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ダンジョン奴隷だった俺、封印魔人と融合して美少女になり、最奥から強者を叩き潰す  作者: あきお


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第13話 力を得る条件

※本作にはTS要素があります。

宝箱の罠は――



作動しなかった。

今、目の前の宝箱は、何が起こるでもなく、開いている。


「……やった」


思わず、喉から声が漏れた。


『アレックス、貴様……なかなかやるのう!見事じゃ!』


これは、運じゃない。


考え、見定め、実行した結果が、ここにある。

俺は、魔物にも、罠にも、自分で立ち向かい勝利したのだ。


もちろん、バルフェリアの手は借りたが、それでもだ。


「これは……俺にとっての、初勝利だ」



――ただ生き延びただけじゃない、勝ったんだ。



感極まって、なぜか涙が込み上げてくる。

何だ?女の身体は涙腺も緩いのか?


だがバルフェリアもいる手前、涙を見せれば何を言われるかわからない。


俺は天を仰いで、何とか涙がこぼれないように耐える。


『おうおう、どうしたのじゃ?』


「……何でもねえよ」


バルフェリアがニヤついてる予感がするが、気にしないことにする。

そもそも、今バルフェリアの方を向くわけにはいかない。


――涙が溢れてしまうから。



――――



「さて、気を取り直して、お宝はっと」


少しして涙もおさまった俺は、そっと宝箱の中を覗き込んだ。


するとそこには、一本の短剣があった。

真っ赤な刀身に、美しい装飾が施された柄。

見ただけで、逸品だとわかる。


売れば相当な金額になるんじゃないか!?これ!!


『おお、中々良いものを手に入れたではないか』


「だよなだよな!?どのくらいで売れるかな?」


『たわけ!』


テンションが上がった俺の言葉を、バルフェリアがピシャリと遮る。


『貴様、脱出後の皮算用をする暇があるなら、どうすれば生き残れるかに知恵を回さんか!浮かれるな!』


「でも……俺の力でピンチを脱したんだぜ?少しぐらい自信持っても」


『阿呆!自信を持つことと、浮かれて現状が見えなくなることを混同するな!

この短剣は、窮地で手に入れた唯一の武器、いわば命綱よ。それをこの場で手放す算段をするとは……立場をわきまえよ!』


ぐうの音も出ないほどの正論。

せっかくの勝利に、冷水をぶっかけられた思いだが、それでよかったのかもしれない。


俺はまだ、一度のピンチを脱しただけ。

ダンジョンはまだまだ先が長いんだ。


「ああ、ごめん。浮かれてた」


『……分かれば良い』


俺はそっと短剣を手に取り、まじまじと見る。

刀身は、炎をかたどったような形をしている。


柄の装飾は……何だろう。

綺麗だけど、何かを意図しているような模様が描かれている。


『これにはな、武器に直接魔力を通すための魔力回路が刻まれておる』


「え、そんなこともできるのか」


『うむ。今の貴様のように、魔力自体はあるが、回路が弱いものが魔力を扱うための補助、といったところじゃ』


という事は。


「もしかして、これなら俺も魔力が使える?」


『左様。あくまでも、刀身に魔力を纏わせる程度じゃがの』


「マジかよ……!」


さっきの説教が脳裏をよぎり、浮かれて飛び上がりそうになるのをグッとこらえる。


『ただし、貴様は魔力の扱い方を知らんじゃろ。現時点では、妾でないと流し込めん』


「あ、そうなのか」


確かに。

魔力を使うのなんて、魔法使いの特権だと思ってたし、俺は農家の生まれだ。

魔力を扱う機会なんて、今までなかった。


「じゃあ、いざという時は助けてくれるか?」


『ま……いざという時はな』


やった。

本当なら、かなりデカいぞ。

あの狼を倒したバルフェリアの力が使えれば、今後の魔物との戦いも、グッと楽になる。


『ただし、条件がある』


空気が、少しだけ張り詰めた。


「……何だよ」


『これから妾が言う条件を飲め。なあに、貴様の命を取るようなものではない』


「条件次第だ」


『貴様が条件を飲むなら、話そう』


何だ?俺を試しているのか?

コイツの力を借りれば、脱出の確率はグッと上がる。

しかし、それは俺が条件を飲めば。


バルフェリアは何故か、条件を先に話そうとしない。

喉から手が出るほどに、力は借りたいが――


「……いや、駄目だ。先に条件を言え」


『フッ』


俺の回答に、バルフェリアが薄く笑った。


『よかろう。……貴様が甘い蜜にすぐにたかろうとする虫ならば、断るつもりじゃったが……存外、冷静になれておるではないか』


あっぶねえええ!

本当はすぐにでも飛びつきたかった。


だけど、さっきも檄を飛ばされたばかりで何かあると思ったが……間違ってなかった。


『良いか、無事に地上に出られたあかつきには、妾を封印したものを探して欲しい』


「お前を封印した奴……」


『そうじゃ。騙し討ちを企て、妾をここに誘い込み、封じた痴れ者よ』


「……ああ、別に構わねえよ。ムカつく奴をぶん殴りたい気持ちは分かるし」


『そうか。礼を言う』


「いいって、俺も助けてもらうんだし。ただ、すぐに探すと言うよりは、生活が落ち着いてからになると思うけど、それでもいいか?」


『構わぬ』


これで商談成立だ。

ともあれ、もう少し詳細を聞いておくか。


「それで?そいつの名前はわかってるのか?」


『うむ。妾に騙し討ちをした首謀者。そやつの名は“レギュラス”と言う』


「レギュラス?」


『何じゃ?心当たりがあるのか?』


「心当たりも何も、この国の名前だよ。“レギュラス聖王国”」


『……ほほう』


バルフェリアの心がざわついているのが分かる。

その目には、怒りと復讐心を宿していた。


「ていうかさ、そのレギュラスって人は、まだ生きてるのか?」


『必ず生きておる。奴が死んでいれば、妾の封印はとっくに解けておる。そして何より――』


「何より?」


『奴も妾と同じく、魔人じゃ』



魔人。



バルフェリアのような力を持っているかもしれない相手。

それが敵になるかもしれない事実。



――俺の心臓が大きく跳ねるのを感じた。

読んでいただきありがとうございます。

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