5.実験台
「お前ら、皆殺しだ」唐辛子が先に動いた。素早い動きでししゃもの間合いに入ると盗賊のスキル【絶対必中】を繰り出した。
ししゃもの胴体に鋭い攻撃が当たった。だが、ししゃもは平然としている。
「何だ、今のが攻撃か、何も感じないな」そう言いながらししゃもが笑っている
「何故、平気なんだ。絶対に攻撃は当たっている筈だ」唐辛子が話した。
「まぁ、言い忘れたが、お前の攻撃なんて蚊が刺す程度だ」
「そんな馬鹿な事があるか」唐辛子は剣を両手で構え直した。
「なら、これはどうだ」唐辛子は飛び出すと盗賊のスキル【夜桜無双】で無数の刃を繰り出した。千を超える刃がししゃもを襲う。だが、ししゃもはそれを、盗賊のスキル【見切り】で回避した。
「俺も盗賊のジョブを獲得している。それを選んだセンスは認めるが相手が悪かったな」
「お前ら、全員で攻撃するぞ」唐辛子が仲間に話しかけた。
「無理だ。勝てる訳がねぇ、俺たちは逃げる」そう言いながら柚子、井上、柳がその場から逃走した。
「追え、始末しろ」ししゃもが号令をかけた。とんかつ君、とろろ君、七味さんが逃げ出した連中を追った。
「お前の仲間たちは素直だな」ししゃもが不敵な笑みを浮かべていた。
「煙幕」そう言いながら唐辛子は逃げ出した。辺り一面に真っ黒な煙が立ち込める。だが、ししゃもは唐辛子の真後ろに姿を現した。
「お前は一体、何者だ」唐辛子は焦っていた。
「まぁ、待てよ。お前で試したい事があるんだ」ししゃもは残忍な表情を見せた。
「これをお前にやろう」そう言いながら命の石を唐辛子に渡した。
「何だ、これ、石ころがどうした」
「それは課金アイテムの石だ。死んだ場合、その場で直ぐに復活が出来る」ししゃもが説明をした。
「それがどうしたんだよ。何で俺に渡すんだ」唐辛子は青ざめていた。
「実験台になって貰う」ししゃもは短剣を握り、唐辛子に【夜桜無双】で攻撃をした。千を超える刃が唐辛子の体を次々と突き抜けた。その瞬間、命の石が割れた。
「な、何が起こったんだ。し、死んだのか。俺は」唐辛子は混乱していた。
ししゃもは知者の眼鏡で唐辛子を観察していた。
「成程、十分間、ステータスが半分になるのか」「これは大問題だな、一から戦略を見直さないと」ししゃもは考え事をしていた。
「何なんだ、一体」唐辛子は怯えていた。
「まだ、実験の途中だ。大人しくしていろ」
「俺が一体何をしたって言うんだ」唐辛子は泣いていた。
「お前は殺していないのか。村人の話だ」
「そんな」唐辛子は肩を落とした。
「待ってくれよ。何でもする。命だけは助けてくれ」唐辛子はししゃもの足元に擦り寄った。
「さて、時間が経過した。成程、ステータスは元に戻っているな」
「最後の実験だ」
「い、嫌だ。死にたくない。死にたくない」唐辛子は逃げようと必死に地面を這いつくばっていた。
「情けだ。苦しまない様にしてやるか」ししゃもは短剣を構えた。盗賊のスキル【絶対必中】を唐辛子に食らわせる。背中に短剣が深く突き刺さると唐辛子は動かなくなった。
ししゃもは唐辛子の体を調べていた。「これは完全な死体だ」唐辛子の死体は冷たかった。
「バックパックはどうだ」ししゃもは唐辛子のバックパックを調べた。
「ごみ装備と回復アイテムか。回復アイテムは村人に渡すとしよう」「価値があるのはこのバックパックだな」「これはギルド用にしよう」
「ところで、他の連中はどうなった」ししゃもは遠くを見つめていた。
柚子、井上、柳は集団で逃走していた。村を抜けて山間を走っている。
「面倒だから私が始末する」七味さんが話した。
「俺にやらせてくれよ」とろろ君が話した。
「どっちでも良いけど、早く始末しないと逃げられるぞ」とんかつ君が話した。
七味さんは素早く弓矢を取り出した。弓使いのスキル【シューティングスター】を放つと、矢が柳の頭を突き抜けた。柳はその場に倒れた。次は井上と柚子を狙った。頭に矢が刺さると二人は共に倒れた。
「全員、始末完了」七味さんは弓矢を納めた。
「狡いぞ、弓矢なんて」とろろ君が悔しがっていた。
「俺の勇者の剣で始末したかった」とろろ君は残念そうにしている。
「まぁ、終わったんだし、良しとしよう。別の機会があるよ」とんかつ君は冷静だった。
「取り合えず、信号弾を撃つよ」とんかつ君は信号弾でししゃもに完了の合図を送った。
「終わったか」ししゃもが呟いた。
「復活は無い様だな」ししゃもはまだ、唐辛子の死体を眺めている。
ししゃもは信号弾を構えるとメンバー全員に集合の合図を送った。
「これは酷いですね」村の惨状を見た燕ちゃんが話した。
「女、子供も居るぞ。無差別に殺したのか」岳ちゃんが話した。
「多分、ゲーム感覚で殺したんでしょう」森羅万象さんが答えた。
「ソルト、これで村人を治療しろ」ししゃもは唐辛子が持っていた回復アイテムをソルトに渡した。
「こんなに沢山、良いんですか」ソルトが話した。
「敵から巻き上げた物だ。遠慮は要らない」ししゃもが話した。
「カエル様、ありがとう」メイヤが話した。
「まぁ、依頼だからな。報酬を忘れるなよ」ししゃもが笑った。
村の被害は死者、百五十名。負傷者、六百名だった。
「ソルト、何処かに休める場所は無いか」
「この時間だと村の宿屋は閉まっています。集会所はどうですか、今回の件で避難してきた者が休んでいますから、無料で泊まれますよ」
「無料か、それなら案内を頼む」ししゃも達は集会所に向かった。煌めく星々が夜空に浮かぶ、死者の魂を慰めるかの様に。
◆登場人物
◆ししゃも 物語の主人公。【バトル・オブ・ザ・フロッグス】のリーダー。
◆燕【バトル・オブ・ザ・フロッグス】のサブリーダー。
◆毒蛇【バトル・オブ・ザ・フロッグス】のサブリーダー。
◆うすしお【バトル・オブ・ザ・フロッグス】のメンバー。
◆岳【バトル・オブ・ザ・フロッグス】のメンバー。
◆緑川【バトル・オブ・ザ・フロッグス】のメンバー。
◆ああああ【バトル・オブ・ザ・フロッグス】のメンバー。
◆とんかつ【バトル・オブ・ザ・フロッグス】のメンバー。
◆麦茶【バトル・オブ・ザ・フロッグス】のメンバー。
◆小麦【バトル・オブ・ザ・フロッグス】のメンバー。
◆とろろ【バトル・オブ・ザ・フロッグス】のメンバー。
◆森羅万象【バトル・オブ・ザ・フロッグス】のメンバー。
◆七味【バトル・オブ・ザ・フロッグス】のメンバー。
◆こてぺそ【バトル・オブ・ザ・フロッグス】のメンバー。
◆阿修羅【バトル・オブ・ザ・フロッグス】のメンバー。
◆ふみふみ【バトル・オブ・ザ・フロッグス】のメンバー。
◆りこっち【バトル・オブ・ザ・フロッグス】のメンバー。
◆唐辛子【ノートリアス】のリーダー。
◆柚子【ノートリアス】のメンバー。
◆井上【ノートリアス】のメンバー。
◆柳【ノートリアス】のメンバー。
◆メイヤ ヨームの村の村人。
◆ソルト ヨームの村の村人。
◇設定資料
◇【ソーラの森】ししゃも達が最初に飛ばされて来た森の名前。
◇【ヨームの村】ソーラの森から南東にある村。
◇【絶対必中】盗賊のアクティブスキル、攻撃が必ず相手に当たる。
◇【夜桜無双】盗賊のアクティブスキル、千を超える刃が相手に突き刺さる。クリティカルが発生する。
◇【見切り】盗賊のパッシブスキル、攻撃を一定の割合で回避する。
◇【煙幕】盗賊のアクティブスキル、辺り一面を煙幕が覆う。
◇【シューティングスター】弓使いのアクティブスキル、攻撃が必ず相手に当たる。クリティカルが発生する。




