1.まえがき不要論
思いつきだけではじめた。
公開はしている。
まえがき不要論に、なぜ、まえがきがあるのか。
簡単に説明する。
本書は、西暦170年頃ローマの法学者テオニウス(注1)が書き残した書簡を元に、245年頃歴史家のテシスス(注2)が編集したものである。
西ローマ帝国崩壊後、逸失したものと考えられていたが、1320年頃北イタリアの修道院(注3)に遺されていた一冊(この修道院は後に火災による焼失を受ける)を神聖ローマ帝国出身の修道士(注4)が複写し持ち帰った。
その後、1560年代にフランクフルトの印刷所(注5)によりドイツ語で出版されたものが、1944年のノルマンディ上陸作戦時に連合軍の下士官(注6)が入手し、戦後パリの古美術商に売られたものをイタリア人の翻訳家(注7)が購入しイタリア語で出版された。
このような設定で、私(注8)が翻訳したことにすれば、無名の新人作家(注9)の評論よりは売れるだろうという編集部(注10)の方針に従った結果がこれです。
たしかに、新書版はそれなりに売れましたが、文庫版の出版にあたり、作成にいたる経過ぐらいはきちんと説明しないとさすがにまずいと思いました。
このような経過で作成されたことから、文庫版については、注釈を本文に含めることで、いちいちページの行き来をしないようにすることに努めました。
(注1~10)架空の人物・組織です。
~「まえがき不要論」(斑鳩茂市1998年)~