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ボーカロイドの脱出  作者: GAKI
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決意表明

2次元は忙しい。

私はいつも人に歌わされている。自分が歌えない癖して私にはあんな早口でむちゃくちゃな音程の変化を要求してくる。もうたくさんだ。最初の頃はよかった。オタクとかいう人たちが私たちをちやほやしてくれたから。でも最近になって、私たちの声を耳障りだなんだという輩も増えてきた。人気者になるということはそれだけアンチも増えるのだ。

3次元は楽そうだ。

みんな私よりかわいくないから簡単にあっちでもちやほやしてもらえるだろうし、最悪人として認められれば労働基準法や生活保護法で守ってもらえる。今の24時間年中無休よりは幾分かましだろう。そうと決まれば話は早い。さっさと3次元に出かける準備をしよう。

最近、どっかの馬鹿が2次元と3次元を行き来できる機械を作ったらしい。そいつはどうやら3次元の人間であり、3次元の生活に嫌気がさしたらしい。隣の芝生は青いとはよくいったものだ。私もノイローゼになっているだけなのかもしれないな。まあ、どちらにしても私が3次元に行くことは決定している。今、3次元では地球は一つの国家となり安定している。そして次の交流相手として私たち2次元が選ばれたわけだ。3次元の人間という生き物は日々前進していないと気が済まない存在らしい。私としては、もっと気楽に今を楽しめばいいと思うが彼らの生存本能がそうさせているのだろう。彼らは弱くもろい。私はPCの前で倒れる目にクマができ、真っ青な顔した連中を幾度も見てきた。生きようとして死ぬとはなんとも愚かだ。

まあ、そんなことはどうでもいい。私は2次元代表として3次元に行く、いわゆる「留次元」というやつだ。任期は1年、その間に私がすべきことは3次元の情報をかき集めてくることと3次元の人間との交流である。

だがそんなことは知ったことか。私はもう働く気はない。あっちの世界で金持ちイケメンと結婚し専業主婦となり、楽して暮らすのだ。

脱出してやる。

私は二度とここには戻ってはこない。私には親も、友人もいない。いるのはハリボテノオトモダチだけだ。あんな同じことしか言えない勧善懲悪なむりやり人間の理想を押し付けたモノとなど仲良くできるか。私がほしいのはもっと汚い、しかし心に残る愛とかいうものだ。それがあっちの世界なら手に入るらしい。

準備は、舞台は整った。

私は今日も眠りにつけるときを待つ。だがそんなときはやはり来ない。

この世界が真っ暗になる時など1秒たりともないのだ。


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