おまけ シャノン、結婚を申し込まれる。2
トーマス様との面会を終えようとする私に、彼は慌てた様子で頭を下げてきた。
「結婚の申し込みは取り下げます。ですので、どうか私をシャノン様の師団に入れてください!」
「第六師団に? どうしてまた? 肉の盾ならいりませんよ、トーマス様で防げそうな攻撃なら直撃しても私は無傷です」
「……分かっています、それでも私はわずかでもシャノン様のお役に立ちたいのです。この二年半、そのために独房で体と魔力を鍛えてきました」
「あなたの力は感じていました。てっきり今度こそ私を仕留めるつもりかと(まだまだ無理ですけど)」
どうやら結婚は二の次で、本当に償いのために私の力になりたいようだった。
私の団に限ったことではないけれど、腕の立つ騎士は常に不足している状況にある。そして、外界から隔絶された場所で鍛えてきたというだけあって、残念ながらトーマス様はその域に達していた。
悩みに悩んだ結果、私は個人的感情よりも団の戦力アップを優先することに。トーマス様の入団を許可した。
私の返答を聞いたトーマス様はその端麗な顔に笑みを湛える。(この人は容姿だけはよく、私も以前はそれに騙された)
「ですがトーマス様、戦争に行くことをお家の方は許してくれるのですか?」
「それでしたら心配は無用です。侯爵家からはつい先ほど勘当されました」
「なるほど、まあそうでしょうね」
……はぁ、麗しい容姿の男性が結婚を申し込みにきたというから戦地を抜けてきたのに、いったいどうなっているのだろう。
と呟いていると部屋の扉から父が顔を覗かせた。
「彼が、婚約者が無理ならシャノンの下僕になる、と言うのでな」
左様ですか、素敵な下僕をありがとうこざいます。かつて私を刺そうとした人ですけどね。
私はため息をつきながらトーマス様の方に向き直る。
「とりあえず、急いで戦場に戻りますよ」
「支度はできています。シャノン様の身の安全はもちろん、悪い虫からも私がお守りしますね!」
「あなたほど悪い虫もそうそういないと思いますが」
こののち、私の結婚がさらに遠のいたのは言うまでもなかった。




