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パストラドゥガ・レミニセンス  作者: ラピス
第一章~Changing every day ~
6/34

5.

放課後、商店街

「よし、今日も大漁大漁」

俺は安売りセールを狙って買い物をしていた。

「質素倹約

これが基本だよな」

そのとき、ガサゴソと茂みから物音がした。何かが茂みの中にいるようだ。

「ん?

猫か?」

このあたりには殆どおらず、そして茂みの中は毛が引っかかるのか猫なんていた事はないが…。

そして………フードをかぶった人が一人、飛び出してきた。

その人は目の前ですっ転んでしまった。

「くぅ………」

うめき声で女だとわかった。

「お、おい、大丈夫か?」

慌てて駆け寄って声をかけながら手を差し出す。

「!?

あ、あなたは…」

「通りすがりの者だけど、怪我してるな、立てるか?」

その女の子は黙りこくっていたが、やがてコクンと頷くと俺の手をとって立ち上がった。

そしてその子は俺を見つめて(フードをかぶっていたのでわかりづらいが、視線は感じたので見ているのだろう)こう言った。

「…あなたに、頼みがあります」

「あ?

いいけど」

「あなたに…これを託します

これは使わなくてもいいですけど、必ず持ち歩いてください

と言って箱を手渡してきた。

大きさはちょうどMBSのパッケージみたいだ。

「は?

これは?」

「これは、とても貴重なものです

だから、おいそれと人に渡してはならない…

よろしくお願いします」

俺は、何かを感じたのか無意識のうちにこう返していた。

「…俺なんかで本当にいいのか?」

その問に対して女の子はふふ、と少し笑って、

「あなたならこの子を大事にしてくれるんじゃないかと思っただけです

根拠はありません」

「わかった、いつか取りに来いよ」

「その時にはあなたのものになっているかもしれませんね」

「どういう意味だよ?」

「とにかく、ありがとうございます

私は急ぎますので」

と一礼をして立ち去ろうとしていく。

「あ、おい、怪我の手当は?」

と声をかけたがその頃には姿は見えなくなっていた。

「なんだったんだ?」

とりあえずこれは袋の中に入れておこう。この大きさならまだ袋に入るし、これから帰るところなので問題はない。

袋にしまったその時背後に気配を感じた。

「君」

「えぇと…何でしょうか?」

振り返って応答すると一気に冷や汗が噴出し始めた。

威圧感がすごい。

なんともまあ、SPといった風貌の人が立っていた

「フードをかぶった女を見なかったか?

足に怪我をしていたと思うが。」

足に怪我をしていたといった時、なんかひかかった。

約束のこともあるし、なんか怪しかったので知らないふりをした。

「さあ?

知らないですけど。」

「そうか、変なことを聞いた、気にしないでくれ」

「はぁ、ではさよなら」

といってそそくさとその場を後にしようとした。

ピピピッ--ピ

なんかの音が鳴り響く。

音からして携帯だ。

「私だ

何!?

反応が私の近くにだと?

なるほど

分かった引き続き頼む」

なんかヤバイ予感がした。

もしさっきの女の子を探しているのなら、恐らくは目的はこの箱だろう。

ここは逃げるに限る。

そうと決めたら俺は走ってその場を後にした。

「君、ちょっと待ちなさい!」

と聞こえたが無視。

走って路地裏に逃げ込んだ。


夕方 路地裏――

くねくねと曲がりくねっている路地裏をしばらく進み、裏路地の広場に出る。

そこで俺は箱を取り出した。

おそらく発信機がついているはず。

それをとってここに捨てておくのだ。

案の定発信機はすぐに見つかった箱の一部に穴が空いていたのだ。

おそらく打ち込まれたのだろう。

俺は箱を開けた。その中には…

「これは…MBS!?」

そう、見たことがない型のMBSがそこに収まっていた。

青と白を基調とした細く、流線型のボディが特徴的だ。

なんだか変わった機構もあるようだが、今はやることがある。

「それよりも発信機だ」

俺は発信機を摘むと静かに足元においた。

これで時間は稼げる。

そう思い、その場を後にした。

が…


「運が無いな…はぁ」

「君、実は私が探している女の子から箱をあずかっているんじゃないのかね?」

そう、俺は先ほど通った道とは別の道で帰ろうとしていたのだが、途中でさっきの黒服とばったり出くわしたのだ。

とりあえず無関係な振り、と。

「箱ですか?

知らないですけど」

「ありえないな

その箱には発信機が仕掛けてある

そしてその電波は君から出ていた

君が持っているはずだ

渡したまえ」

知らないふり失敗。

なら逆に打って出るか。

「バレてるならしょうがない

悪いけど、ちょっと無理なんだよなぁ

誰にも渡すなって言われてるし」

「なら力づくで奪わせてもらう!」

殺気がぶつかってきた。

ヘタしたら殺される。

そう思ったら体が自然に動いていた。

俺はダッシュで裏路地を駆け抜けた。

黒服は追ってくる。

そして大通りに出ると、まっさきに目的の場所へ向かった。

ゲーセンの前で止まって振り返ると、黒服が立ち止まっていた。

息ひとつ乱れていなかった。

さすがに大量の買い物袋を担いでいるの状態での全力疾走はさすがに堪えた。

俺は息を整えると、黒服に向き直る。

「おっさん、渡すのはいいけど、条件がある。」

「…………遊びに付き合ってる暇はないのだがね、いいだろう、言いたまえ。」

「俺と勝負しろ

もちろんSSでだ」

「ほう?

遊びに付き合えと?

冗談じゃない」

「この箱の中身はMBSだ

こいつがほしいっていうんならSSでバトルしかないだろ

俺が負けたらこいつをおっさんに渡す

俺が勝ったら何も見なかったことにして帰ってくれ」

「いいだろう、面白い

君にはその機体はふさわしくないということを教えてやろう」

「そう来なくっちゃ」

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