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第1話『黒い心売人の誕生』前編

私には何のとりえもないと自覚している。唯々何気ない生活を送っているだけで、大きいどころか小さい変化もまるでない。

 高校生の時分、周りから「結婚できない」、「モテない」、「一生独身だ」と囁かれていた通り、変化のない自分にとっては『恋』等というものは芽生えるどころか考えもしなかった。彼に出会うまでは…


 それは淋しい聖夜の時分である。池袋駅の南口から歩いて3分程のところにある、隠れ酒屋『Boots』で酒を浴びる様に飲んでいた。この酒屋は酒屋なのに靴屋のように様々な靴を並べている。決して装飾ではなく商品である。その変わった風貌から、他の者は酒屋とは思わない。知る人ぞ知る酒屋なのである。常連はいつも決まっている。新規の客等来ない。だが聖夜だけは違った。

 黒いスーツに縞々のネクタイ。黒い帽子の男は怪しげなニヤけ顔をしながら来店した。マスターの橘さん(常連は「おばちゃん」と呼ぶので以後おばちゃんと書く)は驚いてはいなかった。常連はみんな知っている。しかしこの男は知らない。おばちゃんは「もぐちゃん、いらっしゃい。お久しぶりね。」と親しげに挨拶をした。他の客は驚きもせず寧ろ無反応だ。何故だ。私は思った。

 その男は私の隣の席に座った。男は何も言わなかったがおばちゃんはグラスを男の前に差し出した。ウィスキーだ。おばちゃんは何故男を知っているのだろうか。疑問だった。

 ウィスキーを飲んだ男はいきなり私の方へ振り向きこう言った。「あなた、淋しい聖夜でしょ…。楽園に連れてって差し上げましょうか…。」

安孫子元雄先生の作品の一部をお借りいたしました。しかし、倒錯等ではありません。後編をお楽しみに。

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