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悩める天罰神*

 天大陸全国放送。


「さぁ!今週もやってきました!この時間は!?」

「破壊神と創世神のミラクルコラボでお馴染み、何でも解決団のお時間です」

「司会は私レイティアと」

「破壊神の従者ムラマサです」

「「よろしくお願いしまーす」」


 レイティアさんのノリノリな司会とムラマサさんの感情の薄い司会というギャップが売りの番組。何でも解決団。

 私たちは毎週天大陸の放送局に行って収録をしています。ちなみに私も参加します。

 ミコトさん、フリュウさん、そして私で解決していく番組です。

 意外にも視聴率がよく、ギャラをそれなりに入るのですが日本では使えないので実質ギャラなしです。


「そして解決団メンバーは毎週恒例のこの三人となっていまーす」

「毎回思いますけどこの番組贅沢ですよね」

「私がでている時点で超絶贅沢だからねー」


 私だけ超絶位の低い神ということになってますけどね!

 舞台のセットが知りたい方は何でも鑑●団で検索してください。だいたいあんな感じです。


「じゃあさっそく最初のお悩みを解決してもらいましょう!」

「といっても今日はこの一人だけですがね」

「そうなの?」

「ちゃんと台本読みましたか」


 感情の薄いムラマサボイスによるツッコミ、思わず観客も微笑みます。

 あ、悩める神が入ってきましたね。

 あの金髪はもしかしたら……


「悩める神、天罰神アラステッドさんでーす」

「また贅沢な神様きましたね」

「よろしく頼むぞお前ら」


 やっぱアラステッドさんですが、この人は誰かに悩みを聞いてもらうのに向いてない性格してますね。高飛車野郎。上から目線。


「ではお悩みをどうぞ」

「ああ。俺は長年最高神をやっているのだがな、従者神が一人もいないんだ、どうか解決してもらいたい」

「おいおい天罰神、ずいぶん贅沢な悩みだなぁ!?」

「お前がそれ言うか」


 ほんとですよ。

 フリュウさんは二人も従者いるんですから。この贅沢ものめ。


「とりあえず、なんでそんな従者神ほしいんだ」

「俺の他の最高神四人はしっかり従者をもっているんだ、俺にも一人くらいいていいだろう」


 言ってしまえば子供が親に物をねだるやつですね。●●君は買ってもらったんだよ。


「私にいい解決案があります」

「おっ、なんだ嬢ちゃん」

「余所は余所、内は内」

「てことでアラステッド、退場」

「いやおかしいだろ!?しっかり解決してくれよ!」


 心理的に解決したので終わりですね。

 と思ったらアラステッドさん、警備の人を振りほどいてきましたよ。さすが天罰神ですね。


「俺が退場したらまずいだろ!しゃく的に!」

「はぁ。じゃあ従者神になってくれたら何か特典とかありますか?売りにしたいこととか」


 なるほど、従者神に偏見を持っている神も大勢いますからね。言いなりになると思ってる神もいるくらいですから。


「そんなの当たり前じゃないか!俺の世話をさせてやる光栄に思え!」


 はい無理ですね。終わりました。退場安定です。

 これにはさすがに客席の方も苦笑い。


「じゃあMっ気の強い神の方は是非こちらの電話番号までお願いしまーす」


 一応宣伝するんですね、たぶん誰も来ないと思いますが。


「ミコト、ムラマサ、あなた達フリュウくんの従者でしょ」

「一応」

「従者って感じしませんが」


 ですよねムラマサさん。従者ってもっと堅苦しいものですよね。これ完全にルームメイトですよ。


「従者ってどんなことするのか説明してあげれば応募数増えるかもだし、説明してくれる?」

「ゲームです」

「ゲームします」

「えっ!?はっ!?」


 まぁそうなりますよね。

 絶対フリュウさんが特別なんですけど、その通りです。

 客席の方もこれには唖然ですよ。レイティアさんもポカーンです。


「私は家事をして、ムラマサが破壊神代理をして」

「夜四人でゲームして寝ます」


 そう、アットホームな職場です。

 多少食に難がありますが。


「何やってるのフリュウくん」

「いやぁどうしてこうなってるのか。だって俺としては従者募集したって認識はなくてな、わいわい騒いで楽しめる仲間を募集したつもりで」

「その仲間に衣食住全て払ってると」

「だって帰ってきて一人になるの寂しいだろ、金はなくても楽しいほうがいい」

「フリュウさん」

「一生ついていきます」

「フリュウさん、全然纏まらないじゃないですか」


 何いい感じに話は纏めてるんですか、まったく解決のほう纏めてませんからね。


「あー、大丈夫安心しろ」

「え?」

「あれ持ってきてくれ」


 フリュウさんの合図で袖から用具係の人が出てきました。

 ズラズラズラズラ……。

 何やら運ばれてきましたよ。ボールのようなものが大量に。

 ものすごーく見覚えのある色と形してますね。


「これは番組がオリジナルで作ったモンス●ーボールだ!」

「それニン●ンドーです!」

「間違えた、ゴッドボールだ」

「完全に姿形がパクリですよ、ちなみに性能は」

「この中に入った神をポケットに収納可能、さらに従順になる優れものだ」


 完全にパクリじゃないですかー。

 どうせこんな小説がニ●テンドーさんの目に入ることなんてないと思いますが。

 せめて赤と白の配色は変えましょうよ。


「ほらアラステッド、これで客席の神を捕まえてこい」

「ありがとよ破壊神!行ってくるぜ!」

「お客さんが被害者になるんですか!?」


 いやいやいやいや!可哀想でしょ!?

 お客さんにも家族がいるんですよ、勝手にゲットしたら人権問題になりますよ!


「俺のものになれーい!」


 神のフルパワーでボールなんか投げないでくださいアラステッドさん。

 あ、弾かれた。


「ちょっと待てよ破壊神!当てたのに弾かれてるだろ!」

「ちゃんと弱らせないと捕まえられるはずないだろ、まだ体力バー緑で状態異常もなしだぜ?あれだぞお前、捕まえやすさ3の伝説クラスを捕まえてるのと同じだぞ」


 フリュウさん、隠しステータスを言うのはやめましょうよ。絶対わかってもらえませんよ。

 それと神様だから客席の方全員捕まえやすさ3って鬼畜すぎますよ。


「なら弱らせればいいんだな?よし俺が相手になってやる」

「それは禁止、トレーナーがバトルなんか出来るはずねえだろ」

「俺トレーナーになったつもりねえぞ!?」


 アラステッドさんがバトルなんかしたら放送局が壊れるのでやめてください。


「あれ、なんか目の前が暗くなって」

「戦える手持ちがいないからだな」

「じゃあ博士のとこ連れてけ……よ……」

「やっと寝たか、次のセット頼む」


 あ、ゴッドボール片付けですか手伝いますよ。

 アラステッドさんを一瞬で戦闘不能にしてしまうとは、ゴッドボール凄まじいですね。

 でも解決になってませんよ。


「あの、フリュウさん。さっきのに意味あったんですか」

「番組のしゃく稼ぎ」


 10分後。


「じゃあ次の解決案にいこうか、カモーン」

「今度こそ頼むぞ」

「まぁた見覚えのあるボールがきたんですけど」

「サファリゴッドボールだ」


 迷彩柄のゴッドボールですね。姿形がパクリですよ。

 最近このボールが使える施設がまったく来ないので許されるとでも思ってるんですか。

 リメイク作品がきたらすぐバレますからね。


「ちなみにそっちのボールじゃないのは」

「エサと泥団子だ」


 まぁた知ってる人が少なそうなセットを用意してきましたね。

 一応補足しておきましょう。

 エサを与えると逃げられにくくなりますがゲット率が下がります。

 泥団子を与えると逃げられやすくなりますがゲット率が上がります。

 サファリは手持ちがいなくても遊べる施設です、これならアラステッドさんも参加できますね。


「じゃあスタート」

「おっしゃ!そこの金髪美人にきめた!」


 いきなり顔で決めますか。


「くらえ泥団子!」


 べちょ……。


「いやぁぁぁあああ!!」

「あ」


 うわぁ、アラステッドさん酷い。

 綺麗な服が台無しじゃないですか、物凄い嫌な顔して悲鳴を上げて逃げていきましたよ。


「なぁ、これ絶対泥団子は使わないのが正解だと思うんだが」

「俺もそう思った」


 そりゃそうですよ。

 次はエサを投げるみたいですね。


「そこの黒髪清楚系ねーちゃんに決めた!」


 また顔ですか。

 エサと言うより袋に入ったスナックお菓子ですね。

 毎回思いますが、トレーナーさんよくボール外しませんよね。


「これを受け取ってくれ!」


 お菓子ポーイ。


「ひっ……!」

「え」


 あれ、なんで逃げられたんですか。

 ドン引きして逃げていきましたけど、何がまずかったんですか。

 お菓子が好みじゃなかったとか?


「おいおいどうなってんだよ」

「小学生の登下校中にお菓子持ったオッサンが声をかけるとだいたいあんな反応するから、最近の小学生に声をかけただけで不審者になるから」

「じゃあどうやって渡すんだよ」

「トークで仲良くなれ!」


 んな無茶な……。

 でもアラステッドさん諦めませんね、客席に歩いていきましたよ。

 また美人さんですか。


「あの、どうかこのお菓子受け取ってもらえませんか」

「ありがとうございます天罰神さん!一生大切に保管します!」


 いや、食べましょうよ。


「どうですか、俺の従者に」

「すいません、私家族が待ってますので」

「そうですか」


 フラれて帰ってきましたよ。

 お疲れさまです。


「俺にはもう無理だ」

「お前の丁寧語シーンとかレアだったな、絶対放送してやる、編集で消すなよ」


 フリュウさんも遠慮ないですね。


「じゃあもう、俺本気だしていいか」

「なにする気だ」

「拉致」

「拉致!?」


 なに男子高校生みたいな声出してるんですか。

 というかアラステッドさん、普通に犯罪。


「バレなきゃ犯罪じゃねえからなぁ」

「とりあえず悔いが残らないようにやるだけやってこい、あとで逮捕してやるから」

「警察なんかに俺が捕まえられるとでも!?」


 あー、アラステッドさん犯罪者まっしぐらですよ。

 客席が大混乱です、男性は涼しい顔していますが、女神は逃げ回ってます。


「俺の従者になれーい!」

「はい500歩です、サファリモードを終了しまーす」


 はい、お疲れさまでした。

 アラステッドさんも諦めが悪いですね、客席から完全に離されてボールもないのにまだ従者欲しがってますよ。


「赤髪の嬢ちゃん……俺の従者になんねえか」

「嫌です」


 トレーナー(フリュウさん)に弾かれた。

 人のものを盗るのは泥棒!


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