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初等科編29

「計画通りに進んだね、魔法科もあの計画通りに進めていくの?」

 と、一回戦ではおじさんの防御面の担当していたリースちゃんがそう聞いてきて、久しぶりに着たワンピースドレスの感覚に違和感を感じながらも、初等科一年竜騎士科の称号者しかいないため、思わず気が緩んで微笑んだ後……、

「そうね、計画変更はないわ。魔法科は勝負の結果は気にしないで、今回の目標はトーゴ先輩が言っていた観客を見せる手合わせを見せることよ。勝敗など二の次、対戦側でさえも見惚れるような戦い方を見せてあげましょ。……大丈夫よ、きっと立ち位置でさえも驚くはずだから自信を持って魔法に集中すればいいわ、リースちゃん」

 いつも通りの口調でそう言えば、それもそうねとあっさりと引き下がってしまったことに驚いた。

 そんなおじさんの表情が気に食わなかったのか、リースちゃんは拗ねたような表情を浮かべて……、

「得意は分野は得意な人に任せるわ、私だったらこんな戦い方思いつかないもの」

 強気な態度で照れ隠しをするリースちゃんに、ナナセくんは苦笑した。

 ……何となく気持ちが通じ合っているナナセくんとシィの関係では、きっとさっきの発言を素直に言ったらどうなんだろう? って思っているのね。

 まあ、リースちゃんの性格上では素直に言うのは難しいんだろうけど。


 そんなことより、おじさんはノーリに視線を送ってこの場をまとめるように伝えれば、目立つのがあまり得意ではないことを知っている彼はあっさりとこの役目を引き受けてくれた。

「次は魔法科との戦いだ。……一回戦ではこちらの手のうちは明かしてない、有利な状態にある。いつも通りで良い、勝敗を気にせず俺らに出来る“戦い方”を魅せてやれば良い。

焦らず冷静に、やれることをやって後悔のない手合わせにしよう」

 ノーリがそう言葉を言い終わった時、空気を読んだかのように言い終わったと同時に会場への入場を知らせるアラームがなり、おじさん達は堂々とした態度で、会場へと向かって歩き出したのだった。


 会場へと入り、魔法科の戦意は実戦に向かう前そのものだった。

 そんなことを気にせず、おじさんは誰にも守られることない位置に立ち、観客も対戦側も戸惑ったような声を上げながら、こちらの方へと注目してきた。

 挑発ではない、これは魔法科との戦いの作戦ではこの位置は重要なのだ。

 そんなに戸惑うようなことなのかな、“守られ役”が戦ってはいけないと、誰が決めたのだろうか?

 そう考えているうちにノーリが一言。


「うちの姫さんは……、黙って守っていられるほど大人しくはないんだよ」


 ああ……! 今、会場中の異性の何人かはノーリに絶対惚れた!

 おじさんのファンクラブでさえも尊敬する目で見てるもの! ノーリの男前度は年々上昇しているわ!

 だけど一方、挑発と受け取った対戦相手は月の称号者以外冷静さを失うくらい、気分が高まっていた。


◇◆◇◆◇◆


 戦うって言っても、銃で攻撃するくらいなんだけどね、やっぱり最低限以上に目立ちたくないと言うか。まあ、考えて考え抜いた戦い方を見て欲しくないと言ったら嘘になるけど、これ以上は目立ちたくないかな? とそう考えているうちに手合わせ開始のアラームが会場に鳴り響いた。

 まずはおじさんはと言うと……、銃を作り出す前に一度に作れる銃弾の限界、三十もの銃弾を作り上げてから中距離用の銃をものの数秒で作り上げた。

 銃を撃つ時、集中力が必要とするでしょ? だから三十もの銃弾を撃った後、銃弾を作り出そうとするとあまり効力が上手く発揮することが出来ないの。

 だから、考えた。予め複数銃弾を作っておいて、戦いに挑み、尚且つ魔力消費量を少なくしようと。

 と、言っても今回は華やかな演出にしようと、普段より魔力を消費したけどね。


 さて、そんなおじさんの出番は後半です。まずは今回の作戦で核とも言えるノーリの攻撃から始まる。

 回復魔法による攻撃。

 それをすることにより、魔法使いの戦い方を不利にすることが出来る。

 ……回復魔法を使う時、意識的に魔力の流れを背かせることで、そうした回数ほど効果は絶大となる。

 今回はレベル一、魔法攻撃の威力を発現したと同時に普段の四分の一だけ効果を薄めることが出来る。

 使い方を間違えれば、間違えなく禁忌魔法とされる魔法であるのは間違えない。……だけど、紫髪の少女との戦いで生き残るためにはこの方法しかない。

 この魔法の効果が続くのは時間制限がある、だけど万が一のためにノーリだけは時間制限内でもこの魔法の効果を解く手段を持ってはいるけれどね?

 ……まあ、この魔法の効果を解く魔法の存在があるってこと、ノーリはおじさんとシィ以外には教えるつもりはないみたいだけど。……いつ、誰に裏切られてこの魔法の存在がバレるかわからないしぃ、奥の手にしておくって言ってた。


 そんなことを考えているうちに、ノーリがその魔法を発動させていた。

 あとはリースちゃん次第ってとこかな?



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