0-2-6 いざ行かん南の湿地帯
最近すごい寒いですね。
みなさん防寒しっかりして下さいね。
さてクエスト開始だ。
基本的な装備はなんとかなっている。あの小屋で得たコートとナイフがあればなんとかなりそうではある。
他の冒険者の装備を見たが動きやすさ重視なのか局部を守るだけの人もいれば、所謂ビキニアーマーな人もいた。
いるんだ、あんな人。
とりあえず植物図鑑で黄金の魔力草について調べる。
「えーと、お、お、おう、あった」
何々、群生はしないのか。魔力の濃い場所に生えるというか、周辺魔力が固まって出来上がる植物らしい。この辺だと南の湿地帯によく生えるそうだ。
見た目も精密に描かれた絵があるため間違う事は無さそうというか、本物は黄金の煌めきを常時放っているそうな。
使用部位は地上茎より上ってことは、根っこはいらないのか。切って終わりだな。
一つ難点があるとすれば南の湿地帯はリザードマンという魔物の集落が点在している事か。漫画とかなら人類亜種とかの位置付けだけど、この世界では完全に魔物らしい。
ついでにリザードマンについても調べたが、あまり詳しい事は書かれていない。群れで暮らしていること、非好戦的、それくらいだ。もっと魔物の特性とか載せるべきじゃない? この魔物図鑑大丈夫なんだろうか。
「とりあえず出発しますかねー。日が暮れても困る」
南門は、あっちか。
クローディアさんの案内を振り返ると、どうやら俺は東門から入ったらしい。入るのに審査とかないけど大丈夫なのか?
比較的広い都市。防衛もしっかりしてるらしく都市周りの外壁上部にはバリスタ的な物が多数置かれている。
もしかして悪者は入らない魔術とかあったりして。
なんて考えている内に南門へ到着。
門番さんがいれば仲良くなっておきたかったが、生憎開きっぱなしの門がポツンと置かれている。
魔物の軍勢が攻めてきたらどうするんだこれ。
「いざ黄金の魔力草採取へ向けて、しゅぱーつってね」
都市を出ても道はそこそこ整備されている。
用がないのに道を整備する必要もないだろうから南側にも都市があるんだろうな。時間があれば行ってみたいものだ。
南国、とまでは行かずともなんだか楽園の予感。
さて、そろそろ分岐点だ。
街道を行くか、南の湿地帯へ行くか。
勿論湿地帯へ。
こっちの道は整備されてないらしく、冒険者達が踏み均した獣道的なあれが広がっている。
湿地帯というが、なんなんだろうか。歩いていける距離にそんな場所あるのか? これは日帰りでいけると思ってたが、冷静に考えればなんだか数日はかかりそうだぞ。
やばい。食料とか持ってきてない。
なんなら革製品のコートとナイフ、あとポーチしかない。これは引き返すべきか? いやでもなんか行けそうな気がする。
歩く事五、六時間。辺りにはガマらしき植物が増えてきた。先達が踏みしめた獣道は依然として続いており、所謂南の湿地帯はまだまだ距離がありそうである。
だが、希望というか、なんかは見つけた。
木造のログハウス。冒険者ギルドにあったマークと同じ物を掲げているのを見るに、中継地点的なやつか?
「……失礼します」
「そんな丁寧に入ってきたのは初めてだね」
中には赤髪を伸ばした女性がいた。
ギルドの制服を着ているから職員なのだろうが、都市の所とは違い名札はなく、背中に大剣を背負っている。
「此処はどういったところなのでしょうか」
「おんや、湿地帯行きは初めてかい?」
え、説明とかあるの?
なんもなかったけど。
「昨日冒険者になった異世界人でして。あ、春夏秋冬夜黒と申します」
「ほぉー、ご丁寧にどうも。アン・レベリアだ。此処はまぁ休憩所みたいなもんさ。寝泊まりも出来る。無料でね」
二階へ上がる階段を指さしながら彼女はいう。
「レベリアさん、湿地帯まではあと半分といった所なのでしょうか」
「アンで構わないさ。そうだね、どのくらい時間がかかって此処まで来れた?」
時計の類はないが、およそ五、六時間だと答えると彼女は奥の棚から緑色の液体を出して二階に上がる様に促す。
「疲労回復のポーションさ。初依頼は何かと肩肘張るもんだ。異世界人でもそれはきっと変わらないとあたしは思ってる。休んできな」
「タダで頂いても?」
「構わないよ、それに魔術協会の規格外だから効果は薄い。今は昼前だけどあたしの記憶してる限りで湿地帯の依頼は三つ。これでもちょくちょく確認してるし、黄金の魔力草ってとこかい?」
「その通りです」
彼女はその言葉に笑う。
「黄金の魔力草は生えてるよ。昨日あたしが見たから間違いない。ただ湿地帯の中央でね、リザードマンが厄介だ」
「貴女が依頼を解決すれば良いのでは?」
「……黄金の魔力草は危険物だからねぇ」
そんなこと記載されてなかったぞ。もしかしてカエンタケみたいに触れただけでアウトな植物だったりするのか? だったら諦めざるを得ないが……。
「あはは、あたしには、だよ」
「アンさんには?」
「ありゃあ魔力の無い人間には劇物なのさ。無理矢理魔力供給されて身体がソレに反応しちまう」
そうなのか。
だから受付で魔術を使えるか聞かれたんだな。納得。
「さ、娯楽はないけど休んできな。……あたしが相手してやろうか?」
ニヤニヤとしている。見るからに年下の慌てふためく姿を期待しているが、その手の躱しかたは嫌というほど地球で学んだ。
「いえ、貴女の様な美女に相手をされてはこちらの身が保ちませんので。休まさせてもらいますよ」
「顔は可愛いのに、可愛くないねぇ」
「では、失礼します」
二階へ上がると八部屋ほどあり、そのどれもが空室。どうやら湿地帯はうまみのない仕事場なのかもしれない。
適当に奥の部屋を選び、扉を開ける。
「簡素だ」
ベッド一つだけ。
ま、眠れるならなんでもいい。
ポーションに催眠作用でもあったのか眠気が酷い。彼女の言葉に従って大人しく休まさせてもらおうじゃないか。
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最近はpvを見ては一喜一憂してます。
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