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第七十七話 白髪の少年

 「これがオリエンテーションの時に話してた料理コンテスト……!」


 まじまじと料理コンテストのポスターを見つめてそうつぶやく。

 

 俺の心の中には既に、この世界に来た時以来のワクワクとメラメラと燃え上がる闘志が芽生え始めていた。

 そしてようやく我に返り、食堂に行かなくてはならない事を思い出す。


 「しまった! 早く食堂行かなきゃ席が無くなる!」


 再び人ごみの中をかき分ける。

 食堂に行く前に、精霊学の教材を部屋に置いて行かなくてはならない。


 俺は寮の部屋に向かって猛ダッシュする。

 

 その間、さっきのポスターの事が頭からずっと離れず、様々な妄想を膨ませていた。

 

 オリエンテーションの時、学内料理コンテストの映像を見たが、どれもこれもハイレベルな作品ばかりだったのを未だに覚えている。

 生半可な料理ではてっぺんを取れない事は確かだ。

 早速今日からレシピ作りと練習を始めようか……。


 どんな料理を作ろうか、頭の中で色んなレシピを考えながら走り続ける。

 

 「あの料理もいいけど、ちょっとインパクトに欠けるなぁ……じゃああれか、いやでも……」


 ブツブツと考えていることが思わず漏れる。

 そして無意識に曲がり角を曲がろうとしたその時だった――。


 「あいたっ!!」

 「うおっ!?」


 曲がりから出てきた男子生徒と勢いよく衝突する。

 その勢いで二人が持っていた教材が床に散乱してしまった。

 

 「いつつ……はっ! ご、ごめん! 俺よそ見してて! 大丈夫!?」

 「あ、あぁ俺は大丈夫だ、こっちこそよそ見してて悪かったな」


 二人で床に散らばったお互いの教材を拾い集める。


 その男子生徒は白髪ウルフカットで頭にはキツネの様な耳が生えている。

 シュッとした切れ長の目、深い海をイメージさせる濃い青色の瞳。

 顔は小顔で整っている。

 俗にいうイケメン男子と言ったところだろうか。


 「ほらよ、お前のだ」

 「ありがとう、これは君のね――」


 教材を渡そうとしたとき、教科書の中から何やら細長い小さい紙がひらりと落ちた。

 

 「あ、何か教科書から……」


 拾い上げようと手に取って見てみる。

 その紙には『学内料理コンテスト エントリー用紙』と書かれてあった。


 「これって……」

 「ん? あぁこれな。知っての通り、もうじきあるコンテストのエントリー用紙だ。参加したけりゃこれに名前を書いて職員室の教師に渡さないといけねぇんだ」

 「ってことは君もあのコンテストに?」


 拾い上げたエントリー用紙を彼に渡す。


 「あぁ。ずっとこの時を待ってたんだ。お前も出場するのか?」

 「う、うん、そうするつもり」

 「そうか。俺の名前はマーロウだ、よろしくな!」

 「俺はマサト、よろしく!」


 早くもライバルが出来てしまった。


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