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だいたい皆コスプレ*

『この……俺が……!貴様のような贋作に!』

『うおおおおお!』

『認めよう……今はお前が……強い!』


 まさかあの金ぴかを倒すとは……。

 ファイトstay侍を録画して皆で見ていました。本当に戦闘シーンが迫力ありますね。

 なのにこの人たちは……。


「さすがに剣を作るのは無理だけど、それっぽく見せれそうだよな」

「そこはレイティアさんに頼んで剣を飛ばしてもらえばいいのでは」

「私ロー・アイ●ス展開しますね」


 でましたよアニメを再現できるか会議。

 アニメが好きな人は全員、1度でいいからあんなことしてみたいとか思ったことがあるのではないですか?

 主人公がカッコよく戦うシーンとか、自分もやってみたいとか。

 まぁ、この人たちにはそんな欲求はないんですけどね。

 だって再現しちゃいますから。


「じゃあ照明準備して、マティルダはカメラ頼むよ」

「はーい」


 着替えはやっ!

 えっと、フリュウさんとムラマサさんで戦闘シーンを再現してミコトさんが背景やエフェクトの編集を担当する感じでしょうか。

 撮影スタートです。

 撮影終わりました。


「なかなかいいじゃないか」

「フリュウさん、俺の腕本気で斬らないでくださいよ」

「だって斬られてたし」

「限度があるでしょう」


 フリュウさんがムラマサさんの腕を斬り落としているシーンですね。なかなか痛々しいですが、合成でエフェクトを追加したお陰で安心して見られる程度には非現実になっています。


「やっぱムラマサ、せめて金髪にでもしなさいよ」

「なぜ金髪に」

「アニメ徹底再現のために決まってるじゃない」

「コスプレになるじゃないか」

「コスプレしなさいよ」


 まぁた喧嘩始まった。

 ムラマサさんはわりとあっさりしたタイプと言うか、この再現においてそこまで追究しないんです。

 ですがミコトさんは徹底的にやるタイプでして、真似るならそっくりにしたい人なのです。

 フリュウさんもどちらかというとあっさりタイプですね。


「今回もカッコよく再現できたじゃないか」

「ですよね」

「黒髪どうしのアニメならいいけどさぁ、せめて髪の色くらいは揃えましょうよ。二人とも和服なんだからなんのアニメかわからないですよ」

「私もミコトさんに賛成です」

「でもなぁ、髪染めるの抵抗あるというか」


 そんなこと言ったら私はどうなるんですか。

 赤髪が地毛ですよ。


 ピンポーン。


「あれ、お客さんだ」

「こんな時間に誰でしょう。私見てきますね」


 なんで日付が変わるギリギリに来客がいるんですか。このマンションの住人は常識あるんですか。

 すいません、この家の住人が常識なかったです。


「どなたですかー」

「やっほーマティルダちゃん」

「よう嬢ちゃん、夜遅くに悪いな」


 ああ、やっぱり常識ない人じゃないですか。

 創世神レイティアさんと天罰神アラステッドさんですね。こんばんは。

 アラステッドさん勝手にずけずけと入らないでくださいよ。


「おい破壊神!見たか昨日の俺の活躍は!」

「お前なっ、毎回声でかいんだよ」

「天罰神、活躍とは?」

「なんだ見てないのか、今週のファイトstay侍」


 そう言えばアラステッドさんってギル●メッシュに似てますね。髪をかきあげているのでzeroのほうが似てますが。


「金ぴかがお前だって主張したいわけか」

「いかにも!俺はアイツになるぞ!」

「だから声でかいんだよ夜中だぞ」

「これを見ろ」


 コスプレイヤーの集い……?

 まさかそれにギルガ●ッシュのレイヤーとして参加する気ですか。


「私もそれに参加しないかって誘われてね、参加しないと毎晩うるさい声を玄関前で出すって言うからついてきたの」

「子供かお前は」

「俺がルールだ!なにせ天罰神だ!法も理も全て俺の意のままにならなければダメだ!」


 あ、この人性格もワガママなんでギ●ガメッシュになれますね。ピッタリじゃないですか。


「まぁ俺は参加してもいいぞ」

「フリュウさん!?」

「本当ですか」

「さすが破壊神!話がはやい!」

「参加してやるから音量下げろ」






「やっと帰りましたか」

「さて、俺らもコスプレの準備するか」

「そうですね」


 アラステッドさんは素がすでにコスプレみたいなもんですからね。服装をあわせて髪を整えれば終わりでしょう。

 顔が二次元顔してますからね!


「まずは誰のコスプレするかだよな」

「ですねぇ」

「あまり準備に時間をかけていられないですよ。特殊メイクあたりで完成できるのしか無理ですね」

「そうですかね」


 いや、だってここにいる人たちコスプレする意味あります?

 だってアラステッドさん同様に顔からして二次元顔してますし、特殊メイクしたらもう完全2.5次元になりますよ。


「ミコト」

「はい?」

「デース!とかファイヤー!って言ってみてくれ」

「デース!ファイヤー!」


 はい、ミコトさん私服がコスプレでした。

 もう小物を揃えれば艦●れの金剛型一番艦になれますよ。


「もうミコト私服で参加してもいいんじゃね」

「なぜ私服で?」

「巫女のコスプレってことで」

「ならフリュウさんもムラマサも私服で参加できそうよ、侍のコスプレで」


 どうやら私はレイヤーと暮らしていたようですね。

 三人とも美形のいい顔してますし、何もしなくても栄える気がします。


「マティルダもそれでコスプレ完成だな」

「へっ?私もですか」

「赤髪が地毛だし可愛さは俺が保証するし、シャ●のコスプレになってそう」


 可愛いとおっしゃいましたかフリュウさん!

 よし、これは参加するしかないですね。


「あまーい!」パリーン

「!?」


 いやいやいやいや。なんでレイティアさんベランダの窓ガラスを突き破って入ってくるんですか。

 本当にこの人創世神なんですか。ここの破壊神でも壊しませんよ。


「あまあまだよ!コスプレなめてるでしょ!」

「レイティア……さっき帰ったばっかだろうが、あと窓ガラス壊すな」

「そんなことどうでもいいのよ!」

「どうでもよくないから」

「イダダダダダッ、嘘です大事なことですっ」


 うわぁ……フリュウさんレイティアさんに関節技決めてますよ。

 容赦ないですね。

 でもちょっと羨ましいとか思ってませんから!

 フリュウさんとあれだけ馴れ馴れしい関係になりたいとか思ってませんから!


「うう、あんな強くすることないじゃないの」

「俺は不法侵入者を取り押さえただけだ」


 まぁそうなりますよね。

 それにしてもレイティアさんの時戻し便利ですね。羨ましい。


「ちょっと待った!修復は少し待った!」

「へっ」

「お前かよ」

「とう!遅れて悪かった!というかコスプレの話にこの俺を呼ばないとはどういうことだ!」


 アラステッドさん、壊れた窓ガラスの隙間から器用に入ってこないでくださいよ。

 まぁたうるさくなるじゃないですか。


「天罰神。この人たちコスプレのこと何も知らないようだから教えてあげようと思って」

「ほうほう」

「初心者にそこまで求めようとしないでくれよ」

「そうですよ、楽しくやれればいいじゃないですか」


 なんかレイティアさんに仕切られるの腹立ちます。ストーカーのくせに。


「この集いは人間主催のものよ、神である私たちが人間に負けるわけにはいかないのよ!」


 えー。

 そこですか。

 勢いで押し通すつもりのようですが、まったく伝わらないです。


「わかったから黙っていろ創世神。後は俺がやる」

「むー!むぐー!」


 アラステッドさんにガムテープを口に貼られて手足を縛られるレイティアさん。この人が拘束される姿よく見る気がするのは気のせいでしょうか。


「俺の意見は創世神みたいに馬鹿げたやつじゃない、よく聞けよ」

「むんむむむー!(なんですとー!)」

「お前たちのやろうとしているコスプレには、心が入っていない!」


 えっと……心?

 フリュウさんも意味がわからないって顔してますよ。


「どういうことです?」

「嬢ちゃんがやろうとしてるのはシャ●のコスプレだったか」

「なんかそういう流れになりましたね」


 そりゃ突然コスプレに誘われているので準備なんかありません、似ているキャラをチョイスするのはある意味当然かと。

 というかよく聞こえてましたね。


「似ているからダメなんだ」

「え?」

「コスプレとは3次元と2次元の狭間にある2.5次元!それ故にキャラになりきらなければいけない!だがお前たちがしようとしているのは単なる着替えの延長線上のものだ、それでは心からキャラになりきることなんてできやしない」


 な、なるほど。

 似ているからこそ3次元の私がキャラに残ってしまうということですか。鋭い指摘。

 これにはフリュウさんも納得ですね。


「その熱意は伝わったが、もう準備期間なんて残されていない。聞くにはコスプレの衣装は手作りになると何ヵ月もかかるらしいじゃないか」


 衣装をどれだけこだわるか、どのキャラにするか、オリジナルのキャラにするか。カメラマンとして参加するのは簡単ですがレイヤー参加となると敷居はぐんと高くなります。

 費用も時間がかかりますからね。

 そしてこの家にそんなお金も時間もありません。


「それは問題ない、最近ではコスプレの衣装をレンタルできるスタジオもあるからな」

「そんな店できたのか」

「アニメの力すごいですね」

「それに……」


 チラッ。


「むっ!?むぐぐ?(わっ!?私?)」

「こいつに作ってもらえばいいだろ」






 そしてコスプレイヤーの集い当日。


「この俺がいるところが新撰組だ!」

「はーい新撰組でーす……人が多い……かはっ……!」


 大丈夫ですかミコトさん、いくら設定で病弱があるからって無理してそこまでなりきらなくてもいいんですよ。

 わかる人もいるでしょうけど、ムラマサさんが土方でミコトさんが沖田です。

 ムラマサさんは黒い厳ついスーツを着て髪もボサボサにしてます。

 ミコトさんは袴にブーツ、それとこのコスプレをしている間はメンタルがとても弱くなるらしいです。人ごみが苦手だとか。

 ミコトさんこのコスプレをして集いに参加しないでください。


「ああ……好きだよ」


 あのフリュウさん、ネタが絶対わからないような台詞を言うのはやめてください。

 絶対台詞でわかった人はいないでしょうし、そもそも知らない人もいるので補足を。

 フリュウさんは金髪になり緑色のアイコンタクトをつけて甲冑を着ています。

 まぁわからないでしょうね。『王の話をするとしよう』くらい有名ならいいのですが。

 正解はセイ●ープロトです。


「あ、私もついていかないと」


 私結局カメラマンとして参加することにしました。

 私は魔王ですから、神であること人たちと同じステージに立つのがどうしても怖くてレイヤー参加は断念しました。

 でも今の三人と話していると本当にアニメキャラと話してるみたいでとっても楽しいです。

 さてさて、私はいっぱい写真を撮ろうかな。


「あの、マティルダさんですよね」

「へっ!?あ、はい」


 なんで私?

 というかなんで名前知ってるんですか!?


「やっぱりマティルダさんでしたか。いやぁ先代のほうを選ぶとはなかなかやりますね」


 へっ!?え!?


「よろしければ写真を撮らせてもらえませんか」

「えっと……私は今回カメラマンとして参加しているのですが」

「コスプレしつつカメラですか、いいですね」


 え……もしかして私と同名のキャラいます?

 ※いました。


「こういうオチですか」

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