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これは“世界”を救う物語。  作者: 高平めめこ
ヒトトセヤクロトイフモノ
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0-2-8 竜との戦い

サクサク進ませましょう

 そうこうしてる内に黄金の魔力草の下に。


「あっさりとついたな」


 特に目立った事もなく無事に辿り着けた。イラスト通りの太陽みたいに輝く黄金草は綺麗だ。


 が、ここで問題が起きた。


 何かヤバい敵に目を付けられた訳でも、リザードマンが群れで此処に向かってる訳でもなく、純粋に黄金の魔力草が硬い。ナイフの背面でガリガリ削ってるが中々切れない。

 そしてこのナイフも欠ける事がないからあの神には感謝だな。あとは時間との勝負。


「かてーなぁ」


 ガリガリと三十分。漸く切れた。


「さて、ポーチに入れて――」


 その時大地が揺れた。

 比喩でも何でもなく大地が揺れ、泥の地面が隆起する。即座に回避し距離を取るが、目の前の泥までが範囲だったらしく自分は巻き込まれずに済む。


「なんだ、これ……」


 明確な死のイメージ。

 圧倒的暴力への無力さ。

 色々な思いが渦巻くが目の前で最悪が起きた。


「泥の竜……」


 異世界人は初依頼で竜種を倒すなんて聞いてはいたが、こんなエンカウントの仕方は聞いてない。自ら確認された竜の下へ向かってるって話だ。

 そもそも今の時点では竜種は単独で出来ない。それが俺の考えだ。黄金の魔力草すらまともに切れない俺が竜を相手に何が出来るだろうか。


 そして逃げる事も選択肢にはない。

 こいつの速さは明らかに遅そうだが、竜種固有のブレスを回避出来るかといわれれば、回避に絶大な信頼を持っていても、やった事がないから未知数。


「グォオオオオ!!!」

「――ッ!! 鳴き声でこれかよ!」


 音圧とでも称すればいいのか、吹き飛びそうになるのを必死に抗う。どうやら頭に生えてたらしい黄金の魔力草を取られてご立腹といった所だろうか。

 魔眼で見てもこの辺の魔力は薄い。それなのに生えてたのはこいつを養分にしてたからだろう。


「グォオオオオ!!!」


 泥のブレス――濁流が押し寄せる。

 飲み込まれたら窒息死してしまう前に、全身骨折のショック死だ。攻撃範囲は目醒めたばかりだからか狭く、これなら避けられる。


 しかしそれは罠だった。


 ブレスばかりに気を取られていたから気付かなかったが、どうやら巨大泥団子も飛ばしていたらしい。泥の塊が降り注ぐ。ブレスの範囲外だが、奇跡的に回避する。

 辺りに泥の山が幾つか出来上がり泥をベースにしているだろう竜の得意なフィールドとなる。もしこの泥を再吸収できるなら俺は泥を蒸発させなくてはならない。


 無理だ。

 湿地帯らしく表層の泥が剥けた所為で水が現れる。冠水したせいで益々お相手さんが潤っちまう。


「生憎遠距離は苦手なんだが――やるしかないか」


 炎は有効だろうか。

 雷は有効だろうか。

 風は有効だろうか。


 きっと土と水は竜の手助けをしてしまう。それなら複合魔術で方をつけるしかない。それか闇とか重力系で行くか。兎にも角にもこの竜を倒さねば明日は来ない。

 ならばやる事は一つ。時間はかかるかもしれないが、確実にケリをつける。

 未来固定が過去回避ぐらいの速度で使えたら良かったんだが、そう奇跡は起こらない。泥塊の間を縫って竜に近づき魔術を放つ。

 未だに遠距離は威力が落ちるから、大回りして尾の方から付け根を狙う。


「『爆裂』」


 とりあえず得意魔術と化した爆破系統で泥の鱗を削ぎ落とす。生身が見えなきゃ物理も通らんし成す術がない。

 魔術でどのくらい削れてるのか。もしこれで全然削れてなかったら絶望もんだな。


 一旦距離をとりつつ様子を伺う。


「グォオオ……」

「お? 結構効いて――」

「グォオオオオ!!!」

「ですよねー!!」


 泥は落ちたが生身に火傷みたいなのは見えない。

 加えて周りの泥に身を擦らせて補充する始末だ。


 てめぇ……。


 怒りはあるが、視界は逆に開けた。なんだか魔力を認識してから感情の起伏が激しい気もするが、そんな事は傍に置いといて、竜に駆け寄る。

 魔力の密度を限界まで上げ、掌に白い輝きを灯す。魔眼で見てもかなり圧縮出来たことが分かる。


 こいつをぶち込む。


 使う魔術は変わらず『爆裂』。なんとなくで使った『爆裂』で泥が剥がせたならばきっとこれならもっと通じる。

 こいつは倒さなきゃいけない。そうしなきゃあの都市に影響が出る。距離はあるが、泥を運んでやってきたらこいつは大暴れするに違いない。


「『爆裂』!!」


 先程よりも桁違いの爆破が起こり、泥を抉る。感触的に肉にも到達していると見て間違いない。

 煙が晴れるとそこにはなんとか繋がる尾がそこにあった。もう少し潜り込めてたら内臓を破壊出来ただろうか。もう少し踏み込めば良かった。


「グォオオ……」

「尻尾が千切れそうだなぁ」


 漸くこちらを羽虫から敵に認識を変えたようだ。目つきがさっきまでと違い、鋭い。流石に動く速度までは上がっていないが、キレが増している。

 こりゃあやってみるしかないってやつだ。


「『自己強化』」


 魔力が薄く広がり身体が軽くなる感覚を覚える。

 今まで想像した通りに魔術は発動している。もしこれが俺の思った通りの強化ならあらゆる力が二倍ってところだ。

 これならある程度は戦えると、思う。


 泥の塊が再び噴出され、それを回避する。どうやら動体視力も強化されてるらしい。これは嬉しい誤算だな。

 再び魔力を、今度は両方の掌に集中させる。これで二回分。魔力を限界まで圧縮させる事には何故か慣れている。それに、こいつには怒りの感情を向けた。そう簡単には収まらない。

 感情と魔力は密接だと思う。あの小屋を吹き飛ばした時も怒りがあった。


 ……本当、ここまで怒りっぽかったかねぇ。


「さて、これで終わらさせてもらうぞ泥竜(でいりゅう)


 正面に立ちブレスを誘う。

 案の定竜はブレスを吐いた。

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