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試作

擬音と会話で構成された文章についての試作

作者: 曲尾 仁庵

――サアァァ


――サンサン


――ピーヒョロー


 ザッザッザ


「……エルザ」


 くるっ


「殿下」


――ヒュー、カサカサ


「クラスが、別れてしまったな」


 しゅん……


「……はい」


 ギリッ


「建前とはいえ、学園の中では生徒同士に立場の違いはない。私の力ではどうにもならなかった」

「わかっています。しかし……」


 キュッ


「クラスが別れれば、私と貴方様は敵同士。本来ならばこうやって会うことさえ許されません」


 バッ


「馬鹿げた話だ!」


 ぶんっ


「クラス編成などという事務処理のために、人の心が抑圧されるなど断じて認めぬ! 私の想いはそなたの許にある! 今までも、これからも!」

「殿下……」


 じわっ


「共に変えよう。この学園を。私たちが手を取り合えば、この不毛な争いを必ず止められよう。愛する者同士が刃を交える、そのような不条理を許してはならぬのだ!」

「殿下!」


 タタタタタッ


「エルザ!」


 ガバッ

 ギュッ

 グサッ

 じわり……


「エ、エルザ……、どう、して……?」


 くすくす


「クラスが別れれば敵同士。私はすでに敵なのですよ、殿下」


 ずるっ

 ガクリ

 ぽたぽた

 ごふっ


「わた、しは……そなた…を……」


 ゾッ


「殿下。状況は日々変化するのです。昨日の愛が今日も不変であるなど、博愛主義が過ぎるというもの」


「エ…ルザ……」


 ぐらり

 どさっ


 にっこり


「ごきげんよう。お優しくて間抜けな王太子殿下。私も貴方様を、愛しておりましたわ」


 くるっ

 コツ、コツ、コツ、コツ……




 むくり


「……行ったか」


 シュタッ


「はっ!」

「気取られてはいまいな?」


 コクリ


「その場で首を刎ねぬがあやつの限界よ。この程度で私を殺せると思うところがな」


 バッ

 パラパラ

 コキコキッ


「しばらく私は死者となり闇に潜む。留守を任せたぞ。苦労を掛けるが、頼む」

「ははっ!」


 にやり


「……これから、面白くなりそうだ」




 カツ、カツ、カツ、カツ


「どうかしら?」


 シュタッ


「予想通り、王太子は自らを死んだことにするようです」


 ふふっ


「謀をするにも素直な御方。先読みがしやすくて助かるわ。いささか張り合いはないけれど」


 スッ


「厳重に監視を続けよ。殿下には秘宝の許まで案内してもらわねばならぬ。初代国王が神より賜りし王権の証。それを手に入れねば、あの暗愚な王家が永遠にこの国に君臨し続けることになるゆえに」

「ははっ」


 にやり


「……これから、面白くなりそうね」

何が伝わり、

何が伝わらず、

何が伝わってしまうのか?

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