笛の音
遠くから、何やら音楽が聴こえてくる。
何というべきか、笛というにも何か違和感があり、かといってそれが一番適切な表現に感じる。
もしかしたらトンビか何かなのかもしれないが、夜中に彼らの声が聞こえることはないだろう。
どっぷりと日も落ちて久しく、時計は直線を構成していた。
音楽というに楽しげな雰囲気があるものの、それは何やら物悲しい雰囲気がある。
いうならば葬送行進曲だ。
だがそれが何かということを目にすることはついになく、それが何だったのかということは、繰り返し流れてくるものの、調べるつもりもない。
何か調べてはいけないと、本能で理解をしてしまったからだ。