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電話1
1月11日
「感情の起伏が激しくて疲れた」
日陰の声が急にワントーン落ちる。
「時間が解決してくれるさ」
そう、それはそのはずなのだが、今の日陰にとっては極端な楽観主義にしか思えないのである。
「そうだよな。時間とのたたかいだよな」
「時間が洗い流してくれるよ」
「もう好きじゃないんだけどな。実はまだ好きなのかな」
「違うよ、かげちゃん」
奈津子はそう清々しいほどにはっきり言い放ったあとに、
「かげちゃんは今気がおかしくなってるから自分の気持ちに勘違いしてるだけだよ」
と続けた。そのあとに日陰は「んー」といかにも悩ましそうな声をもらす。
「やっぱりそうだよな。好きじゃなくて依存だよな」
「うん。私はそう思う」
「俺考え方が今普通じゃないもん」
「話してれば分かる。ところどころおかしいところがある」
「付き合い方もアブノーマルだったしな」