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1月13日

 日陰が目を覚ます。カーテンのわずかな隙間から太陽の光が差し込んでいる。部屋が少し散らかっているのが目に入り、ふぅとため息をつく。きれいな部屋をみると気分が上がるがその逆もしかりだ。なんだか起きたばかりなのにとてつもない倦怠感と疲労感に襲われる。それとともに訪れたのは孤独感だった。

 奈津子の電話を一日絶ってみると、最初は気持ちに余裕がうまれていたのだが、だんだんとひなとの過去の記憶に日陰の気持ちは踊らされる。その不規則で不安定なステップは見るに堪えない。

 つらい。と思った。

 昨晩見た夢も日陰をしめつける。腹の左側がチクチクするように痛い。ずっと腹痛は数日前から続いていたがそのときは特に痛かった。起きたはずみで軽く蹴飛ばしていた布団をもう一度体にかけてくるまる。夢なんてみるもんんじゃない、と呟いてみる。もう見たくないと思っていた。

 間もなく彼は枕横にあるはずの充電しているスマホを探し始める。そしてやがて、スマホを枕の下に発見した。さらに気づけば奈津子にメッセージを送っていた。既読がつくまで画面をつけたままにしたが、そんなにすぐつくはずはないと分かって、閉じる。姿勢を変えて、横向きから横向きへと左腹下から右腹下へと寝返りを打とうとする。その際充電器が身体に絡まったので日陰は勢いよく充電のコードをスマホから引き抜いて床に投げつける。接続部分の端子が床にあたる、かちっという小さな音がなる。やがて寝返りを終え、またスマホの画面を開き、日陰はゲームのアプリを開く。

 暇つぶしとしては3分も持たなかった。集中ができない。頭の中には常にひなの存在があったのだ。ゲームをすぐさま辞めて、奈津子に追加のメッセージを送った。“なつこーーーーー”

 なかなか返信はこない。なかなかメッセージを受信する通知は表示されない。

 通知音が鳴る。

 なつこーーーと言いながらスマホの画面を見る。

 “今から暇?”

 届いたのは奈津子からのメッセージではなく、飯井竹正樹からのメッセージである。

 

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