一話 自殺
開いていただいてありがとうございます。
異世界転生作品が面白いからって勢いで書いた作品です。上手く書けるか分かりませんがよろしくお願いします。
学校はくだらない事ばかりだ。
先生は生徒と不純性交友で退職。生徒は殴り合ったりいじめたりで退学。親はモンスターペアレント。
こんな問題だらけのところでなにを学ぶと言うのか。馬鹿も休み休み言ってほしい。
それなのに、ニュースで世間に流すだけで満足し、解決策は出さない上の奴ら。つまり、大本は日本政府。
なんだよこれ。
意味が分からない分かりたくない。
俺だって、愚痴を垂れてるだけじゃなかった。
小学一年生の頃から顔がキモイやら鬱陶しいやら言われ続けてきた。
小学生のメンタルなどたかが知れてる。
すぐに担任に相談した。
「いじめられてます、助けて」と。
本気で考え、生徒達への勘違いの可能性なども考慮し、3日間かけて出した結論の元、相談したのだが結果は馬鹿な答えだった。
「分かった任せろ」と意気込んだ様子の担任はそれから1年間なにも言ってこなかった。
いじめた子供達が居たという噂も聞かなかったし、そういう道徳の時間も無かった。わざと避けていたのかもしれない。
進級の時までいじめられていた俺は先生に文句を言うつもりで話しかけた。
しかし、上手く話題を転換させられて、結局はなにも言われないまま、その教師は転勤していったのだ。
2年生の時も教師に相談したが、結果は1年の時の馬鹿教師と同じ。結局1年間はぐらかされた。
そして3年生になった時。
もし失敗したらこれで諦めようと決意を決めて、相談した先生は信頼していた体育の先生だった。
親身になって、いやなったフリをして接してくれていた先生は、すぐに学年集会を開いた。
そこで表面上だけは本当に怒っている様にして、生徒達を震え上がらせていた。
だがある時、職員室の前を通って聞こえてきた。
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「正直めんどくさいですね。まったく、馬鹿な生徒しか居ないのかここには」
「先生。愚痴も良いですけど、あの子をどうにかしないといけないのでは?」
「丁度昨日、校長から止めろって命令が来たよ。どうせ問題を起こされたくないんだろうが、俺としてはありがたいな」
「まあ確かに。私もこんな学校で面倒に巻き込まれたくないというのは理解できますけどね」
「そうだろ? 後はあいつをどうはぐらかすか、だな」
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心が真っ黒になった。
比喩ではなく、本当に。一瞬にして視界が暗くなった。
その時からだろうか。俺は二重人格みたいなものになってしまった。
意識が飛び、数秒位経っただろうか。
目の前にあった職員室と廊下を区別していた扉が無くなっていた。
その扉は体育教師の横を通り抜け、職員室の窓を割った。
悲鳴が聞こえてきた。恐らくは外を歩いていた生徒の上にガラスの破片が降ってきたのだ。
体育教師がこっちを見て驚いているのも傑作だったが、その時は心がスッとしたのを覚えている。
その後は、俺がなにも覚えていないという事で、病院に行って精密検査をしたりで大変だった。
カウンセリングも受けたが、小学6年まで時々俺が狂気を振るうのは止められなかった。
これ以上無駄かもしれないと、病院にも愛想を尽かされた。
そもそも意識が飛んで物をぶっ壊す奴を3年間も面倒見てくれただけでもありがたいだろう。
そんな理由があり、今の俺はコミュ障、友達ゼロ、天涯孤独という状況だ。
天涯孤独というのは、ちょっとした理由があり誰にも言ったことは無いが、想像でもしていてくれ。
さらに俺にはちょっと異常な事が起きていた。
身体能力が以上に高いのだ。
例を挙げてみても、100mを5秒で走ったり(これは世界新記録だが隠してる)、身近に言えばなにをしても息切れを起こさなくなったり、コンクリートの壁を軽いパンチで破壊したりも出来た。
おかしいと思いながらも今まで生きていたが、それもここまでか。
俺は今高校生。学歴は大事だから一応入ったのだがもう関係ない。
俺は今日死ぬ。
これまでに行った自殺未遂は指の数より多い。だが首をつっても窒息せず、腕を切ってもいつまでたっても出血多量では死ななかったり、崖から飛び降りても自由落下の途中で目を瞑ったら気づいた時には地面で寝てたり。
身体が頑丈すぎる。
自殺を諦めていたが今日は確実な方法で死ぬ。
インターネットの危ないサイトで、爆弾を通販してもらった。
できるだけ小さく、威力が大きいものを。
今日遂にそれが届いた。自分の部屋で殺るのも近所に悪いと思って、山奥に来ている。
爆弾は今俺の心臓の前。時限爆弾であと5分位に設定している。
これが俺の寿命だ。グロイ死に方だが、この方法以外では死ねないのだから仕方がない。
再度周りに誰も居ないのを確認する。
もしもの話だが、子供が見ていたら一生モノのトラウマになりかねない。それだけは回避したかった。
将来性のある子供にそんなものを背負ってほしくない。
少し冷たい風が俺を撫でる。これが俺が最後に感覚として味わうものだ。
最後の時は全てが最後になる。
動くことも、考えることも、呼吸をすることも。
それを大事にかみしめながら死んでいきたい。ずっとそう思ってきた。
ここまでして死ななかったら恥ずかしいが、さすがにそれはない。
出来るだけ小さくしたと言っても爆弾だ、威力は十分にある。心臓には軽く爆発が届くし、身体も半分くらいから割れるはずだ。
身体が丈夫だとしても、さすがに生命活動は続けられないはず。
例え生きるのに酸素を必要としなくなっても、血がいくら出ても死ななくなっても、身体が50mの高さから落ちた時の衝撃に耐えても。
俺は人間なのだから。
そろそろ時間か。
死ぬ間際だったら、下らない過去でも懐かしく思い出すのは誰でも一緒だろうか。
そんな下らない事を考えながら俺は最後の景色に向かって言い放った。
「じゃあな。精々俺の魂が再びここに来た時、恨まれないようにするんだな」
その日、ひとりの人間が死んだ。
五日後、偶然通りかかった人に死体を発見された。
その死に方は人の口で表現するのは困難なほど、直視を許さないほどのものだったという。
その男の存在は、思いの外人々に考えさせるものだった。
地球でのちの世まで語り継がれる事になったその事件は、人間に道徳を教えることになる。
皮肉にも、その男は死んだ後に存在価値が生まれた。