序章~What is MBS?~
数年間放置していたお話ですが、所々リメイクして不定期更新でのんびりやっていくことを決定いたしました。
というのも、とある人から一度始めたものはせめて完結させた方がいい、というアドバイスを貰ったからです。
完全に自己満足作品です。
ご了承ください。
序章
「クソ、なんなんだよ!」
俺は筐体の中で吠えた。
不思議な女の子から受け取った機体がきっかけでこうなるとは誰が予想しただろうか。いや、あの少女はわかっていたかもしれない。
だとすれば、俺を選んだということになる。
ピピーとミサイルのアラートが鳴り響く。
俺は舌打ちしながらすべてをバルカンとソードで切り落とす。
考えるのは後回しだ。先に敵を倒そう。
俺は覚悟を決め、切り込んでいった。
SeventhSky---------
それはプラモデルとロボットを合わせたおもちゃで戦うアーケードゲームだ。
各種フレームとそれに装着するパーツで構成され、半VR空間内で戦うことができる。
SeventhSky専用のプラモデルはMachineBattlerSpirit(機械の戦士の魂)、通称MBSと呼ばれた。
このMBSは筐体の内部からフィールドに送り込まれ、戦う。
リアリティが高く、カスタマイズの豊富さから広く普及することとなった。
最初は企業の販売したパーツのみでなければ公式戦どころか、操縦するための筐体が設置されているゲームセンターでもプレイすることができなかった。
そのことが不満を呼び、仕方なくオリジナルの武装も許可された。
オリジナルの武装を作るにあたっての規則は登録が必要なこと。
これだけだ。
登録には審査も兼ねており、レギュレーションなどの関係でパラメーターが調整される。
しかし、これが思わぬ職種を生むこととなった。
オリジナルの武装を制作するエキスパート、MBS職人である。
彼らが生む武装は繊細かつ大胆なものばかりでSSプレイヤーたちに大きな反響をもたらした。
就職難なこの時代である、就職できなかったプラモデルオタクが始めたことだったが、SS運営会社もこれを認め、次々とMBS職人が生まれていった。
SS運営会社も新部品を開発する手間が省けると喜んで受け入れたのだ。
定期的に新部品を開発することを条件としてMBS職人と契約した。
最初のうちは盛り上がったが、種類が増えるに連れ、アイデアがなくなってきたのでどんどんMBS職人は減少していった。
現在は全国でも50人ほどしかいないらしい。
俺、櫟原健司もその50人のMBS職人の一人である。