35.グレアントモ解放戦
訳者前書き
本書は、世界的に有名なフォーデン・エルゲス氏の最後の作品を、私が日本語に翻訳したものである。
本書の内容については、タイトルのとおり、グレアントモ解放戦についての詳細な記述である。
本来であれば、ここから、翻訳のあり方について、語るべきではあるのだが、その前に読者の皆様にお詫びしようと思う。
私は学生時代、英語が苦手だった。
それは今でも続いており、これまで出版社から翻訳の依頼が来てもすべて断ってきた。
今回、翻訳の依頼が来たときも、正直「何故、自分が?」と思ったものだ。
出版社からの依頼理由を聞いたとき、その理由は理解できたのだが。
だからと言って、本来であればこの仕事を断っていただろう。
先を読むことの出来る私は、特殊な事情を持つ私をこき使う未来を容易に想像できるからだ。
それでも、今回の仕事を引き受けたのは、先物取引に失敗した穴埋めを少しでも補う為である。
とはいえ、正直、翻訳元の言語が十分に出来るわけでもない。
今回の翻訳にあたっては、わからないところ等、翻訳したくない所は、適当にごまかすか、思い切って削除するか、あるいは適当に話をでっちあげて、話をつなぐ手法を取ることにした。
調子の良いときなどは、私の知人を勝手に登場させて、大暴れさせたりもした。
翻訳者の努めとして、原作の雰囲気を壊さないよう翻訳するということが求められる。
だが、原作の雰囲気が理解できない私に、どうすればそのようなことが出来るのであろうか?
もっとも、原作の言語「ブルエスグ語」について、かろうじてでも知っているのは、今のところ私1人なので、他人から「誤訳」について責められることは、生じないのだが。
「責められることがないと、断言するのなら、読者に何を謝るのか?」
と質問するかもしれない。
それは、原作者についての言及のことである。
とある事情で、私は原作者を知っているが、私はこの翻訳の途中で死んでしまったことにしている。
それは、原作者から直接頼まれたからであり、私もその願いを叶えたたいと思ったからである。
もちろん、原作者の情報提供については、出版社から去年発生した株取引の損失補填を条件に白状するよう迫られたが、断腸の思いで断った。
そのような状況であるため、原作者が誰であるかについては、教えられないことをお詫びする。
~「グレアントモ解放戦」(斑鳩茂市2021年)~
自分の才能について、底が見えてきたので、次回あたりで、完結の予定です。