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パストラドゥガ・レミニセンス  作者: ラピス
第一章~Changing every day ~
4/34

3.

昼休み。

昼休みに入ると、学食や教室以外の場所で食べる生徒が多いため、教室にいる人の数はかなり減る。

そんな中、人数が少ないのを狙ってここで食べる人もいる。

今日は俺もその中の一人だ。

今日の天気はいいが風が少し強い日だったので、いつも食べている場所では食べることができなかった。

「さてと

って、いつも大変そうだな」

と俺が声をかけたのは隣の席の雨宮だった。

「いつものことですから

眞紅、起きてください

「んにゃ?

あれ?

寝ちゃってた?」

「ええ、ぐっすりと

お昼食べましょうか」

「うん!

一緒に食べよっ!」

彼女の名前は茨木眞紅(いばらぎしんく)

長いブロンドの髪を持つが日本生まれの日本育ち。

更には外国には行ったことはないらしい。

父親がアメリカ人、母親が日本人のハーフで親が外人とだけあって父親とは英語で会話しているらしい。

それもあって英語は得意。

だが、少々抜けているところがあり、雨宮によく突っ込まれている。

2人は仲がいいことで有名で噂ではできていると言われているほどだ。

もちろんそんなことはなく、普通に仲がいい親友だ。

「眞紅、お弁当です」

雨宮は自分の鞄から弁当箱を2つ取り出し、一つを茨木に渡す。

「あ、ありがと~リリちゃん

今日も楽しみだな~」

「おい、よだれ垂れてるぞ」

「あ、いけない、いけない」

よだれを垂らし始めたので俺が注意すると茨木は手の甲で口元を拭った。

「あ、そうだ、櫟原くんも一緒に食べない?」

「じゃ、夕薙に聞いてからな」

「何~?

なんの話~?」

と丁度いいタイミングで夕薙が入ってきた。

「あ、夕薙ちゃん

お昼一緒にどうかな~って櫟原くんを誘ってたの

夕薙ちゃんも一緒にどう?」

「うん、喜んで

食べる場所はここ?」

「うん!

じゃ、机くっつけよ!」

そうして俺と雨宮の机を中心に机同士をくっつけ、向かい合う形にした。

「眞紅、今日はあれ行きましょうか」

食べ始めて少しすると、雨宮が口を開く。

「あれ?

お店はいいの?」

「臨時で手伝っていただけですから

もう問題ないので大丈夫です」

「ん、りょーかい」

「ところでさ、あれって、何?」

なんのことを話しているのかさっぱりわからない俺は首を傾げるばかりだったが、同じくわからなかった夕薙が話に割り込む。

「あれと言ったらあれです

えーと…………何でしたっけ?」

ゴンと何かがぶつかる音がした。

見ると夕薙と茨木が机に盛大に突っ伏していた。

ご丁寧に弁当はよけて。

「リリちゃん…そ、その落ちはないよ~」

「冗談です

SSのことですよ」

冗談はさておき、それは意外なことだった。

感情の起伏は乏しいものの雨宮は真面目な人間で休み時間でも技術書を読んでいるくらいなのだ。

明らかに勉強一筋としか思えない雨宮が対人戦型アーケードゲームをやっている姿を想像できない。

「へぇ~意外

雨宮さんは真面目だからそういうのやらないと思ってた」

「私だってゲームくらいやります」

「リリちゃん意外とゲーマーだよ」

「真也が聞いたら勝負を挑みそうだな

まあ、あいつ弱いから瞬殺だろうけど」

「見たことありますが、どうやったらあそこまですぐ落とされるのかが理解できません」

「なんかふらふらしてるんだよね」

雨宮の言葉に茨木が頷く。

「余地がありそうで無いというか、わからないんですよね

センスは所々で光っています

でも基本的なことで躓いているんですよね」

「なるほどな

ところで…」

俺は食い終わった弁当箱の蓋を閉めて言った。

「おまえら、食わなくていいのか?」

「へ?」

「あ、櫟原くん、もう食べ終わってる!?」

「いつのまに!?」

「いや、雨宮が話してる間に食べ進めただけだけど」

「えぇ!?

リリちゃんは!?」

そうして雨宮を見ると弁当箱の蓋を閉め、口元をどこから出したのかわからないナプキンで拭いていた。

「うそん…」

「あ~~!?

もう時間がない、早く食べないとお昼休み終わっちゃう!」

「そ、そうだね」

頷きあった二人は一気に弁当を掻っ込むのだった。

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