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1993年、北陸地方沖で発生したマグニチュード8.9の地震によって、北日本を中心とした地域は深刻な被害を受けた。とりわけ、地形の影響でこれまで大きな地震の被害を受けたことのなかった南北海道、胆振西部地方の被害は甚大だった。津波こそ起きなかったものの、地盤の緩い地域での液状化現象と土砂崩れなどの二次災害が重なり、救援活動は遅れ、最終的な犠牲者は同じ大きさの揺れを観測したほか地域と比べ約1.7倍にも上った。
道南に位置する室蘭市も大きな被害が出た地域の一つだった。アイヌ語で「小さな下り坂」の意味を持つその市では、震度六弱の揺れにより山間部のみならず沿岸地域の崖状の岩盤までもが崩落、周辺住民の多くが巻き込まれ、犠牲となった。
そこに存在していた小さな洞窟の崩落など、気に留めるものは誰もいなかった。




