第六問 合格試験偏1
連続投稿です。
第六問 合格試験偏1
陸達が校庭に集まると先に着ていた生徒候補の人たちは、不安と困惑で動揺していた。
無理もない。合格していたと思いきや実はまだ合格してないと聞かされたのだから
「ふむ。意地の悪いことを考えるな。流石は最高峰の魔法学院と言うべきか」
「だな。しかし、ここまできた以上合格しないとな」
そんな中気にした風もなくむしろ面白くなってきたと龍星と陸は笑っていた。
「……(どんな状況でも楽しむ。りゅうくんや陸くんらしいね)」
「うん。お兄ちゃんやリッくんらしいといえばらしいよね」
「ほんと兄弟みたいだよね」
楽しく笑っている陸や龍星を見ながら芹香さんやつぐみやひばりは苦笑しながらも楽しそうに笑っていた。
「わきゅう~♪ お兄様たち、私も混ぜてくださいな♪」
一人の女性徒がにこにこ笑顔で近寄ってきていた。
「ん? お、お前は、白姫か! お前も受けていたのか?」
「お久しぶりですわね、お兄様たち。お兄様の質問の答はお兄様がここを受けたと聞いたので私も受けたからですわ」
龍星の質問に答えながらも白姫と呼ばれた女生徒は龍星に嬉しそうに近づいて行く。
「わうん♪おにいさまぁぁん!お会いしとうございましたぁぁん♪(パタパタ)」
「おい、ちょっと!?……やれやれ、……しょうがないな」
犬耳と犬尻尾が生えた挙げ句デレデレになって龍星に飛び付く白姫に、驚きながらも優しく頭を撫でる龍星。
「相変わらずのワンコ娘だな」
「でもそれが白姫ちゃんの可愛さだよ♪」
呆れる陸の隣で笑顔で微笑むひばりが言うと
「そうだよ。リッくん♪」
つぐみも賛同するように陸を見た。
「……(これでまた一緒だね白姫ちゃん♪)」
「わうん♪ はい、お姉さま! これからも宜しくですわ♪(パタパタ)」
その光景に呆れながらも楽しそうに笑っている陸たち。
芹香に抱きついてすりすりと甘える白姫。
それから数分間ほどして芹香さんから下りた白姫は、自分の所属するクラスは隣のクラスで、
実は龍星が陸のお仕置きをしているときに炎心と狩谷と言う少年と一緒に見かけていたということを教えてくれた。
「そうか。炎心もここにいるのか」
「わきゅ~。そうですわ。実は火鳥さんから伝言も受けておりますわ。
お兄様たちならこの程度の試験は問題なくクリア出来ると思いますわ。
それゆえ、龍星さん次に会う時は正式に生徒になったときに遭いましょう。
それと陸くんに良い事を教えてあげますの。
ここには、君を熱くさせる使い手は沢山いるですの。
無論俺もその一人ですの。それでは健闘を祈りますの。と以上ですわ」
白姫の説明を聞いて龍星は楽しそうな笑みを浮かべていた。
「くっくっく、いいぜそうこなくっちゃな! 炎心待ってろよ。すぐにそこに行くぜ!!」
「くっくっく、久しぶりに龍星が燃えている。その気持ちよく分かるぜ。
俺も今ほんとここの学院を選んで正解と思ったよ」
メラメラと燃えている龍星を見て陸は楽しそうに眺めてそう言った。
「くっくっく、そうか、そうか。陸も昔から変わらんな。それでこそ俺が知っている陸だ」
そう言って、龍星は声高らかに笑い始めたのだった。それに釣られて陸も笑っている。
「……(りゅうくんや陸くんが熱く燃えてる)」
「まさか、火鳥さんの言葉がお兄ちゃんだけでなくリッくんも燃えさせるなんて」
「そうだね。あたしも久しぶりに見たよ。あそこまで熱くなってるリッくんに龍兄を」
「わうん♪お兄様たちが熱く燃えてますわ♪」
熱く燃えている二人に芹香さんたちは頼もしそうに見ていた。
そのころ別の場所で龍星達を見守る人影が在った。
「くく。そうですね。一足先に待ってますよ龍星さんに陸くん」
「やれやれ、熱く燃えてますね火鳥さん」
炎心と前の話にでてきた少年である。
炎心はそれはもう楽しそうな笑みを浮かべており、少年は苦笑いをうかべていた。
「ああ。龍星さんやその弟分である陸くんがいるんだ。
熱く燃えるなと言う方が無理だな」
少年を見て炎心は笑みをみせてそう言った。
「でしょうね。……ですが配置だけは離れないでくださいね」
「ああ」
少年はくすっと笑うと忠告し、炎心は頷いた。
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