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あるパイロットの独り言-11-

パイロット編はこれで終わりです。次は何を書こうか考慮中です。

 ○一二四時、僕らはノーフォーク沖一〇〇kmの位置に達し、周辺のレーダー基地に対する攻撃を開始したが、敵の迎撃はなかった。護衛の二二機は僕らの上空三〇〇〇m、海面高度九〇〇〇mにいるはずだし、僕らの編隊は六〇〇〇mの高度をとっていた。残る二機は一〇〇km後方似合って、電子戦の開始を待っていたのだが、まだ開始されてはいなかった。これは、僕らが米連合国のレーダーに探知されていないためであった。


 二四機の<雷電>が各機二発の○四式誘導弾を発射したが、目標が重複することはない。これは各機にリンク機能があるため、先にロックオンした目標が除外されるからであった。ちなみに、爆弾庫を開いても敵に動きはなかった点が僕にとって不思議であったのだが、後に米連合国の対空レーダーの性能が僕らが予想していた以上に低性能だったのかも知れない、そう決断されたようであった。


 ともあれ、第一次攻撃隊としての僕らの役目は十分果たすことができた。これが、指揮官として最初の作戦であり、それが成功裏に終わったことに僕は内心ホッとしていた。最悪、迎撃機との空中戦も覚悟していたからである。そうして、僕は旗艦『白根』に連絡を入れると攻撃隊に帰還命令を発した。これで、第二次攻撃隊の作戦は容易になると思われた。


 この攻撃以後、僕ら<雷電>隊は対地攻撃任務に就くことはなく、主に航空隊の護衛、艦隊直援任務に就くことが多くなった。理由は不明だが、最新鋭機の消失あるいは技術流出を恐れたものと思われた。<雷電>はこの当時の各国戦闘機と比較すれば、三〇年以上先の技術が詰まっていたからであろう。中でも、マイクロ波レーダー、フェイズドアレイ方式などはどこの国でも装備しておらず、ステルス性重視の設計思想もどこも考えていないはずだったからである。その根底に、技術立国たる皇国の考えがあったと思われた。


 北米上陸後、<流星>の半数は陸に上げられることとなったが、僕らは母艦から離れることはなかった。これは、僕らの乗る<雷電>が最新鋭機であり、機密の塊であったことに原因があったと思う。稀に、偵察任務も与えられることがあったが、それでも稼動回数は激減する。結局のところ、艦隊司令部の予想以上に米連合軍の空軍勢力が落ちていたということになるだろう。僕ら<雷電>隊の任務は対レーダー攻撃とその後の対地攻撃でほぼ終了していたといえた。


 僕が思うには、<雷電>はこの時代には早すぎた機体であり、その能力が高すぎたといえる。後によく言われるように、オーバーテクノロジーであったのだと思う。むろん、この機体があったればこそ、聨合艦隊は損害を受けることなく、その任務を果たしえたのは間違いのない事実であった。とはいえ、今後もこの高性能な<雷電>が必要かと問われれば、この先、何年かは必要がない、そう思われるのである。


 第一にもしも敵の手に渡るようなことがあれば、その技術が流出してしまう可能性があること、第二にその技術をめぐって争いが起きる可能性があることを僕は指摘せざるを得ないのだ。そして、いずれにおいても、皇国にとって良いことは何一つないのだということを僕は考えていたのである。もちろん、これらのことは僕のように下っ端の将校がどうこう言う問題ではないのだが、それでも、上層部が適切な判断をしてくれることを望みたいと思う。


 結論から言えば、南北戦争終結後、<雷電>は封印される、といえば大げさであるが、艦載機から除外されることとなった。原因はあまりにも高価すぎ、また、先鋭すぎたことにあったという。マイクロ波レーダーやフェイズドアレイ方式はともかく、この時代ではステルス能力は早すぎたといえるかも知れない。結局、僕らは<雷電>を降りることとなり、本国で訓練中の部隊も一時停止され瑠こととなる。後に、本国空軍専用とされて一部の機体は配備されたままであった。そして、これを機に僕は艦載機乗りから降りることとなった。


 後継機はF-7戦闘攻撃機<疾風>であった。これも空海共用機であり、その違いは降着装置の有無だけであった。機体サイズ、コックピット周りはほぼ<雷電>そのままであり、外見は機体前部および主翼はF-15、機体後部はF14に似ているといえた。部品もできるだけ<雷電>のものを流用することで製造コストを半分にまで軽減しているという。パイロットの立場から言えば、<雷電>から<疾風>への移行はそれほど違和感なく移行できた。それ以後は基地航空隊に所属し、有事の際には海外に派遣されるということとなった。


 こうして、僕の世界大戦と南北戦争での任務は終わることとなった。思えば、この世界でパイロットとなり、戦闘を経験し、後に門外不出とされた最新鋭機に乗れたことは僕の誇りであり、誰に話しても恥ずかしくない経験であった。少なくとも、移転してきた誰もが経験できることではないからである。よく聞かれることであるが、戦闘に参加することに戸惑いはなかったか、という質問には、僕らは戦争していたのだ、ということを告げるだけにしている。移転前も戦争になっていたし、仕方がないことだと思うからである。


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