜黒くんが突如として消え失せたと聞いた。秋音ちゃんの彼氏であった鮫太くんと同じ様に、いきなり消えたと聞いて、私は何故その場に居なかったのかと、己を恨んだ。


「ふゆみん、私のせいなのかな……」

「秋音ちゃんは悪くないよ。二人とも、いつかきっと帰ってくるよ。いきなり消えたんだから、いきなり現れるなんて事もあるかもしれない」


 そんな事思ってない。

 けど、そう言わないと納得出来ない。

 私と夜黒くんは幼稚園の頃からお互いお付き合いという形で婚約していた。夜黒くんの事は初めて見た時私より可愛い男の子だと思った。

 成長するにつれ、夜黒くんも男らしくなると思ってたけど、中性的な美青年になっていった。自分の見た目をあまり好んでいないから、男らしい鮫太くんの事を羨ましがってた。


 そんな夜黒くんの事を意識して、告白したのは私の方からだった。婚約者だからという理由で他の女子を一切気にしない所か、彼は人間関係に特別な思いがあるのか、私達姉妹と鮫太くんしか懐に入れてなかった。

 その人から私が離れたらどうなるのか想像できなかったから、私から告白した。そういう関係になって、私だけより一層彼の思いをその身に受けた。


 これから人生に彩りが齎される。

 そんな時にこんな事を聞いて、よく錯乱しないものだと思った。私達姉妹は恋人に対して感情が希薄なんだろうか。でも、夜黒くんを好きだという気持ちに偽りはない。

 現実感の無さが、そうさせるのかな。

 突然の恋人の消失に思いの外体力を使っていたのか、それとも体調不良が原因なのか、その日はいつもより早く眠りについた。


 翌日目を覚まして二階の自室から一階のリビングに降りると、秋音ちゃんの髪色と瞳の色が変わっていた。曙色の、秋らしい色味だった。


「イメチェン……?」

「どしたの?」


 秋音ちゃんは何に対しての言葉なのかよく分かっていないみたいだった。そうある事がさも当然な様子で、私の疑問の答えには答えてくれなかった。

 秋音ちゃんが驚いていないって事は、私は黒髪黒眼が正しいんだろう。一応校則では毛染めは禁止されてるし、小説みたいな世界線が変わる、みたいな事に巻き込まれたのかな。


「だって――」

「それよりもやーさんがトラックに轢かれるなんて想像出来ないよねぇ。昨日一日考えたけど、やーさんらしくない」

「は?」


 夜黒くんが、トラックに轢かれた? 昨日は突然消えたと言った秋音ちゃんから、そんな言葉がとんでくるなんて思いもしなかった。

 だって昨日は二人で鮫太くんを探しに行ったんじゃないの? なんで他人事みたいな口調なの?


「あれ、昨日言わなかったっけ? やーさんがトラックに轢かれたらしいって」

「え、えっと」

「ふゆみん体調崩してたから、忘れちゃったのかなー」

「……そうかも」


 ここて変におかしくしても良い事はない。幸い今日は学校で、そこでみんなの事を見ればある程度事情が掴めるかもしれない。この謎の現象は解決せねばなるまい、って夜黒くんなら言いそうだし。


「お父さんとお母さんはもう行っちゃったから、後は私達だけ。さっさとがっこー行こーよ」

「そうだね」


 徒歩で学校に向かう。

 これで魔法なんて使われていたら大変だったけど、どうやら髪や瞳の色が違う、昨日の夜黒くんの事件が違うだけで、概ね日本らしい世界である事に変わりはないらしい。

 科学の発展した私の知る日本。変わらないそれだけが、それだけなのに心が癒される。


 だが、視界に映る人々は皆一様にカラフルだ。


 茜色、山吹色、紅梅色、空色、群青色、菖蒲色……カラフルだけど、染めた様な違和感はない。瞳の色と髪の色が同じ人も居れば、別々なカラーリングの人もいる。多いのは黄色や赤色系統だけど、本当に様々。

 黒髪黒眼は今のところ私一人で、でもこれなら浮かずにやっていけそうではある。こんなに違う色を持った個性的な世界で、私はどうやって生きていたのか不思議だけど。


「ふゆみん?」

「ううん、なんでもないよ」


 登校すると、学内の構想は変わっていなかった。私達二年の教室は二階にあり、クラスの扉を開けると半分くらいが登校していた。みんな個性的な色をしているけど、イメージカラーが適応されている気がする。秋音ちゃんの曙色も、彼女にぴったりな秋らしく明るい色。

 他の人達もイメージカラー通りの色合いで、見てるこっちが楽しくなってくる。まだ登校してない人達は何色なんだろうか。きっとあの子は何色で、なんて考えていたら朝のホームルームが近付く。予想は概ね当たっていて、一人だけ外れていた。行方(なめがた)くんという大人しい子は私と同じ黒だと思ったのに。


 朝のホームルームが始まる。


「春夏秋冬の件は残念だぁ。アイツはなんだかんだで良い奴だったからなぁ。四季の二人は結構辛いと思うが、時間は過ぎてく。今日も元気で居る事があいつへの何よりの供養だ」


 先生がそんな一言を言った瞬間に、地面が光る。


「なにこれ!?」

「先生!」

「なになにドッキリー?」

「魔法陣キタコレ!!」


 突然の事に頭が付いていかない。

 漫画とかに詳しい人は流行りの異世界転移が始まるとか騒いでいる。こんなに騒いでいたら隣のクラスの先生が叱りに来そうだけど、そんな気配はない。

 勿論先生も不測の事態だったのか少し固まっていたけれど、下手に動かない様に指示を出した時には遅かった。


 真っ黒な空間に景色が変わる。

 足場はちゃんとしているけれど、机や椅子、壁に黒板といった学校にあるべき物は何一つとして存在していない。広さは教室と変わらないのか、先生が見えない壁に当たり、壁に沿いながら歩いていた。


 すると、一人の男の人が上から降ってくる。


「我は神」


 低く辺りに響く声だった。


「異界を繋ぐ神。名をコバルト」


 真っ白な法衣を着た青年男性くらいの人が自分を神だと言い切った。空から降ってきたし、今も浮いてるから普通の人では無さそうだけど、コバルトなんて神様聞いた事がない。

 別に神話に詳しい訳じゃないけれど、もっとメジャーな神様の名前をチョイスしてくれないといきなりこんな事をされては信じようにも、信じきれない。


「一人異物が混じっているが、さして影響は出まい。君達にはこれから異世界に行くか行かないかを決めてもらう。無論、行かないという選択をすれば記憶は消させてもらう」

「コバルトさん! ハーレムやチートはあるんですか!?」


 いきなり質問をしたのは綾小路くんだった。


「そんなものはない。己の力のみで戦ってもらう。勿論移動するにあたって幾つかの恩恵は与えるが、今から君達が行く世界は見通しがつかない。死ぬ運命もあるだろう。なんせ私達神はもう存在していないに等しいのだから」

「なんだ、チートなしならいかないや」

「私もいかなーい」

「死にたくないから、僕も遠慮しようかな」


 私達のクラスは三十五人。その内の約半数が次々と行かないと決めてしまった。残ったのは先生と十三人。勿論私達姉妹も決めかねていた。


「コバルトさん、鮫太くんとやーさんはその世界にいるの?」

「……ふむ、どちらも存在はしている。それが君の知る形かどうかは知らないが」

「そっか、なら行くよ。ふゆみんも行くでしょ?」

「……そうね。夜黒くんが向こうでどうなってるのか少し気になるもんね」


 その他にも行くと宣言した人達がおり、行く人達と行かない人達のグループに別れていた。先生はどうするのかな。


「……俺ァ同じ経験は二度もごめんだ。生徒諸君には申し訳ないが、遠慮させて貰おう」

「先生のエピソード聞きたいなぁ」

「此処での事は忘れるってのがあったから遠慮させてもらうだけだ。尤も、俺にそれが適応されるかは分からないが」

「なんだー」


 コバルトさんは行くと決めたグループの方を向き、指を鳴らすと行かないと決めたグループが消え去る。多分元の教室に戻されたんだと思う。


「……問おう。本当に行くのかね。一方通行の召喚だぞ」

「困ってる人が居て、俺達を求めた。行かない理由なんてない。それに夜黒や鮫太にも会えるかもしれないなら行ってみるのも面白い」

「帰ってこれなくても、召喚者が善人ならどうにかなりそうだし、謂わば俺達は切り札なんだろう? なら、人生楽しめそうな方に行くよ」

「魔法とか、実は興味あったんだよね」


 クラスを取り仕切る須藤くん、本城くん、齋藤くんが声を上げる。他の人達も似た様な意見なのか行くという意思は変わらないらしい。


「ならば送ろう。必要な知識や言語の習得の為に、少し気絶するかもしれない。だがそれは向こうで生きていく為のものだ。数秒で目覚めるだろう」


 コバルトさんが此処に来た時みたいな光を足下に灯す。


「今から君達が行くのはアテナ王国。それでは、さよならだ」


 消える時、コバルトさんも黒い靄になって消えた様な気がした。

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