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おじさんね、頑張るの。

 何故、天の歌姫に愛された者がなかなか珍しいものなのか、「子供でもわかる! 加護」には載っていなかったから、詳しく調べてみることにした。幸い、母上がおじさんの加護についてわかりやすく書かれている本も取り寄せてくれていたから、あとは本を読むだけなのだけど。

 まあ、情報に溺愛されている人も少ないみたいだけど前世が前世だしぃ、仕方がないよね。そんな加護を貰えるなんて情報屋冥利につきるよね、当時のおじさんには凄い嬉しい誉め言葉だしねぇ。

 おじさんの場合、感性を大事にしているからさぁ。好奇心を抱いたものには、全部情報集めから始まる訳よ。情報を集めてそのことに、より興味を持てたならトチ狂ったようにおじさんは努力をし始めるの。

 おじさんはね、天才気質じゃないからたくさんの努力をしなければ、自分の力になることが出来ないの。……逆に前世の時の弟は天才気質でね、彼は政治家になったのよ。……まあ、おじさんはあの子に嫌われてたから仲良くはないんだけどね。


 話は戻すけど、おじさんは加護を使うためにはまずはその加護についての情報が欲しいの。……そうじゃないとおじさんはどう努力をしたら良いのか全くわからないから、まずは情報集めから入らないとね〜。

 まずは天の歌姫に愛された者について、本を何冊か読んでみたよ。

 書かれていたことを簡単にまとめれば、通常人にある器の数は一つらしいが、天の歌姫に愛された者の加護を持つ者の特徴は、自分の持つ魔力の半分が声に宿ると言うこと。勿論、魔力の器も存在はしているものの、鍛練を始めていない段階ではその魔力の器には自分の持つ本来の魔力の、半分の魔力しかない状態であるらしい。

 が、声に宿った魔力は消費されないらしい。その加護を持つ者の声自体に、魔力が染み込んでしまっているからだ。だから、常に精神状態を安定させていなければならなく、精神的な部分で疲れる加護だとそう綴られていた。

 万が一、精神的に不安定になってしまった時、声が超音波に近い声になってしまったり、声が出なくなってしまったり……などの症状が出てしまうらしく、扱いやすい加護とは言えないらしい。

 ちなみに天の歌姫に心酔されし者だけは違うらしく。産まれたと同時に全魔力が声に宿った状態で産まれ、産声を上げることが出来ないらしい。魔力の器はあるが空っぽの状態なため、枯渇した状態のままでは命の危険さえもあり、天の歌姫に心酔されし者である可能性である者だけは産まれたと同時に加護を調べることが許されていると綴られていた。


 次に影の精霊に愛された者の加護についてだけど、自分の影で武器や鎧を造形したり、誰かの影、もしくは物陰に身体を隠すことが出来たりする恩恵を貰っている人のことだ。加護の強さによってその状態を保てる時間、武器の攻撃力や防御力に違いが出てくるそうだ。それから加護の強さによって違うが、影魔法の威力もこの加護を持つことにより高まるらしい。

 そして情報に溺愛された者とは持っている者が少なく、詳細は不明とされている。

 が、何らかの方法で情報を忘れることなく、自分の記憶として止めることが出来るらしい。精度は加護の強さによって、この加護も変わってくると綴られていた。


 次に大地の精霊に愛された者は前に説明をしたように水、土、植物の三属性の魔法を得意とする者に与えられる加護。まあ、正しく言えばその三属性の威力が加護の強さによって高まると言った方が正しいのだけど。

 そして龍神に愛された者と言う加護は竜騎士が持つとされている加護で、竜の言葉がわかったり、竜に好かれやすい人に与えられている加護らしいよ。こちらもまた、加護によってその体質具合が違うみたいだけどねぇ〜。ちなみに“龍神に愛された者”は竜に見惚れられ、言葉は片言として聞こえるらしいよぉ。

 最後に天の気まぐれに溺愛された者は前に説明をした通りで、気まぐれに遭遇する数は加護の強さによって多くなったりするみたいだよ。

 以上がおじさんの加護について調べた結果なのだけど……、母上はあまり加護の使い方を教えるのが上手くないみたいだし、未だに姿を見たことがない職業魔法騎士の父上に期待するしかないのかなぁ。


◇◆◇◆◇◆


 加護を調べてから一週間が経ったが、鍛練の仕方については進展がなし。

 母上は母上で、父上の依頼先まで逢いに行っちゃっているみたいだしねぇ。

 毎月、毎月一回は必ず逢いに行っていたみたいだし、ラブラブですなぁ!

 なんて、考えているといつもよりも早く馬車が石にぶつかりながらも、この屋敷に近づいてくる音が聴こえてきた。

 いつもよりもお早いご帰宅に驚いたおじさんは思わず、珍しく屋敷の外までお出迎えしに行くと……、おじさんと同じく右目は深紅、左目は藍色の目をした男の人が立っていて、おじさんの気配に気づいたのかこちらの方へと向き、こう言った。


「……クラトルか」

 と、まるで絵本に出てくる王子様のような顔つきをしつつも無表情で、淡々とした口調でそう言った父上におじさんは返事をこう返す。

「ご名答~。おじさんはクラトルだよぉ」

 と、そう言えば父上はおじさんの一人称に対して驚きもせず、こちらに優しい目付きで視線を向け、不器用な仕草ながらもこの小さい身体が包み込まれるように抱きしめられた。

 そして優しい声で、

「ただいま」

 と、父上はそう言った。そんな優しい声でそう言うものだから、おじさんは感情的にならないように、思わずズボンの布を握りしめた。……あの時のことは忘れろと、自分にそう言い聞かせながら。

 声が詰まらないように気を付けながら、おじさんは父上にこう言った。


「……おかえり~!」


 と、おじさんはそう言った後、そう言葉にした自分の行動に不自然なところがないか不安になった。



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