第四問 視察
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第四問 視察
龍星は怯える陸に近付くと、一気に放り上げ、自らも飛び上がり陸を担ぎ上げ、足首を掴む。
「ま、待て龍星!?」
慌てて龍星に言うが
「少しは反省しろ……、この大馬鹿野郎がぁぁぁぁぁっ!!」
「ギャァァァァァァァァッ!!」
龍星は止まらないまま陸にある技をかますのだった。
ズドゴォォォォォン!
『『『マ、マッスルバスターだとぉぉぉぉっ!』』』
「マッスルバスター違う。リュウセイバスターだっ!」
「お、おにいちゃん?!」
「…………(りゅうくんの必殺技に昇華したみたいだよ?)」
「……必殺技だったんだ……」
マッスルバスター改めリュウセイバスターが見事に決まり、陸は崩れ落ちたのであった。
ちなみに、龍星の必殺技につぐみ達は驚いていた。
陸の問題発言に聞き逃さなかった龍星によってリュウセイバスターを受けボロボロになった陸。
「痛っ……。加減くらいしてくれよ」
ボロボロでも文句は言うようだ。
「何言ってんだ!危険なことをばっかする奴にはまだ甘いくらいだ。たく、一歩間違えれば大惨事になってたんだぞ!」
「……(そうだよ。これ以上するのなら陸くんのお母さんに報告するよ!)」
くどくどと説教をする龍星と芹香。
さすが、将来を誓い合った夫婦である
「それだけは勘弁してください。特にお説教空間は、勘弁してください」
ガタッガタッと陸が震えているのがわかるだろうか?
反省の色もない陸に対して龍星や芹香さんは反省するようにたしなめて腰に手をあてて怒っていた。
しかもとどめに陸にとってトラウマになった出来事を芹香さんはもう一回するよ言われる始末。
その言葉に怯える陸。しかし、彼は本当に反省してくれるのだろうか?
そんな幼馴染達を見ているひばりとつぐみは呆れていた。
さらに呆れているのはそんな連中と同じクラスになった彼らだった。
「ははっ 苦労してますね。龍星さんは」
「わふぅ~♪ お兄様達楽しそうですわ。私も混ざりたいですわ♪」
「本当に聞いてた通りの人達ですね」
そんな光景をドアの方から覗いている三人組がいた。
一人は赤い髪と左目に黒い眼帯を着けた青年、一人は犬耳と犬尻尾が生えた女の子、
最後に赤色のショートヘアの少年が楽しそうに見守っていた。
「おのれ海谷陸!貴様は何処まで俺の邪魔……グハッ」
「「うるさい」」
そんな雰囲気の中空気を読めないバカが暴走を起こそうとしてたところを青年と少年のアッパーを受けて沈黙したのはいうまでもないだろう。
「それにしても火鳥さんは物好きですね。わざわざ一年に転入するなんて本来なら二年のはずなのに」
「俺は、龍星さんと同じ場所で戦いたいだ。だからこそこの学園に在る特殊な【転入システム】を受けたんだ」
「わきゅう~? 火鳥さんはお兄様と対等に戦いたいために来たんですの?」
「ああ。それが俺の目的だからな」
場が静まった時に少年は疑問に思ったことを赤い髪と左目に黒い眼帯を着けた青年にいや火鳥炎心に聞いている。
聞かれた質問に対して炎心は、龍星を見ながら決意と熱い思いを言葉にして答えた。
そんな言葉に尻尾をパタパタと動かしながらも頭を傾げる少女に炎心は、楽しそうにそれでいて優しく答えている。
「さて時間ですし視察はここまでですね。僕達も教室に行きましょう」
「そうだな。……あ、そうだった。このバカも連れて行かないとな」
「大変ですね。特殊転入者は」
「ま、これくらいは何ともないさ」
そんな微笑ましい空気の中ふと少年は時間が気になり腕時計の方に目を向けるとそろそろ先生が来る時間が近づいていた。
その事に気づいた少年は二人に行くように声をかけると、炎心は返事をすると同時に気絶しているバカを思い出し襟を掴んだ。
バカを運ぶ炎心に労いの言葉をかける少年に炎心は何ともないといいその場を離れた。
「お兄様達また会いましょう♪」
最後に少女もそう笑顔で言って楽しそうにその場から離れた。
少女達が離れてから数分後1-Bの教室では重力の魔法が解けたのか倒れ込んでいた男がよろよろと立ちあがった。
よほど強く押し付けられたんだろうかかなり疲弊していた。
「ど、どこのどいつだ!この俺に地に押し付けた奴は!」
それにもかかわらず男は怒りに震えている。
無理もない、突然のこととはいえなすすべなく地に押し付けられたのだ。
男のプライドに酷く傷をつくのは明白だ。
「……」
そんな男を陸は冷めた目で見ていた。
ひばりやつぐみに文句を言ったことによる分を除いてもくだらないと思っている。
なぜなら陸は知っているからだ。
未だに吠えるバカから目をそらし龍星を見ながら陸は考える。
確かに魔法の実力なら陸の方が龍星よりも強いと自負してる。
しかしそれでも陸は龍星に勝てない。
肉体的強さもあるだろうが、それ以上に心が強いからだ。
どんなに敵の数が多かろうとどんなに傷がつこうとも気にせず勝利する。
それでいて守っている連中の気持ちをケアーしているのだ。
これを漢と言わず何と言う。少なくとも今の陸では龍星のようにはできない。
相手を倒すことしかできず周りのフォローなんて考えられない。
それすらも容易くできる龍星に陸は尊敬をしている。
それと同時に超えたいと願うようになった。
そんな幼馴染の傍にいる陸には、自分が最強と言う人間には辛辣になるのも当然と言える。
というより、最強なんてことで自惚れる人間が陸は嫌いだといえるだろう。
そういう人間は大抵自滅して死を選ぶことになるのだから。
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