8大工と源さん
森からリルルが戻って来た、見知らぬ子供と一緒だ。
「よぉ、遅かったなリルル、おや、そっちの子は?」
「リルルの友達、えーと」
「ふん、好きに呼ぶといいわ! 森のエルフよ」
「えっ? 内緒じゃ……」
名前無いのかな、不便だな、森のエルフって、エルフは大体森に居そうじゃね?
「そうか、よろしくな、俺はユーマ・マッケンジーだ、エルフは名前無いもんなのか?」
「知らないわ、ずっと一人だったもの」
……そうか
「じゃあエルルって呼ぶな」
「えっ? アタシの事?」
「嫌か?」
「悪くないわね!」
ふふん、そうだろう、そうだろう。
「よろしくな、エルル」
「ええっ、しょうがないから、よろしくしてあげるわ」
皆で飯を食う、なんか屋台がまた増えてるな。
「ユーマさん、エルザの旦那が皆の住家、改築したいってよ」
「おおっ、そりゃすげぇな、どんどん頼むわ」
「ユーマさん、ありがとうございました」
誰だ、いきなり礼を言われてもな。
「気にすんな」
「いえいえ、貴方のおかげで元気になりました、俺も皆達も」
あぁこの人がエルザの旦那さんかな?
「ちっ」
「な、なんで舌打ちっ!」
「何でもねぇーよ、この野郎、いい女捕まえやがって」
「何でもなくないじゃないですか!」
とりあえず殴る
「なんで殴るんですか」
「すまんすまん、羨ましくて、ついな」
「もぅ〜、まぁ確かにエルザは世界一いい女ですが」
「おい皆、こいつに大工仕事全部任せようやー」
「「いえっさー」」
「ええっー」
もう一発くらい殴っときゃよかった。
「そーだな、大工の技、教わりたい奴に教えてやってくれ、えっと源さん」
「えっ? いやいや誰ですか源さんって」
「おめぇら、大工仕事に興味ある奴は源さんにしっかり教えてもらえー」
「「頼むぜ源さん!」」
「えっ? 俺? 俺が源さん?」
源さんに任しときゃ住家は問題無いな、あ、弓矢とか作れんか聞いとこう。
「ゆーまダンジョン行かなかったの?」
「野暮用でな、今から行くよ、おーい源さん弓矢作れるか?」
「うーん、多分明日には作れるよ、そうだね、皆で特訓がてらちょいちょい作るよ……あの〜源さんはやめてくれないのかな〜?」
「子供用に二つ、なるべく早く頼むな」
「おっ、そこのちびっこ達の分かい? それくらいならすぐに作るよ、ちょっと待ってて」
「リルル」「ちびっこって失礼ね、エルルよ!」
皆に矢の手本を見せ、源さんは弓を簡単そうに作って行く。
「凄いな、流石は源さんだ」
「ははっ、何かね、楽しいんだ、いや嬉しいんだと思う」
「気に入ったのか? 源さん」
「気に入ったのは名前じゃないよ! 必要とされる、仲間のために腕を奮える、うん、大工でいてよかったよ」
「源さん……」
ちくしょう、あんたいい大工だよ。
源さん作、子供用弓セットが完成した。
「わぁ、ありがとう源さん」「アタシにも? いいの?」
大好評だ、やるじゃない、源さん。
「リルル、エルルちょっとこれに打ってみ」
距離は10メートルくらいだ。
「「えいっ」」
二人共ハズレだ
「おいおい、ちょっと貸してみ」
「「や!」」
くっ、二回目でエルルは的に当てやがった。
「む〜っ」
「外したの覚えておいて、目安にするのよ」
「源さん俺のは?」
「今度ね」
ぐぬぅ、残念だが北のダンジョンに行くか。
「アドゴン、ダンジョン行くか?」
「もちっす」
「……アドゴン」
「よっしゃ、二人はどうする?」
「うーん、どうしよう」
「馬鹿ね、弓の特訓よ!百発百中にするわよ!」
「おぅ、頑張れ〜」
「ゆーま、気をつけてね」
三人でダンジョンに到着だ、ついでに薬草と毒草、毒消し草もゲットした。
「なぁ、このダンジョン何階まであんの?」
「地下10階らしいっすよ」
「……いく?」
「今日はいかぬ」
安全第一だ、目的は魔石と安全ラインの確認だ。
ダンジョン地下一階はスライムしかいない感じだな。
「あんまし数いねぇな」
「ダンジョンマスターいないっすからね」
「……あ、また二匹、いた」
よっしゃ、魔石ゲット、これで16個目だ、なかなかですな。
「2階は何か違うのか?」
「スライムの他に蛙がいますよ」
「ほほぅ、美味いのかね」
「いやいや、倒したら魔石化しますって」
「わかってるよ」
結構簡単に階段発見だ、さてどうしようか。
「とりあえず降りるか」
「多分5階くらいまで楽勝っすよ」
「……ごかいから、てごわく、なる」
2階に到着、蛙は居るかな〜。
「居たっ、あいつ毒有る?」
「無いっすよ」
よし、蛙がジャンプしたところを空中で
「あぐっ」
喉に噛み付いて、味わって見る。
「悪くない、いや、美味いんじゃね」
あっ、魔石に変わってしまった、もうちょっと食いたかった。
「蛙、どこだー!」
「……アニキ」
「……けだもの」
やかましい、蛙だ、蛙を探すのだ。
「いたぞー!」
美味いぞー、両手に人サイズの蛙をゲット、美味し! ふふふ、まだ消えるなー。
「は、はわわ」
「……ガクガク」
ふぅーもう食えない、また今度だな、気に入ったよここ。
《装備:》
《持ち物:白魔石45、薬草12、毒草5、毒消し草2》
《お留守番:リルル、エルル》
《なんか強そう:アドゴン》