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第4話:レベル?


今のとこ全話投稿してから誤字見つけてて頭かかえてる


11月にもなると流石に日照時間が大幅に減っていくらしく、山岳の高原地帯を離れ緑の多い南の草原へ向かうらしい。

移動が決まってからはここが帝都トパソンというところに近いため、姐さんが遠い目で都の方を見ていた。都に行った子供達が気になるのだろう。


この高原はこのイレン半島内でも比較的涼しい場所なようで、夏になると避暑地として別グループの遊牧民にも選ばれているようだった。

情報や物資を交換すると、見たこともないちょっと苦くて甘い根菜が手に入った。この高度では育たない種類らしい。ダメもとで湯掻いて灰汁を取りつつ糖分を抽出してみたらべっこう飴のようなものを作ることが出来て、みんなに配って回るととても喜んでもらえた。


今日はヴィーラさんのお父さんの荷物整理の手伝いに来ていた。夜が警護の担当らしく、昼の間に手助けに来て欲しいとの事で、ヴィーラさんが家畜の毛を器用に刈り取っているのを遠目に見つつ、捨てる家財を火に投げ入れた。ついでに料理中に焦がしてしまったミトンを投げ入れる。

こちらの世界に来た時に着ていた服は白のシャツと黒いパンツで学生服に似ていて、素材が全然ちがっていたのでやっと気が付いたくらいだった。川で流された時に色々と擦り切れてしまい穴だらけになっていたので、姐さんの手ほどきで縫い目をほどいて帽子や飾りやミトンに変えてしまった。あれは誰が作って僕に着せてくれたのだろうか。


「あの子、前に君の作った料理を口にしてから君のファンでねえ、なんでパパがセキくん拾わなかったのって毎日のように怒られるんだよ」


アレか、と数週間前を思い返した。彼ら向けに出来るだけ薄味に、でも僕でも満足感を得られる程度には味をつけられた。いい塩梅で作れた自信作だった。


「そうなんですねえ」


言う事が子供っぽくて可愛いなあと思いつつ、楽しそうに娘の話をする彼に相槌を打った。・・・もしや今までヴィーラさんには捨て猫のような目で見られてたのだろうか。


「最近は欲しかったら自分で取ってこいって言ってるけどね」

「そ・・・」


そうなんですねえ・・・。目をつぶり心の中でそう呟いた。






今週は警護団になるヴィーラさんのテスト週間初日だった。テストとは言っても筆記などは無いし、警護団と一緒に活動し、一定期間の働きを見て適・不適を出すだけらしい。族長はほとんどの人が合格になる程度の難易度と言っていたが、自虐で流石に僕は落ちるだろうなーと言ったら、そ・・・とまで言いかけて目をつぶっていた。


テスト前に適正を見ておこうという話になり、整理がひと段落した所で族長の家から測定器具をいくつか持ち出してきた。


「一応身長も見とくか。」

「絶対大丈夫だよ?」

「まあまあ」


ああ、指の数が6本な為に数の数え方が12進数なのも重要なところだ。これは本当に慣れなくて、今でこそ即興で頭の中で10進数に直す事が出来るが、始めは9以降の数字をA、B、10と置き換え必要なら地面に数字を書いて数を合わせていた。認識の違いと言えばそれまでだが、数が数えられないで言われた程度の事もできないと思われるのは癪だったので僕としても必死だった。


今僕は14歳だから彼らには12歳と言う必要があるし、彼らが20と言えば頭の中で24だと変換しなければいけない。だから両手の指を開ききる前に成人するという考え方がちょっと意外だと伝えたら、女性は大体9歳で成長が止まり、男性は11歳までで、間を取ったとか色々な説があるらしい。


「セキくんは84だね。」

「ヴィーラは・・・96だな。あんなに小さかったのになあ」


84なので10進数に直して100丁度、記憶している僕の身長は162cmだった。この単位は10進数で1あたり1.62cmくらいか。

それで換算するとヴィーラさんの身長は約184cmちょっとだ。パッと見でもこの集落の女性の中でも3番目に大きいし、余り驚かない。というか皆大きい。男性でも低くて180以上あって、立ち話をしていると正直首が痛い。ちなみに1番背の高い女性は姐さんだ。族長が横に並ぶと巨城が二つ建っているようだった。


ちなみに女の子は7歳、男の子は9歳くらいから急激に背が伸びるらしい。今相手にしている子供達も数年もすれば・・・あぁ、なんか憂鬱になってきた。


「次は■臓■■を見ようか」

「レベルだね!」

「■臓?レベル?」


聞きなれない言葉に困惑する。


「ここでドクドク動いてるのが心臓。でその近くに■臓っていうのが付いてあって、それの大きさを測るんだ。■臓■■だと長いから皆レベルって言ってる。」

「へえ、多ければ多いほど良い訳ですね」


(肺活量みたいなものか、うん・・・『付臓』と『付臓活量』にしよう)


新たに覚えた言葉を頭の中で分かりやすい意味に置き換えた。言葉を覚えるのは大体この繰り返しだ。

学校で外国語を習っていた時ははかなり丁寧で学習しやすい環境があったのに、必要が無かったからか余り身につかなかったなと思い返す。あちらに帰ることが出来たら必要に迫られる環境にあえて身を置くのもいいかもしれない。


「成人してれば大体6個くらい光るかなあ。はい」

「わっ」


そう言いながらヴィーラさんのお父さんがゴツゴツとした石の塊を投げてよこしてきた。黒色で半透明の石のようなものがフジツボの塊のように密集している。

大気中にある魔素というものを利用し、体を動かす特殊なエネルギーにする生き物がいるらしく、その生き物が隠れ蓑にする殻に付着した石が長時間魔素から変換されたエネルギーを浴び続け、このようになると説明してくれた。

魔晶殻(ましょうかく)と呼ばれるらしい。灰岩の結晶などでゴツゴツとした殻を持つヤドカリを想像しつつ、指示の通りに生物の居たであろう穴に親指を入れて反応を待った。


「あー・・・レベル3ってとこかな」

「3・・・」


なるほど、結晶1個あたり測定値3といったところか。もっと小さな魔晶殻を使えば精密に測れるとも言っていた。うん、3以下の可能性すらあるな。


「3・・・・・・・・・・・・」

「まあ、将来性があるって事だ!気にしない!」

「かわいい・・・大丈夫だよ、セキ君の分もあたしが頑張って強くなるから。」


どうやら僕は警護団の適性テストでは何一ついいところがない存在らしい。僕を励ましつつ、魔晶殻を受け取ったヴィーラさんが優しくほほ笑んでいる。純粋さってまれに残酷だよね。


「かわいいって・・・」


悲しみに沈みつつヴィーラさんの手の中でキラキラと石が光っていくのを数える。えーと、1、2、3・・・


うーん、頭の中で10進数の数字で考え、会話する時だけ12進数で表すのは混乱する。これからは全ての表示を自動的に10進数とすることにしようと思う。正直疲れる。


「すごいですね、レベル27か」

「えへ、もっともっと強くなるよ。安心して見ててね」

「おお、9歳で27もあるのは初めて見たな。ちなみにパパは36だ」

「パパはすぐ追い抜くから覚悟しててね」





その後、ジャンプ力や足の速さ、各部位の筋力などの記録を測定した。僕は4種目めあたりで疲れてやめ、ヴィーラさんのお父さんと雑談に入っていた。正直理解できているか怪しいが、いわく、付臓というのは大気中の魔素からエネルギーを作り出し溜め込む器官で、心臓にぴったりくっつくように出来ているらしい。鼓動の動きの余剰分をちょっと貰って、そのポンプ機能で体の端にそのエネルギーを送りつつ、個人の持つ令素というものを混合させたものを組み合わせることで魔法として放たれるという。だから心肺機能を鍛えればそれに伴い付臓も大きくなるという話だ。


(なるほど、レベルの高さが持久力とかの指標にもなるわけだ。)


強い臓器があれば強い体を作れる。これも当然の結果だなと記録表に視線を落とした。ヴィーラさんはあちらの世界ならあっさりと世界記録を塗り替えてしまうような記録を余裕すら見せて出していき、頼もしさが数値として表れていくようでちょっと面白かった。圧倒的だ。全ての種目を終わらせた後、涼しい顔でこちらに笑顔を見せて手を振るヴィーラさんに手を振り返した。ヴィーラさんのお父さんはまあ良い方かなと笑っていた。


一週間後、ヴィーラさんのテストは100点満点の結果で合格したらしく、10歳になったら警護団になって守ってあげるねと報告しに来てくれた。


「そ・・・」

「?」

「そ、そうですね」


今度はちゃんと声に出して肯定しつつ、目をつぶり僕も少しは鍛えようかなと来る未来に思いを馳せた。

歳上だし与えられるばかりでは格好がつかない。うん、せめて、レベル10くらいは・・・ほしいかな。









続きは出来次第あげます。いまのとこ体の調子はいいです。

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