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これは“世界”を救う物語。  作者: 高平めめこ
ヒトトセヤクロトイフモノ
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0-2-29 終結

紛らわしいですが、まだこの章は続きます。

 『魔力の暴走』でエスグリミスタの動きを止める。本来なら依代になってるロイドにも負担を強いる魔術だが、魔眼で見ながらエスグリミスタの魔力にのみ干渉する様に魔術を操作する。

 擬似神域が崩れていく様に、『魔力の暴走』も効果を表したのかエスグリミスタはどんどん魔力が崩れていく。ロイドのものと思われる魔力は崩れていないから、なんとかなったんだろう。


「人類種如きに、我が敗北するなど――ッ!!」

「『魔力の奔流』」


 擬似神域ってのを崩されたこの神は著しく不安定となっていた。五撃を六撃放った時よりも不安定になった所をクローディアさんが物理を伴った魔力で押し流し、防衛魔術の貼られた寮内の壁に神が押し潰される形になる。

 魔術から伝わる感触でエスグリミスタが弱ったと感知したクローディアさんは魔術を解いて、近寄る。息をするのもやっとといった様子の神に彼女は手を伸ばす。その手は、俺から魂を取った時の様に輝いていた。


「や、やめろ! 我を祓うなど、許されざる行為だ!!」

「貴方が犯した罪も、許されざる行為ですよ」


 クローディアさんの手がロイドの身体に沈み、魂が抜き取られる。客観的に見るとえげつない行為だ。魂を握られたが最後、そいつに為す術はない。


「ロイドさんのはこれで、犠牲になったのはこれで、ああ、こんな風に隠せるんですね。勉強になります」

「やめろ……やめろぉぉぉ!!」

「貴方のは要らないです」


 エスグリミスタの魂と思われる部分をクローディアさんが思い切り握り潰し、魂に関する呪文を唱えたと思ったら、散り散りになった魂から炎の様なモノが湧き上がる。

 これがクローディアとしての彼女ではなく、黄泉比良坂の巫女としての彼女の側面なんだろう。


「黄泉比良坂の巫女の役目の一つは、生者を常世へと送る事です。この神もまた、輪廻に囚われた存在。理由は分かりませんが、人ならざる者が人を襲ったのであれば、私は常世へと送りましょう」


 恐ろしく冷たい言葉だった。現にこの空間が冷たくなった気さえする。


「ぅ……うぅん」

「クローディアさん、此処は撤退しよう。ロイドには――」


 彼女に手で制される。

 そうか、話すのか。きっとロイドは傷付くだろうな。ま、この依頼も終わった様なもんだから退学させてもらう俺には関係ない。

 せめて彼を悪だと思ったお詫びに、『幸福な夢』をかける。これで目が覚める迄は幸せだろう。その後どうなるかは、知らん。


「説明しなくては彼も納得しないでしょう。話せる範囲で私が話しますので、夜黒さんは帰っていいですよ」

「それじゃ、お言葉に甘えて」

「にゃー、疲れたから早く帰ろー」

「そうだな。それじゃ、失礼します」


 転移魔術を発動し魔術協会支部へと帰還した。

 クローディアさんはロイドと話してるだろうし、依頼に関しては全部明日以降だな。やる事もないし、魔術協会の書庫で魔術書を漁りますかね。

 擬似神域展開、あれについても何か文献がないか探ってみよう。きっと本部にあるだろうからこの後は本部にも飛んで――そういえば猫の身体に魂を戻さないとだな。

 確かクローディアさんの執務室のソファに身体が置いてあるんだよな。


「おい、身体に戻るか?」

「にゃはは、おねがーい」


 なら先ずはクローディアさんの執務室だな。それなら本部の書庫を漁った方が良さそうだ。


 クローディアさんの執務室に飛ぶと、猫の身体が置かれていた。綺麗にされてるって事はクローディアさんがこいつの身体を洗ってるんだよな? 性別とか気にしない感じですか、そうですか。

 まあこの猫にもクローディアさんにも羞恥心というモノがあるのかは定かではない、なんて思っていたら頭の上の猫が浮遊して本体の胸元へ落ちる。

 一瞬輝いたかと思ったら、見慣れたマメネコは居なくなっており、猫が久しぶりに本体に姿を戻す。


「うーんっ、やっぱり自分の身体が一番! これなら僕もエスなんたらの時に戦力になれたんだけどなぁ」

「充分役に立ってたぞ、身体強化とか」

「にゃはは、ほんと?」

「嘘は言わない主義なんだよ」


 よかったー、と俺の頭に乗ろうとしてくる。それを回避するとクローディアさんの棚に顔面からダイブして防衛魔術が発動して猫が簀巻きにされる。


「にゃー! しび、しびれるぅ〜!」

「自業自得だ」

「にゃ! なんで避けたの!」

「流石に人型のお前は乗せられん」


 念話でクローディアさんに防衛魔術の発動を伝えると会話が終わったのか転移魔術で戻ってくる。

 随分早いな。


 どうやらロイドは半分意識があったらしく、事の顛末は覚えているらしい。そして自分が人を一人殺した事も認めたが、魔術協会の長であり全魔術学園の特別理事であるクローディアさんは彼に罪はないとし、記憶を封印する事で話はまとまったらしい。

 案外被害生徒の事故死も嘘ではないから魔術協会が今後もこういった特別な事例が起きない様に目を光らせるそうだ。


「そんな訳で無事終了です。夜黒さんが望めば学園にはまだ在籍できますが、どうしますか?」

「実家の都合って言い訳で自主退学するよ。学べる事は多かったが、別に此処で学べない訳でもないしな」

「分かりました。後の処理は私がしておきますので、エルフを探したりこの世界を満喫したりして下さい」


 あー、そういえばエルフ探しが本業だったな。思ったよりも長く学園に居たから忘れてた。

 この件に関してはクローディアさんも成果は期待してないのか、「この世界を満喫」に力が込められていた様な気がする。


 とりあえず今は擬似神域展開について「クゥ〜〜」。


「にゃはは、お腹へったぁ」

「そうだな、何か腹に入れてからでも遅くはないか」


 なんせ時間は幾らでもある。

 それにクローディアさんにどうせ聞くことになるんだから時間はかけた方が良いだろう。きっとあの人の事だから擬似神域展開という技術についても、俺の依頼の後始末と並行して解析してる筈だ。


 さて、久しぶりにまともな飯を食うな。

 猫も楽しみなのか手を引っ張られている。まったく、子供じゃないんだから急かすなと言いたいが、俺も楽しみなのは事実だから、歩調を早めた。

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