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破壊神と神生ゲーム②

 前回のあらすじ!

 レイティアさんが窓ガラスを割って不法侵入。

 レイティアさんが他人の家のお菓子を食べる。

 レイティアさんものすごいお婆さんだと判明。


「じゃあルールを説明するね」

「別にしなくていいぞ」

「なんで!?神生ゲームやるの初めてでしょ!?」


 なんでレイティアさんが疑問を持つのか疑問に思います。

 読み方そのままで漢字を変えただけじゃないですか。むしろルール知らない人の方が少ないでしょうし、知らなくても簡単に理解できるパーティゲームの頂点的存在ですよ。

 もちろんこの手のゲームは経験済みです。


「だってなぁ」

「これ●生ゲームのパクリ」

「ミコトさんなんで言っちゃうんですか」

「この世界は私が作ったの!だから私が全ての原点なの!」


 はぁ……。

 勢いだけで無理矢理パクリ疑惑を抜けようとしてますね。しかも世に出回る人●ゲームをパクリ商品だと主張するこの女神様ですよこの世界のもの全てパクリにするつもりですよ。

 無視して進めましょう。


「このゲームの勝利条件はなんなんですか?」

「ゴールした時にお金を一番稼いでた人が優勝ね」

「これ完全パクリだろ」

「冗談よ。KOPを稼いでた人が優勝なの」


 フリュウさんからの指摘にレイティアさんが変な単語を発しました。

 なんですかそのKOPって。


「具体的にはこのカードをたくさん集めた人が勝ちってことかな」

「なになに?『フリュウくんは猫耳の女の子が好み』ってレイティア!」

「これこそKOPカード!正式名称を言うとカミングアウトポイントカード!」


 酷いパーティゲームですねこれ。レイティアさんがコツコツ集めた他人の恥ずかしい本性を集めるとか外道ですよ。

 でもやってみたいです。


「ふっざけんな今すぐ中止だ!こんなゲーム破壊して」

「フリュウさん」

「ん?どうしたマティルダ、そこをどいてくれ」

「私、気になります!」






「じゃあ俺の番からな」

「やっとやる気になってくれたぁ」

「俺の知らないとこで俺の秘密が暴露されるとか嫌だからな!仕方なくだからな!」


 そういう理由でフリュウさんはゲームに参加してくれました。ありがとうございます。

 フリュウさんは不機嫌なまま八つ当たりぎみにルーレットを回します。

 ぐるぐるカラカラ……。


「おっ、9がでたぞ」

「いいスタートですね」

「一気にゴールしてカミングアウトの数を減らしてやる、むしろ俺がレイティアの秘密を見てやるからな」


 他人の不幸は蜜の味ですからね。これはそんなゲームです。

 最初からいいスタートをきってフリュウさんは少し嬉しそうです。楽しそうでよかったです。

 トントントン……。


「あれ?何も書いてないぞレイティア」

「じゃあ何も起こらないマスってこと」

「いやいやいやいや、こういうゲームってイベント盛り沢山だろ普通!?」

「人生ってマンネリした日常の繰り返しなの、そんなにイベント盛り沢山な人生なんてないのよ」

「何もなしか……」


 うわぁ……思ったよりこのゲーム人生してるじゃないですか。

 フリュウさん少し嬉しそうだったのに落ち込んじゃいましたよ。

 これ終わる頃には生きることに絶望してなければいいのですが。鬱になったりしませんよね。


「次は私が行きますね」

「マティルダ……イベントを頼むぞ」

「任せてください」


 見たところ3割程度で空白のマスがありますね、割合もリアルに見えてきますよ。

 フリュウさん待っててください、私がイベントを出してみせます!


 9。


「何もなしか……」

「何もなしですね……」

「人生ってこんなもんだよな……」

「こんなもんですね……」

「レイティアさん、あの二人が虚空を見つめてるんだけどあの症状治るよね」

「順番が回ってきたら治るんじゃない?」


 はやく……イベントを……不幸を……。


「じゃあ私がイベントを出すから、二人とも戻ってよ?」

「イベント出してから言ってください」

「ミコトがんばれー」

「ダメみたいですね、完全無気力になってるし」


 ぐるぐるカラカラ……。

 1。


「たった1ですか」

「遅いぞミコトー」

「でも二人と違ってイベントがあるみたい」


 うぐっ。そこつつかれると辛いです。

 イベントがあってこそのゲームなのに、イベントを踏めなかった私たちはこのゲーム向いてないですよ。

 肝心のイベントはなんでしょうか。


「えっとね『神々のパーティに誘われる。KOPカードを1枚入手』」

「けっこう早めにカミングアウトしちゃうんですね」

「俺のはやめてくれよ」

「できるだけレイティアさんのを選ぶ努力をします、はやくカード並べて」

「ちょっとミコト、文章は最後まで読まないとダメよ」

「えっ?」


 ミコトさんがレイティアさんにKOPカードを出すよう求めますが、なぜか焦らすレイティアさん。

 文章の最後に何が書いてあるんですか。


「えーと『ただし最高神に限る』って、え?」

「ミコトはその1つ下の位だからね、何も起きないの」

「なんでですかー!」

「だって可能な限り位の高い神と親交を深めた方がいいじゃないの、階級の低い神は黙ってなさい」


 完全階級制!

 実質ミコトさんも何もなしってことですか。

 こういうマスがあるのならフリュウさんとレイティアさんが有利になってしまいますよ。最高神ずるーい。


「すいませんフリュウさん」

「いや、いいんだ。誰の恥ずかしい話も聞かなくて済んだんだ」

「あ、私も1でたよ」

「おいこら」


 回すのはやい!

 レイティアさんミコトさんが謝ってる間にルーレット回してさらに1を出していく。

 レイティアさんは最高神の一人ですからイベント発動。

 四人目で初めてイベント発生とか、ほんとにパーティゲームなんですか。


「じゃあKOPカード、これをもらうね」

「なに引いたんですか?」

「うふふー、知りたい?」

「もちろんですよ」


 レイティアさんカードを見てニヤニヤしてますね。そんないいカードだったんですか。すごく気になります。


「じゃあ読むね『フリュウくん実は彼女いない歴=年齢』なんだって」

「あ」

「あ」

「……」


 なんてこと言ってるんですかレイティアさんは。こんなモテモテ男のフリュウさんが童貞なはず……そんなはず……。

 え、本当なんですか。


「うるせぇ!気にしてるんだぞ俺も!」

「本当なんですか」

「うう……もうこのゲームやめたい」

「泣かないでくださいよ」


 体操座りをして顔を埋めてしまいました。

 年頃の男の子が女子の前で自分は童貞ですとカミングアウトするわけです、相当恥ずかしいでしょうね。

 内心、ちょっと嬉しいです。

 でもすねられてはゲームが続きませんからね。フォローしておきましょう。


「安心してください、私も年齢=彼氏いません」

「マティルダは俺が人間と可能な限り付き合うなって言ってるじゃないか、いなくて当たり前じゃないか」

「う……でもでもフリュウさんカッコいいですから、すぐにいい人見つかりますよ」

「人を好きになって心が乱れて破壊しちゃうのが俺の能力なんだよ……」


 うわぁ……これは酷い。

 なんかトラウマ思い出させてしまいましたよレイティアさん!どうするんですか!


「俺がちゃんとした戸籍にいれば絶対オ●ナ高校の1期生になってたんだぁ!!」

「落ち着いてくださいフリュウさんは永遠の17歳です、あの高校は30歳からしか入れません」

「つまり俺は永遠にオトナになれないんだよ!こん畜生!」

「ちょっとレイティアさん!鬱になってます!はやく治してください!」

「ごめんごめんフリュウくん、年齢=彼氏いる歴の私が言うのもあれなんだけど頑張ればいつか実を結ぶから」

「年齢=ストーカー歴の間違いでしょ!」

「全員おちついてー」


 しばらくお待ちください。


「ごめんね迷惑かけて、もう過去のことは忘れてゲームを楽しもう」

「そうですよ」

「ねー」

「はぁ」


 あの後カミングアウト大会になってもう私たちに失うものは何もありません。もうこのゲームの怖いところがなくなったわけです。

 純粋に●生ゲームを楽しみましょう。

 ぐるぐるカラカラ……。


「3がでたぞ」

「何が書いてあります?」

「なにもー」

「谷のない人生っていいですよね」


 次は私の番ですね。

 ぐるぐるカラカラ……。


「7!イベントがありますよ!」

「えっと『彼氏と初めての朝チュン、KOPカードNo.10をもらう』だね」

「あったあった、はいこれ」

「『レイティアはフリュウくんの家に不法侵入して布団に潜り込み彼氏と朝チュンナウとSNSに投稿した』何やってるんですか」

「バレなかったから犯罪じゃないんだよ」


 確かにバレなきゃ犯罪じゃないですね。

 今バレましたよ。


「レイティア、ちょっと部屋にこい」

「えっ!?二人きりでフリュウくんの部屋に!?」

「そうだ、縄とガムテもな」

「まさかのSMプレイ!?」


 あ、レイティアさん行っちゃいました。

 これ絶対手足を拘束されて窓から落とされるやつですね。

 さっき悲鳴も聞こえました。


「ただいま」

「レイティアさんは?」

「急用で帰ったよ」


 しばらくお待ちください。


「レイティアさんも帰ってきたし私回すよ」

「ずいぶん早かったな」

「だいぶSっ気の強いプレイだったよ」

「よく死にませんでしたね。」


 ぐるぐるカラカラ……。

 4。


「なんか私だけ数字が弱い気が」

「ミコトさんだけ5以上出てませんね」


 この手のゲームは大きい数字を出してはやくゴールしたほうが有利になることが多いです。フォローにしくいですね。


「えっとね『街を歩いていたら神々からサインをねだられる、自分の知名度に気づきサイン色紙を1枚5千円で販売して大儲け。100万円もらう』」

「100万円!?」

「序盤から大金もらえるのか、家とか買うのに有利になるぞ」

「でもこのゲームでお金って勝利条件に関係ないのですが」


 言っちゃダメですよミコトさん。


「またミコト文章読んでないじゃないの」

「……また『最高神に限る』ですね」


 なんでですかぁ!?


「ちょっとレイティアさん!このゲーム最高神に優しすぎでしょうが!?」

「最高神と普通の神との差がこんな感じだよー」

「嘘です!こんな夢のないゲーム嫌です!」

「人生ってこんなもんなんだよ、地位で大きく変わるもんなんだよ」


 神ってもっとキャッキャッうふふなイージーゲームだと思っていましたが、神でも序列があって苦労してるんですね。フリュウさんなんか最高神なのに苦労してますし。

 むしろ最高神以外は山も谷もない人生を永遠と送るわけですか。


「じゃあ私がいくねー」


 最高神との格差を見せつけて機嫌のいいレイティアさん。

 ぐるぐるカラカラ……。

 10!


「最高の数字を引いていくのよ最高神は!」

「ただの運です」

「うるさい!運も実力の内って言うでしょ」


 トントントントン……。

 数字運よりイベント運のほうが強いゲームだと思いますが、だって今レイティアさんが引いたマスが……。


「『魔王襲来!死亡』」


 ほら……。

 ゲームオーバーですよ。


「じゃあなレイティア、もう帰ってこなくていいぞ」

「ちょっと待って!私がルールだから!魔王なんて返り討ちにできるから!」

「人生ってよくわからないもんでな、万が一で魔王に負けたわけだ。この姿で魔王に見つからないようにするんだな」

「やめっ……!!きゃあああああ!!」


 縄でぐるぐる巻きになった状態でマンションから突き落とされて大声だして、魔王がいたら確かに敗北しますね。

 もうレイティアさんの出番ないかもしれません。

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