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七話 お兄ちゃん認定/お金確保

リューシアのヒロイン化が進んでいる・・・・・。

マジでハーレムルートは消すかもしれない。

朝日が目に入ってくる。どうやら俺とリューシアはそのまま寝てしまったらしい。抱き合ったまま知り合ったばかりの少女と一緒に寝るなんて、まあ一応不味い部類に入ると思う。

寝ている間に抱くという体勢は解けていて、リューシアを起こさないようにベッドから身体を起こす。一瞬「うぅん」と呻き声が聞こえてきたが、リューシアはまだ深い眠りについている。

その寝顔は昨日の顔を引きずっている様にも見えるが、見違えて落ち着いている。ちゃんとした子供の寝顔だ。目の周りは赤いのだが。


(昨日は勢いで言ったけど、これからどうすっかな・・・・・)


確実に引き取る流れだし、俺も引き取るつもりでいる。だが俺は異世界転生したばかりでまともな常識も持っていない。それに仕事もしてはいないし、バルケイトに着くまでは野宿が続く。そんな生活が整っていない俺が、リューシアを連れて回って良いのかと心配になる。それ位の常識は向こうの世界で学んできたつもりだ。


「むぅ、お兄ちゃん? 起きてたんだ」

「なんだ起き・・・・・」


今なにかが聞こえたな。どうなってるんだろう。俺の耳がおかしくなったか、それとも音が伝わっている空気自体に変化があったか?


「どうしたの、お兄ちゃん・・・・・。そんな情けない顔して」

「はぁ~」


どうやら現実逃避もここまでらしい。リューシアの顔と首をコクっと傾けている様から、完全無欠な無垢さを感じる。いや、ちょっと無垢過ぎるような気がしないでもない。


「おう、おはようリューシア。今日は元気だな」

「何言ってんの? 今日も、でしょう? 私はいつだって元気だよ~」

(今日も?)

「そうだったな。お前はいつも元気だもんな。でも、昨日は大丈夫だったか?」

「? 昨日ってなにかあったっけ?」


やはりか。リューシアの記憶にはちょっとした異常が見られる。嘘には思えないし、昨日の今日でここまで忘れられるわけも無い。顔に出さず無かったことの様に扱うのは無理だろう。

仮説の範囲だが、昨日安心して眠ったリューシアは、眠っている間に自衛の為に無意識の内に記憶を一部リセットした。それがどんな記憶で、どういう経緯で記憶をリセットしたかは分からないが、要するに鳥の刷り込みみたいなものだと思う。一番最初に見た俺を家族と勘違いし、俺の見た目とおよその歳の差を考えて兄にしたというところだろう。迷惑だが、都合がいいと思わないでもない。俺を兄だと勘違いしているなら、リューシアも気兼ねなく俺についてきてくれるはずだ。それが良い事かは判断に苦しむがな。


「いや、なんでもないぞー。夢だったみたいだ」

「そうなんだ。まあでもお兄ちゃんも元気だね今日は」

「そうだな。朝起きたらベッドに可愛い妹がいたんだから、元気じゃない訳がないだろ?」

「ふぇっ!? ちょっとからかわないでよ! もうそんな歳じゃないでしょう!」

(俺の兄貴像に昨日の影響が繁栄されている可能性50%、てところか)


ただの兄貴ならここまで初心な反応をしないし、無意識ながらも昨日の影響を受けている可能性は十分考えられる。益々ややこしい事になっているがな!


「でも船に乗って、どこに行ってるの? お兄ちゃんが行くって言ったからついてきたけど」

「・・・・・。ほう、俺が行くって言ったからついてきたのか・・・・・・・。お兄ちゃん嬉しいぞ! アハハハハ」

(ついてきたって、リューシアは船に乗る前から俺と行動を共にしていたのか?!)


これ以上ややこしい設定になったら俺の頭の物語演算能力が追いつかない。つーかこれ異常ややこしくしないでお願いだから。


「なあリューシア」

「なぁに?」

「俺がする質問に、なにも言わずに答えてくれ」

「良いよ?」

「よし。俺達ってなに属性の魔法使えたっけ?」

「闇属性、だよ・・・・・」

「ちょ、落ち着けぇい! 落ち込むんじゃない! お兄ちゃんが一緒だからな!」

「ふぇ、グスっ、うん・・・・・」

「よしよし偉いぞ。さて続きだ。俺は人間、リューシアは天使族だな?」

「・・・・・」


なにか怪訝な顔したぞ。やばい、外したか? なにか失言? やっぱり記憶の混濁が俺との記憶とのズレを生じさせてるのか?


「お兄ちゃんおかしいよ。私たちどっちも人間だよ? それとも私と血のつながった兄妹って嫌だった・・・・・」

「違う違う! お前が、天使の様に可愛い、いや美しいと言いたかったのだ! 断じて天使族ではないぞ!」

「むむむ・・・・・」


頬をふくらましてこっちを見ている。可愛い・・・・・!

って、はっ! つい心の中で釘付けになってしまった! それにしても翼の切れ端ってどうなってんだ? そのまま残ってるならいつか気づかれそうなものだが。


「まあ良いけど。話戻して良い?」

「良いぞ。お兄ちゃんとリューシアがどこに向かってるか、だったな」

「うんうん。私たちってどこに行ってるの? 危険なところ? 危ないところ? 物騒なところ?」

(それほとんど同じ意味だ妹よ)

「いや、バルケイトに向かってるんだよ。ちょっとした諸事情でな」

「お仕事?」

「まあそんなところだ」


なんとかこの場はごまかせたな。だがこのままじゃいつかはボロが出る。どうにかして話を合わせる方法を思いつくか、回避方法を見出さなければ。前天使族、現俺の妹のリューシアに嫌われてどっか行っちまうぞ。それはつまり、ひとりで彷徨う事を意味し、もちろんそんな事を俺は許さない。


「ひとつ、真面目に答えてくれ」

「なにそんな真剣そうな顔をして」

「真剣なんだ。――――――――――お前は、俺についてくるか?」

「え・・・・・」

「ち、違うんだ。もちろん俺はついてきてほしい。でもこれからの旅はちょっと苦しくなるかもしれん。覚悟を聴こうと思っただけだ」

「そんなの、もちろんついていくよ!」


必死に叫ぶリューシア。そこからはある種の、昔俺もいだいていたものだった。結局俺は裏切られたのだが。


「ねぇ、お兄ちゃんは、ずっと私と一緒だよね」

「もちろんだ」

「私を捨てたりしないよね・・・・・」

「もちろんだ! 見捨てることなんて絶対にしない!」


これは俺の本心が思わず出た言葉だった。それでいて、これは俺自身への新たなる掟、誓い、約束。

もちろんリューシアや俺と同じ境遇の子供を見捨てはしない。だが強く、強くこいつだけは護ると思っている。もし助ける者に優先順位があるのなら、いの一番にこいつを助ける。絶対に、こいつに頼られる兄貴になってやる。


「お前はそんな心配しなくても良い」

「そうだよね。私たちは故郷を追い出された時から一緒。ずっと一緒。運命に流されるだけじゃない。自分たちで運命を決めようって決めたもんね」

(そんな事を誓った覚えはないが、記憶を改竄する前のリューシアが誓った掟なのだろう)


こいつも色々考えたんだ。一晩考えて、悩んで、苦しんで。そしてひとつの打開策を思いついた。それが『心の休憩』だ。恐らく、リューシアの記憶がこうなったのは、無意識でもあり意識的でもあるリューシアの意思だ。そして、いつかは休憩をやめ目覚める、その時期を待っている。

俺はそれまでの守役。リューシアの身を心を守る番人。


「お、着いたな」


窓の外に大きな大陸が見える。多分これがヴェイング大陸だ。

港に船が止められて、魔付加具による船内アナウンスがある。元の世界でもあったような、忘れ物をするなとか、ありがとうございますとか。

港に泊まった船からリューシアと共に降りる。そこはソブラストライト大陸の港よりもずっと活気があり、あの男の情報の様に魔物の強襲が続いている大陸とは思えない。ある程度想像もしていたから、船が着いた場所が全然違うんじゃないかとも疑いたくなってくる。


「ん、ふぅ。久々に船から降りたみたいな感じだな。疲れたぁ~!」

「疲れた割に元気そうだね、お兄ちゃん!」

「お前は俺より数倍元気そうだけどな」


笑顔をまき散らし、顔ではしゃぐリューシアを見ていると、元気が湧いてくる。


「よし、ひとまず情報収集だ。行くぞ」

「はーい!」


港町を歩く。中央通りの様な道を通り、ひとまず町の中央に向かう。そこは人が多いはずだし、ここまで活気があるなら道具屋のひとつでもありそうだ。

金が無いから買うことは出来ないが、商品を見るだけでもこの世界の勉強になるだろう。それに、中央に行けば金欠の問題も解決する、かもしれない。バイトとか?


「それなりか。まあこんなモンだな」


中央広場には倉庫があり、レストランがあり、宿があり、道具屋があり。一番興味があった武器屋や防具屋はやっぱり無かった。


「おばちゃん。良い品揃ってる?」

「お、アンタは見慣れない顔だねぇ。ここに来るのは初めてかい?」

「そうだよ、おばちゃん! ここにはお兄ちゃんと一緒に来たんだ!」

「お、元気だねぇ」


ノリの軽いちょっと丸っこいおばあちゃんが店番だった。声が無駄にデカいが、それも俺に好印象を与えている。


「なに買ってく?」

「ゴメンな、この頃金欠でな。ただの冷やかしだよ」

「本当かい。こんな可愛い妹さんが居るのに、ダメだねぇ」

「まあ、それは自覚してるんだけど」

「そんな事ない!」

「うわあ!」


後ろから俺の言葉を全否定および断言する言葉が飛んできた。もちろん我が妹だ。


「お兄ちゃんは私の面倒はちゃんと見てくれてるし、優しいもん! かっこいいもん! 頭良いもん! えぇと、それからそれから」

「うん、妹から褒められるのは嬉しいが、ほめ過ぎて逆に効果が無くなってるぞ?」

「ハハハハハ! ずいぶん仲が良いんだねぇ!」

「それも否定しないよ」


俺の言葉に逆ににっこりと笑顔を浮かべるリューシア。どうやら満足したようだ。


「ちょっと情報を売ってくれないか? 金は無いから、出世払いになるけど」

「ああ、良いよ良いよ。ただでくれてやる。あとこれもね」


そう言っておばちゃんはふたつのリンゴ?を投げてきた、相変わらず、微妙に形だけ似ていて色が青とかだから食いにくいが、おばちゃんがくれたって事は一般的に食べられるものだろう。

ふたつの内ひとつはリューシアの分だ。


「ありがとよ」

「良いって事よ。アンタらふたりを見たら、ちょっと思い出してね。自分の初恋の事を」

「えぇ」

「あ、疑ってるね? 私はこれでも、昔はミスバルケイトで通ってたんだよ?」

「おお、おばちゃんバルケイトの出身だったのか。丁度良かった」

「なんだい? 聞きたい事ってのはバルケイトの事?」

「そうだよ。なんせこっちは初めてこの大陸に来たし、なんでも街を次々とモンスターが襲ってるみたいじゃないか」

「そうかバルケイトに」


なにか暗い雰囲気になってしまったのはこっちの気のせいかな。いや気のせいじゃないだろう。さっきまで笑ってたおばちゃんも真剣な表情をしてるし、周りに居る人も思わず足を止める、というほどだったから。


「いや、お前さんが行くなら止めないよ。その噂を聞いていてまで行こうとしてるんだ。余程の理由があるんだろう?」

「まあ、な」

「あそこは魔物の被害にはあっていない。だが、予想ではそろそろ襲撃が来るかもと騒がれてるんだ」

「その根拠は?」

「ああ、地図は持ってるかい?」


そう聞いてきたからカナンに貰った地図を取り出す。その地図をつかっておばちゃんが説明を始めた。


「ここがバルケイト。そんで、ここらがバルケイトに属する村や町がある大まかな範囲」


地図のバルケイトの帝都の周りを指でぐるっと指す。


「ここの周りにも被害は出ているんだが、被害範囲はほとんどここら辺から始まってるらしい」

「円の範囲から?」

「そう。帝都を取り囲むように、ね。それはどんどん帝都に近づいているらしい。まるで魔物が結託しているみたいな動きだよ」


はぁとため息を吐きながらおばちゃんは説明してくれた。

だが、これはどういう事だ? 帝都の周りを魔物が囲んでいる? 魔物にはなんのメリットがある?

この世界の種族の中に魔族があるって言ったことがあるだろう。だが、その魔族とは、魔物の中で知的生命体として育った個体の事を言う。これは天使族や妖精族、宇宙族などよりも珍しく、だから帝都を包囲出来るほどの魔物が規則的な動きをしていることに疑問を持った。知的生命体として育った魔物は数が少なくそれぞれが強力な力を持つため、あまり集まることは無いとカナンに聞いていたから。

後ろを見ると、リューシアの身体が小刻みに震えていた。


「大丈夫だ。魔物が襲ってきても、お兄ちゃんが倒してやるからな」

「ホント・・・・・?」

「ホントだ。お兄ちゃんは強いぞ? そこら辺の魔物なら倒せない方がおかしいほどだ」

「良かったー」


俺の言葉ですっかり安心したみたいだ。だが俺の手を握ってる辺り、ちょっと怖そうな様子だった。


「ま、ちゃんと護ってやんなよ!」

「あたぼーよ。――――――――――話は変わるけどさ、この町に儲け話って無いかな」

「儲け話、か」

「移動するのに馬車があるならそれに乗っていきたいし、乗っていくならそれなりの準備が必要だろ? それに歩くとしても金は持ってて困る物じゃないし」

「ああ、馬車ならあるよ。丁度明日だったかな。バルケイト行きが出るらしい」

「ありがとよ。で、儲け話の方は・・・・・」

「そうだね。・・・・・アンタは力に自信があるかい?」

「力にって、腕力とか脚力とかの力? 知力だったら無理だけど」

「前者の方の力だよ」

「まああるな。よっぽどの事がない限り、誰にも負けることは無いと思う」

「じゃあ、ここから町の東に向かいな。そこで結構な儲け話があるはずだ」

「あるのか。あるのならなんでも良いさ。行くぞリューシア」

「あ、待ってよお兄ちゃん!」


俺達は儲け話の元へ向かう。そこでは儲け話の定番、アレが行われるのだった。






街の東へ向かう俺とリューシア。まあそれまでも色々興味深い施設や店があったのだが、このさい割愛させていただこう。しばらくして、なにか暑苦しい集団が町の広場っぽいところに固まっていた。あそこが儲け話がある場所なのだろうか。店のおばちゃんも力がなんかとか言ってたし。

その集団に近づくと、長机に座っているふたりの男が見えた。見るからに、受付か?


「すみません。今からここでなにかあるんですか?」

「あんちゃん知らないのか? 毎月恒例の腕倒し大会じゃないか」

「腕倒し大会?」


なにやら聞き覚えの無い単語が出てきた。そういえばこの世界で初めてだな知らない言葉だ出てくるって。少し以外っつうかもっといっぱいあるかと思っていた。


「まさか腕倒しも知らないのか? アレだよ。腕を組んで肘を机につけて、ってやつだよ」

(腕相撲じゃん)


そう突っ込んだ後理解したが、そもそもこの世界には「相撲」が無いのだろう。だから「腕」に「相撲」をつけずに「倒し」という単語をくっつけた。

成程、こういうパターンもあるのか。


「賞金とか出るの?」


幸いというかなんというか、俺は力に自信があったから出ることにした。賞金があればだが。


「あるにはあるが、まさか出る気か?」

「ああ、金欠でね」

「歳の制限はないが止めとけよ。今日はいつもより強者揃いって話だ」

「いやだから金欠だから・・・・・」

「そもそもどこの出身だ? 見るからに貧弱そうな身体「調子に乗るなよ?」」

「は?」

「調子に乗んなっつってんだよゴラァ! 人様のとこに豚ごときが口出ししてんじゃねえよ! 食物連鎖今この瞬間起こすぞ!」


なんだこいつは。また港で会った男みたいに俺に口出ししやがって。それになんだ。貧弱? 馬鹿も休み休み言えよ糞豚が。喋れなくしてやろうか?


「なんだこの小僧。凄い気迫だ」

「もう出してやった方が良いんじゃねえか? 腕倒し大会で死人が出る前に俺達が死んじまうよ」

「!」

「でもこんな子供連れの奴を戦わせて万が一のことがあったら・・・・・」


なにか受付達が言っていたが、もうそんな事はどうでも良い。だが途中興味深い単語が出て来たな。

「死人」? 「死んでしまう」? 面白い。


「分かったよ。アンタら受付だろ? 殺さずにおいてやるから黙って俺を登録しろ」


俺が出せる範囲での殺気を出してみた。男たちはブルブルと生まれたての馬の様に震え、俺のお願い・・・を了承してくれた。


「ただ、このままじゃつまらん。そうだな、俺が優勝したら賞金の3倍の金を払えよ」

「な! 馬鹿、賞金は50万Cだぞ! 俺の貯金のほとんどが吹っ飛んじまうよ!」

「うっせぇな命を取らないだけありがたいと思え。俺に俺も優勝できなかったらテメェらに賞金の5倍の金を用意する」

「な、金欠じゃなかったのかよ」

「いつか用意するよ」


これはほんとだぞ? 嘘じゃないぞ? 俺は約束というものに敏感だからな。破った奴はぶっ飛ばしたくなるくらい。


「んな馬鹿な」

「もう登録しちまおうぜ」

「それが、懸命・・、だと思うぞ?」

「分かったよ。ほら」


受け付けは髪を一枚差し出してきた。なにかと見ればそれは名前と職業と使用予定魔法のみっつの項目があるエントリー用の紙だった。

ん、使用予定魔法?


「なんだこの使用予定魔法って」

「出来るだけ命の危険がある魔法の使用は控えてるし、その為に使用できる魔法の種類は3つにするという規約がある。それでも毎年死人は出るんだがな」


成程。どんなのか想像は出来ないが、魔法を使うのはOKなのか。でも魔法を使う腕相撲ってどんなのだ? 死人が出るのに納得してしまうな。


「ふぅん。―――――――――ホイ」


全ての項目を書き出して受付に提出する。なんの反応も無く受け取ってくれたが、心の動揺が丸見えだ。俺の耳は心音さえ拾うことが出来るのだから。


「エントリー完了だ。トーナメント方式だから、戦う順番はこの箱から紙を取って書いてあった番号で決まる」

「成程な。―――――1番だ」

「1番か。一番最初だな。精々大会を盛り上げてくれよ?」

「ハイハイ」


受付を済ませて、リューシアと共に会場へと向かう。向かうと言っても多分そこにあるステージで殺るんだろうけど。


「ねぇお兄ちゃん、危ない事するの?」


リューシアが俺に心配そうな声で問うてきた。なんともよくできた妹だ。この俺をここまで心配してくれるなんて。

思わず頭を撫でて、ひとまずは問いに答える。


「大丈夫だ。お兄ちゃんは強いって言ったろ? すぐに優勝でもしてきてやるよ」

「ホント・・・・・?」


どれだけ心配なんだよと俺が問いたくなってくるが、どれだけでもだ。こいつには今頼れる大人というのが俺しか居ないし、心肺するのも当たり前。むしろさっきの受付との話を聞いて心配しない方がおかしい。


「じゃ、スカッと買って稼いできますか」




「おい、あいつは何だったんだ?」

「リョーカか。知らない名前だが、あいつは多分強い。でも使用予定魔法の欄になにも書いてないってのは・・・・・つまりはなにも使わないってことだ。どこまで調子に乗ったガキだあいつは」

「だからあの箱を使ったんだろ?」


両者の顔がニヤリと笑う。なにを企んでいるのか分からないが、なにかしたのは確実だ。


「そうだよ。まさか使う事になるとはな。1番しか入ってない箱を」

「そうだよな。でもこれでアイツは死んだんじゃないか?」

「そうだな。戦いの悪心とも言えるほどの男と当たるんだからな」


どうやらリョーカが1番を引いたのは偶然じゃなかったようだ。それがこのふたりがした細工。


「毎年、俺達が賭ける奴以外が勝たないように、強そうなやつらを早めに潰すために用意していたものだが使う機会が無かったからな」

「さらに2番の奴は俺達が雇った無名の奴。逃げられはしない」

「ムカつく奴は早めに、ってか?」


「「クハハハハハ!」」











「さぁ今年も始まりましたぁ、腕倒し大会ぃ!」


ワーと観客が騒ぐ。ったく、どんだけ盛り上げたらここまでの人数の観客が揃うんだ? 確か賭けが行われているって言ってたけどそのせいか? 恐らくは勝ちそうな奴に賭けて、ってやつだろうけど。


「さぁ、前置きなんて盛り上がらないことはしない。開会式なんてすっ飛ばしてさっさと始めよぉぉぉう!」


観客からはブーと野次が飛ぶ。司会はミスったのだろうか。それとも狙ったのだろうか。とにかく言えることは、司会も観客も馬鹿だという事だ。、その観客の中に我が妹がいるから全員が馬鹿だとは言わないが。


「おぉっと。これも飛ばすところだったよ。じゃあ、テメェらのお楽しみを発表するぜぇ!」


そう言って司会はステージの後ろにある電光掲示板?を指した。でもこの世界に電気という概念がないのはここまでの旅で重々承知だ。多分魔付加具の類だろう。


「今日一番人気は、ポルダ村から来たぁ、筋肉ならだれにも負けないと自称するボルナぁ!」


電光掲示板に映像が流れ、ひとりの真っ黒なむさ苦しいおっさんを映し出した。ステージ後方から本人と思われる巨漢の男も出てきた。


「今日の俺は一味違うぜ! 前の大会ではどっかの馬鹿に賞金持っていかれたが、今日は鍛えに鍛えぬいた筋肉を駆使して優勝するぜ! 賭けてくれた奴らは大船に乗ったつもりでいろやぁ!」


あーうるさいし暑苦しいしむさ苦しいしうざいし。この世界にはこんな奴らがたくさんいるのか? なんか急にこの世界で生きていくことに疲れた様な気がする。


「さぁ、本人からの決意表明も終わり、早速試合を始めるぞぉ! 第一回戦まずは大会の肩慣らしか? どちらの無名の選手。《リョーカ》選手と《ドロック》選手だぁ!」


名前を呼ばれたから取り敢えず出ていく。観客の中にリューシアの顔が見えたから手は振っておく。あっちも振り返してきた。それもジャンプしながら。まああの観客の中だから、ジャンプしないとはっきり見えないのかもしれないな。なぜあんなに可愛いんだうちの妹は。


「両者出そろいました。それでは1回戦」


司会のその言葉で中央の机に自分の肘を乗せ、手を組む。


「始めぇ!」


司会の初めの合図で、俺の対戦相手ドロックが手を振りほどき距離をとる。

はぁ?


「『火の渦よ 全てを塵へと化せ フレイムストーム』」


ドロックは魔法の詠唱をした。なんだこの腕相撲は。いや腕倒しだったな。腕とか関係ないじゃん。

取り敢えず当たらないように滅茶苦茶に走ってみた。すると俺が立っていた場所に炎の渦が巻き、地面と空気を焦がした。


「あっぶねぇ。おいテメェ! いきなりなにすんだ!」


俺の問いにドロックは無表情を貫く。対照的に会場は控えめにざわざわとしていた。


「あのーリョーカ選手? ルールを知らずにこの大会に?」


聞いてきたのはあの異様にテンションが高い司会だ。


「そうだけど」

「腕倒しのルールは、魔法でもなんでも良いから使って、相手の腕を地面につける事なんですよ?」

「はぁ?!」


なんだその物騒な腕相撲、ではなく腕倒し!つーか腕壊しだろ! さらに魔法でもなんでもって、馬鹿なのか? 下手したら死人が・・・・・。

成程ね。死人が出る原因ってこういう事だったんだ。いや普通に俺は大丈夫だと思うけど、無理やりにでも地面に腕を叩き付けたら相手の骨が粉砕するだろう。それは俺のせいじゃなく大会のせい、主催者のせいなのだが気が咎める。人を殺すとか言っておいてなんだという感じだが、相手はなにも悪くないのだから危害を加えるのは違うと思う。


「とにかく今は避け続けるしかないな」


俺は魔法の見切りに徹する。魔法を見切り隙を見つければ楽に勝てると踏んだからだ。怪我もさせずにすむ。

まあだから俺はひとまず避け続ける。


「『大地に巣食う力の根源 我に味方し敵を砕け ロックブレイク』」


俺の足元から土で出来た氷柱の様なものが生えてきた。それを上に跳んで避ける。詠唱を聴けば大体の属性は予測できるが、これは本当に避けるだけに気を集中させないと無理だな。現に今の魔法でちょっと掠ったし。


「『大地の力 我の敵を砕け ロックブレイク』」


俺が地面に着地する瞬間、またもドロックは詠唱し魔法を発動させる。さっきよりも土柱の大きさが小さいのは気のせいではないだろう。


「おおっと、ここでドロック選手。詠唱短縮で魔法を発動させたー!」


確かに今の詠唱はさっきより短かったのは俺も気づいていたし、それが俗に言う詠唱短縮みたいなものだと思っていたが。この司会の驚きようだとそんなにすごい事なのか?


「いけるか?」


落ちる俺は着地地点で発動する魔法を喰らうしかないと観客や司会は思っているだろう。だが俺は、


「おりゃあ!」


タイミングを合わせて、魔法が出てきた瞬間足を振りぬいた。強化していないキックだったが、魔法を砕くには十分でなんとか逃れる。

俺は子供の頃からいじめを受けていた。で、俺は殴られたりもされていたんだ。それが癪で、でも殴ったらいじめている奴らと同類になってしまう。そう思った俺は、あっちの世界で動体視力を鍛えた。そのおかげで迫ってくる拳を全部受け止めることも出来る様になった。

今それが役に立つとは思っていたが、こんなに早くとは計算外だった。


「は・・・・・?」


俺がしたことを見て、観客及び司会は呆けていた。ドロックを見ると、少なからず表情を曇らせている様にも見える。唯一の例外はリューシアで、みんなが黙っているのにひとりだけ「お兄ちゃん凄ーい!」などとはしゃいでいる。応援は嬉しいのだが、そこまでされると流石に俺も恥ずかしいぞ妹よ・・・・・。

じゃなくて、なんでみんな黙ってるんだ?


「これはなんという事だー! リョーカ選手。土魔法をただのキックで打ち砕きましたー!」


司会が正気を取り戻し実況を始めると、それに吊られた様に観客も歓声を上げる。身体能力で魔法を破るって無理なことだったんだ。これからは気をつけよう。


「『火の渦よ 全てを塵へと化せ フレイムストーム』」


そこから間髪入れずにドロックが魔法を放ってきた。土魔法は控えたのか、実体のない炎による攻撃だ。


「当たらねぇって、多分」


このフレイムストームという魔法。一度見れば避けられる。だって出現位置が俺の足元だし、そこからなにも起こらないから避けやすすぎる。俺にしてみればサービス魔法だ。俺に魔法を当てたいなら追尾型とかじゃないと。

でももう魔法をふたつ見たし、この程度なら大丈夫だろうと考えた俺はそろそろ特攻しても良いかなという気持ちになる。


「じゃ、行くか」


クセで手をポキポキ鳴らして、臨戦態勢になる。これくらいなら優勝は楽勝かもしれない。こいつより強い奴なら沢山いるだろうが。

俺は地面を思いっきり踏み込んでダッシュする。すぐにドロックに追いついたが、間一髪で避けられた。


「ちぃ!」


本来の5割くらいの力は出したつもりなんだがな。それを避けられるって、あっちの世界じゃ絶対有り得なかったぞ。まあ使う機会はひったくりを捕まえたり、ちょっとした強盗事件を解決するくらいだったが。


「もういいや。つまらなくなってきた。こんな大会俺が終わらせてやるよ」


トントンと地面を足で叩き、リラックスする。これは俺の力を6割出す時にする、まあクセの様なもの。

地面を蹴ると、そこから土ぼこりが起こり視界を悪くする。観客が全然見えないが好都合だ。


「クソッ『バーニング』!」


遂に焦りを表に出したドロック。顔は怒りやら焦りやらで何重もの表情を浮かべていた。それに今まったく詠唱せずに魔法を出した。それだけ余裕がないのだ。主に俺が高速で接近しているから。

バーニングは放ったところから拡散し、俺を正面から取り囲むような形になる。これは、やばいのか? いややばくないね。

さらに少し脚に力を入れ、風を身体に纏う。それはちょっとした鎧になる。俺は炎が迫ってきているのも構わずにドロックに突っ込む。


「おらぁ!」


バーニングに突っ込むと、炎が俺を避け、道をつくってくれる。まあ俺の近くの空気と一緒に移動しているだけだけどね。


「そんなバカなぁ!」

「やっとその鉄仮面剥いだなぁ! 観念しろ!」


一気にドロックに迫り、腕を持ち上げる。ただ勝つだけじゃ面白くない。よって俺はそのままドロックと共に空に向かって跳んだ。ひとひとり抱えていたのに20メートルは跳んだのには俺も驚いた。

そのまま地面を見て、標準を定める。


(あそこなら、マットがあるから大丈夫だろう)


舞台の下に、安全と観客が近寄らないようにするためか、大きいマットが舞台を囲むように置いてある。

そこなら、こいつも重傷は負わないだろう。


「ぶっ飛べー!」


腕を振りかぶる。完全にされるがままにされているドロックは抵抗も出来そうではなかった。ただ円運動するだけだ。

マットに向かって飛んでいくドロックは、ある種の隕石の様に勢いを増していき、地面に迫る。ボフゥンっと鈍い音を出して着弾。そこから風圧が周りに拡散して、観客をよろめかせる。ごめんなさい!

俺も地面に着地するとマットは裂けていて、少しだけ地面に陥没している。


(うわすっげぇ。これでも肉体強化魔法無しだぞ!)


素で出せる俺の力に俺自身も驚き、感嘆を漏らす。いや、感嘆だったかは分からないな。驚きか? 正直あっちの世界でこの力を行使していたら化け物になってたかもしれない。


「ふぅ。で、舞台が凄いことになってるねぇ。続ける? それともやめる? あ、やめる場合は賞金全部俺のモンね」


司会者及び選手全員に向かって問う。だが観客も含めて言葉が出ない状態だったので、きっかけをつくる為に司会者に言う。


「ねぇ司会者さん。勝利判定は?」

「あ、え―――――はっ! 勝者リョーカ選手!」


なんとか絞り出した声で俺の勝利をこの場に居る全員に伝える司会者。まあちょっと可哀想とも思わないでもない。ふとリューシアの方を見てみると、リューシアもちょっと驚いている。だが俺が見ているのに気づいたら手を振ってきた。それに俺も振り返す。


「さあ、次の対戦相手は誰かなぁ。次まで身体を冷やさないようにしないとなー」


脅しのつもりで言ってみた。ちょっと性格悪いと自分でも思いますよ? 棒読みだったことはさておきさ。

でも流石に脅しにもなってねぇか。まあ良いけど、俺は明日出る馬車にさえ間に合えば良いんだから。


「うわあああああ!」

「おお?!」


舞台裏から叫び声が聞こえてきた。どうやら次戦う予定だったふたりがこの有様を見て狂乱したのだろう。そして、それに続いて他の選手や観客、司会までもどっかに行ってしまう。

最後まで残っていたのはリューシを抜かしてあの筋肉馬鹿のボルナだ。そいつさえも自分以外全員が去っていったことに今更ながら気づき、情けない声を出しながら逃げて行った。


「そこまでの事したかな俺」


流石に全員が出ていくのは予想外。そこまでの馬鹿力出したのか俺は。ちょっと恥ずかしく、相手選手に大人げなかったと心の中で謝っておく。

でも全員というのは・・・・・。


「確か舞台裏に居た運営みたいな奴が・・・・・」


戦う前に色々教えてもらったのだ。まあ戦う前のあの腕相撲の構えだけを教えてもらっただけだったんだが。なんか適当で、俺に教えた後は眠っていた様な奴だったからこの騒ぎに気づかずに眠り続けているかもしれない。


「お兄ちゃーん!」

「おおリューシア。どうだったお兄ちゃんの戦いっぷりは」

「かっこよかったよ! でもなんで皆どこかに行っちゃったんだろう」

「まあ多分皆で連れションだろ」

「つれしょん?」


この世界に連れションという単語が無かったことはこのさいどうでも良い。俺に必要なのは金だ。この状況で運営が出すのを渋ったら、少々の脅しは仕方あるまい。


「とにかく舞台裏に行くぞ」


行くと、そこにはやっぱり外の状況なんかお構いなしの様子で寝ている、戦う前に俺の世話をしてくれた人がいた。


「おい起きろ」

「・・・・・むにゃぁ」

「起きろっつってんのが聞こえねえのか、あぁ?」


髪を掴みあげたら、そこにはアハハと自嘲の笑いを浮かべた少年が居た。


「最初の声で起きたんなら最初から起きとけよ」

「すみませぇん。ちょっと怖かったもので」


えへへと悪徳商人の様に笑う少年にでこピンをする。ペチっという音が起きる。あうぅと唸るが可哀想とは思わない。


「どうしましたかぁ? いや、それにしても外が静かですねぇ」

「みんな俺の戦いを見て逃げちまったからな」

「へぇそうなんですかぁ。どうしましょうかねー」


本気で悩んでいるのか疑いたくなってくる様な顔で、虚空を見て考える少年。


「んー。もう適当で良いです。ハイこれ」

「? なんだこれ」

「これを町の役所に持って行ったら賞金が貰えます。逃げたのなら全員が不戦敗ですから」

「成程、話が分かる奴だな」

「じゃあもう出て行ってください。僕は寝ますから。ふにゃぁ―――――」


そう言い残してまた寝だす少年。取り敢えず、賞金を貰う為に役所に行くことにする。


「お兄ちゃんお兄ちゃん。大会はどうなったの?」

「俺が勝ったぞー。凄いだろう」

「わー、凄いねー!」


ま、戦ってリューシアの笑顔も見れたし、今年は死者をひとりも出してないから、感謝こそすれど、恨まれることは無いはずだ。少なくとも恨んでいるという奴が出てきたら論破してやろう。こっちにはさっきの運営の少年からの、不戦敗という言葉があるのだから。




「なんだアイツはぁ!」

「俺達ってとんでもない奴に喧嘩売ったんじゃないか!?」


焦って逃げるふたりの男。無論リョーカの受付を担当した男達だ。つまずいたり転んだりしながらだが急いで舞台から遠ざかろうとする。


「くそぉ!」

「もっと急ぐぞ! アイツに脅されたら断る勇気は俺には無い!」


なんとか逃げようとしているのだろうがそれは無駄だ。リョーカは100メートル5秒もかからないのだから。すぐに追いつかれてしまう。

いやもう追いつかれていた様だ。


「テメェは!」

「逃げんなよ。俺との約束忘れた訳じゃねえよな」

「ひいぃ!」


震え上がるふたり。その問いに対して、抵抗すると言う考えは微塵も浮かばずに「はい」と答えていた。











「これである程度の軍資金は手に入ったな。やっとバルケイトに向かえるのか」

「お兄ちゃん疲れた?」

「疲れてないぞ。他ならぬ可愛い妹の為だからな」


あうぅと恥ずかしがるリューシア。顔が赤くなっていてホント可愛い。かつてここまでなついてくれた子が居ただろうか。俺感動!


「今日準備して、明日にはこの町出ていくからな」

「うん、お兄ちゃんが行くところなら別どこでも良いよ?」

「そうかそうか。リューシアは俺の旅に付き合ってくれるなんて、優しいし強いんだな」

「そんな事、ない・・・・」


まあ可愛いが、俺の馬鹿みたいな発言もここまでだな。流石にこれ以上行くと、俺がロリコン及びシスコンの汚名を着ることになる。あ、別にリューシアは嫌じゃないからな。ホントだぞ?


「まずは、旅の分の食料かなー」


俺はおばちゃんの店に向かった。

やっぱり大会系は国家戦かもうちょっと大規模が良いのでちょっとどころか凄い展開で無理矢理終わらせました。

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