6.
俺は筐体の使用許可をとって片方をおっさんに渡す。
筐体の使用許可とは、通常、プレイするときは対戦相手を決めることができない。
しかし、時折この人とバトルしたいという人がいるのだ。
そのための整理券である。
「お、おい、健司!?
こんなとこで何やってんだよ!?」
真也がゲーセンにいたようだ。
「真也か
ちょっとトラブルに巻き込まれてさ
SSの決着で決めようって話になっただけだよ」
「それはいいけど、MBSはどうするんだよ」
「ああ、さっき拾った」
「拾いもんで勝てるほど甘かねぇぞ?」
「大丈夫だって
あのおっさんがほしがってるのがこのMBSだからな。」
と、根拠のない自信を言うと、
「はぁ、まあ、頑張れよ
やるからには勝てよ
ところで装備はあんのか?」
「装備か?
頭部バルカン、多分8ミリくらいの大きめのやつだろ
次がビームソードらしき柄があるな
それからビームキャノン砲が2門にバルカンか」
「4個中2個がビーム系かよ
燃費悪いぜ
しかも実弾武器バルカンしかねぇのかよ
実体系装備即興で買ったほうがいいんじゃねぇか?」
「時間ないからな
このまま行く」
「そうかよ
じゃ、健闘を祈るぜ」
「サンキュ」
そして筐体のドアを開けて、中に入った。
専用の置き場にMBSを置き、蓋を閉じて筐体を起動させた。
気分を盛り上げるために起動画面もしっかり再現されている。
その時に型式番号も出るのだが…見たことないものだった。
「SSP-2…shade
シェイド?
聞いたことない名前だな」
MBSにはフレームと呼ばれるものが存在する。
機体の性能を決める基礎部分だ。
種類は基本的な人型のナイトフレーム、防御力は低いが機動性と空中戦で真価を発揮するバードフレーム、機動性は低いが重装甲&重火力なパンツァーフレーム。
この3つが基本フレームだ。ここから派生し、様々なフレームが存在する。
フレームはおそらく超空中特化型のガルーダフレーム。
標準武装はビームソードと頭部8ミリバルカン、ビームバルカン、そして56ミリビーム砲ツインバスター…2つでひとつの武装らしい。
起動画面が終わると発射ハッチに運ばれる途中の映像が写った。
次に、敵の情報が表示される。
敵の機体名はGHA-662シュトラル・ウォルム。
武装はさすがに表示されないが、型式番号だけでだいたい分かる。
GHは砲撃系だ。フレームは基本的なナイトフレーム。企業が発売したSSPの一つでシュトラル・ウォルムはその代表作である。
すなわち相手は銃撃戦を挑んでくることが容易に想像できた。
このゲームでは発進と同時にバトルスタートとなる。
もちろんカタパルトから発射されるのは同時だ。
「頼むぞ
お前があの女の子のもとに帰りたいって言うなら俺に力を貸してくれ
櫟原健司、シェイド、出るぞ!」
そう言って戦場へと翔ぶのだった。
次はバトルパートになります。
他のよりも長めなのでご注意ください。