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これは“世界”を救う物語。  作者: 高平めめこ
ヒトトセヤクロトイフモノ
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0-2-43 新たな依頼

 クローディアさんの有する本は十三冊の魔導書と呼ばれる歴代クローディアの全てが記された本らしく、その何れもが読むだけで力を得る事が出来るらしい。


 一冊開けばたちまち釘付けとなり瞬きすら許されず強制的に知識を捩じ込まれるそうだ。確かに魔に導くんだから魔導書で間違いないな。


 そして次代のクローディアを育成する方法はこの十三冊の魔導書を強制的に読ませる事で終わらすそうだ。

 読み終わった後も使い道はあるそうで、優秀な魔術支援を行うモノになっているそうだ。所謂外部演算装置。クローディアさんは歴代クローディアの知識と黄泉比良坂の巫女としての知識で黒色魔力について触れるそうだ。


「魔法と呼ばれる現象に辿り着いたのは初代様と二代目様だけです。この本は強制的に理解させますが、初代様の文章だけは未だに解読出来ていないのです。それが恐らく魔法へ至る道だと思われます」

「異世界人からすると魔法も魔術も変わらんけどな」

「そういう発想をどんどん下さい。私が魔力圧縮しながら初代様の文章を読むので、夜黒さんは思いついた事を適当に言ってて下さいね」


 そう言うとクローディアさんの周りに十三冊の魔導書が浮かび上がり展開される。ただ魔力を圧縮する為に外部演算装置みたいな魔導書を使うのは如何なモノかと思うが、彼女がそれでいいのなら、それでいいんだろう。

 しかし思いついた事を適当にって言われても困るな。日本的な魔法と魔術についてか。有名な学園ものでも魔法魔術学園ってくらいだから違いはあるのかもしれないが、それが何かまでは調べてない。ガチの考察をする様な見方はしてないからなぁ。


「にゃー、クロにとって魔法ってなに? 僕達は魔術しか知らないんだよね」

「そうだなー……思い通りに何でも出来る力が魔法かなぁ。魔力を使って、起こしたい事象を起こせる」

「にゃー、あんまり魔術と変わらないんだねぇ」

「そうだな。大抵の人は同一視してるかもなぁ」


 今更言われても困る。もう俺もいい歳になったがかつてのクラスメイトにそういった事に詳しそうな奴はいただろうか。……あんまりいなそうだな。少しでも力になれれば良いんだが、俺は生憎そういうのに疎いからなぁ。

 クローディアさんは異世界人の俺の言葉を聞いてから腕を動かしていた。異世界人と言うにはかなり此処で過ごしているが、ジェネレーションギャップならぬワールドギャップみたいなのは未だにあるみたいだ。


 猫と遊びながらクローディアさんの事を眺める。


 あ、そうだ。

 これなんかはこっちの人には無い発想じゃないかと思えるモノを一つ思いついたぞ。


「あー、魔法のイメージは無から有を作れるとかもあるかなぁ。例えば此処に猫じゃらしを生み出せるとかな。反面魔術は魔力から電気や炎しか作れない、みたいな感じかな」

「無から有を作る……」


 一言呟いたクローディアさんは猛スピードで一冊を捲る。目が動いているから読めているのだろうが、途轍も無く速い。バラバラ捲る速読よりは遅いが、それでも速い。

 周りに浮かぶ十二冊の魔導書を読み終えた時明確な異変が研究室内におこる。


 クローディアさんの魔力が消失した。


 あれだけ空間を暴風の様に満たしていた魔力が突然消え去るのは不自然だ。俺の眼では見えなかった可能性もあるが、クローディアさんが何かをしたから消えたのは分かる。


「何かの正体は掴めませんでしたが、魔法と呼ばれる事象を打ち消す方法は得られましたね」

「何をしたんだ?」

「まだ実用段階ではありませんし、夜黒さんには出来ないですよ。十三冊の魔導書に記された初代様の一節を顕して魔法に至らない様にしただけです。解読出来たのも、一部ですからね」


 一節を顕しただけで意味のわからない現象引き起こせるとか初代は何者なんだ。そんな奴の因子があるから運良く魔法を使えているのかもしれないが、今はもっとびっくりした事がある。


「あれだけ読めてて一部なのか」


 一冊を除いて記されている全てのページを読んでいた様に見えるが、まるで某魔物の王を決める漫画みたいな本だな。


「読めそうな箇所を探していただけです。結果は三冊の二、三節しか読めませんでしたがね」

「歴代の誰もが成し遂げてない事をしたんだ。もっと喜んでも良いと思うが……」

「初代様の魂を持ったあの子供に負けています。いずれ戦う時の為に解読は急務ですね」


 そう、あの子は「まだ戦わない」を選択しただけなのだ。俺とはいつか戦うみたいな口振りだった。魔導書を借りられればいいんだが、クローディアになるつもりはない。こちとら寿命の短いただの人間で、精霊からは死ぬと言われたんだ。

 とりあえず研究はここまでかな? 今出来る事は全てやった気がする。クローディアさんも部屋の壁を展開しているからもう終わりと見て良いんだろうな。


「夜黒さんには魔法を使える様になってもらう為に難度の高い依頼を回しましょうかねぇ」

「やめてくれよ、死んじまう」

「未解決依頼というモノがあるんで、それの解決担当に任命します。これは私からのお願いです。受けてくれますよね?」


 握手を求める様に差し出された手を握らない選択はない。卑怯だ、この人は。俺はそうされたら受けるってわかっててやってる。


「仕方ないな。簡単なのから頼むよ」

「勿論です! 夜黒さんを簡単に手放すなんて、しませんよ。それに、比較的最近のモノを渡しますから。長年解決してないモノへの参加はコレの結果次第ですね」


 可愛い子ってのはズルいな。俺にも冬美という彼女がいるが、この人には命を救って貰ってる。死んでようやく恩を返せると俺は思ってる。それくらい、この人には感謝してるんだ。言うつもりはないけど、本当に。


「それじゃあ私の部屋にいきましょう! 未解決依頼――凍結案件は私の暇つぶしなので私の部屋にありますから!」


 転移魔術の気配を感じて猫の尻尾を掴みクローディアさんと飛ぶ。


「にゃー! 尻尾はダメ!」

「仕方ないだろ。お前ここの構造しらないんだし」

「にゃむぅー」

「後で遊んでやるから」


 クローディアさんが咳払いをする。

 なんか最近あった気がする。


「先ず手始めに南の湿地帯を超えて別の国、ヘレナへ向かってもらいます。依頼内容は魔力溜まりの解消。ただ散らすだけですが、中々どうして並の魔術師では散らせないとの事で私に回ってきました」

「戦闘が無さそうで良かったよ」

「……準備は怠らない様に」

「……? 了解」


 クローディアさんの不自然さには、目を瞑るとして、久しぶりにまともな依頼をこなすとしますかね。

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