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第二話

さて、“わたくし”について説明しよう。


わたくしは先ほども言った通りラヴィーリンド帝国の第一皇女で又の名を“無気力皇女”。


今までぼんやりとしていて、皇族としての務めすら最低限もしていなかったことからつけられた二つ名だ。



ちなみに、皇女や皇子の順番は母となる皇妃の序列で決まるため、兄や姉が自分よりも下の立場である、というのも少なくは無い。


実際、わたくしは母様が皇后で皇妃の中では一番序列が高い為、その娘であるわたくしは第一皇女だが、年齢順にすると上から八番目。


下から数えた方が早いくらいなのだ。




わたくしの容姿は、父である皇帝によく似ている。母様や侍女には、目鼻立ちが父様そっくり過ぎて幼い頃の父の絵と見分けがつかない程だと言われた。


髪の色や目の色も皇帝と同じ黒銀髪に漆黒。


皇族の中ではこれ以上なく父様の遺伝子を受け継いでいるらしい。


…何だろう、余り嬉しくない褒め方だなと思った。


わたくしがもし男子だったら少しは喜んだかも知れないが、わたくしは女の子。




普通、美人な母に似たいなと思うではないか。


色彩が暗めのわたくしや父様と違い、母様はこれでもかというほど美しく輝く白銀の髪にアメジストの瞳。


容姿も女性らしく、わたくしは母様のことを完全に絶世の美女だなぁと尊敬していたから、母様から生まれたわたくしは少なからず似るんだろうなと期待していたら!全然!似なかった!!


父のつよつよ遺伝子、許すまじ。


まぁ、お父様のような威圧感や覇気はなかったのでそこはせめてもの救いだったけども。




…おっと、話が逸れた。



そして次に、この世界のこと。


この世界は確か、“魔法の世界と皇子様”という名前の乙女ゲームだ。


少しだけ覚えている。主人公が、この世界に転移してきてその場所の領主だった男爵にその高い魔力量を買われ、養女としてアカデミーに入学してくる。


そして、様々な攻略対象達と共に戦って最終的に何とか邪神ノアを滅ぼし、卒業パーティにて悪役令嬢を断罪して攻略対象の誰かと結ばれハッピーエンドという王道の内容だ。



わたくしの腹違いの弟であるオルヴィーン=ルーク=レオン=ラヴィーリンドも確か攻略対象の一人で、ヒロインが何もアクションを起こさなかったら自動的に結ばれる、所謂一番チョロい奴だ。


わたくしはオルヴィーンに会ったことはないからどんな性格かは知らないが。



記憶によると、主人公の名前はモモカ。


魔力量は1000を超えていた筈だ。


普通の人が100未満だと考えると、物凄く多い。



現在、わたくしは八歳。


乙女ゲームがスタートするまでにあと六年ある。


このままシナリオ通りになったとしてもわたくし自身に何かが起こるわけではなく、現状維持する手もあるけど。







わたくしは、楽な道を選びたくないと思ってしまった。


それには、一つ理由があるのだ。




“邪神ノア”のことだ。


邪神ノアは一度、ゲームが始まる数年前に発生して国の一部で大きな被害を被った。


このイベントは一年前に既に起き、シナリオ通りに皇后であるわたくしの母様とオルヴィーンの母である第二皇妃、他にも多くの兵士や民が犠牲になった。


亡くなった妃の中でも、わたくしの母様ことサリエラ=アース=ティモーシェ=ラヴィーリンドはこの国で片手に入るほどの実力を持っており、若い頃は“白銀姫”という二つ名を知らぬ者は居ないほどだった。








それでも、邪神には敵わなかった。


わたくしは、あの悪夢のような出来事を昨日のように覚えている。


思い出すのも悍ましいけれど、あの時、母様だけでなくわたくしに優しくしてくれた友達や侍女が皆目の前で殺されていった。


次もそうなってしまうと思うと、怖くて堪らない。





今度こそ、大切な人達を、国民を守るためには、強くならないと。


















もう何も、憎くて仕方の無いあいつ《邪神ノア》に奪わせない為に。






邪神との過去については、またいずれ判明します。

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