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第6ゲーム『1教育実習生と邂逅』



 学校に着く。特に変わったような様子もない朝だ……。

 一つ変わったことがあるとすれば1週間、家の用事とかで休んでいた奴が学校に来ている。

 僕の真後ろの席のリュフォーって奴だ。また学校に来れるようになって少しだけ安心した。

 まぁそいつに適当に挨拶をして僕らはゲームの話題をする。



 僕ら4人は朝礼まで、僕の席の周りに集まって例の件の話し合っていた。

 教室は30人近くがそれぞれ、いくつかのグループで大体駄弁っており騒然としている。

「う~~~ん、なかなか進展しないな…。」

「さっきから検索しているけど、それらしい話も都市伝説も事例がないよ?」

 ナミカがそういうとタクローが僕の机を軽く叩く。

「やっぱ、あれだよ!ゲーマーとしては憧れの!

運営から接触してきて、βテストのテストプレイヤー的な流れなんじゃないか!?」

「タクローは夢見すぎだと思うの。」

 メルカの言う通りだと皆でうなずきながら目線はスマホの画面へ戻す。

 それらしい情報は、検索してみた感じない。

 マーリン…検索結果1200件。ビクトリア…検索結果400件。

 どれも大体が赤ちゃんの名前決めとかのページだ。

 僕らの国には、こんな変な名前は使う人はほぼいない。違う国や世界だとどうかは知らないけど。



 そうやって駄弁っていると教室の扉が開く。

「おいィ!席に着けェェ!授業を開始するゥゥゥ!」

「やべ、ホーリーだ!」

 特徴的な巻き舌とダミ声で、細身の男性…歴史教師で担任のホーリーが教壇に立つ。

「起立!礼!着席!」

 委員長の合図とともに一連の動作をする。

「ええェェェェェ~~授業のォ前にィ!貴様るァァァ連絡れェんらァく事項があるゥ!」

 今日も巻き舌キレキレだなホーリー…。

「すいませェん!入ってきていいですよォ!」

 ホーリーがそういうと教師の扉が開かれて見知らぬ女性が入ってくる。

 女性は水色のポニーテールを揺らしオレンジの瞳、メガネに着慣れていないのか真新しいピチピチのスーツに…。

 その高身長かつ大変……目を引く()()()()()()体型をしており、緊張した面持ちで教壇の前に立つ

「静粛にィ!男子生徒だんすィー諸君!鼻の下を伸ばすなよォ!伸ばすのは学力だァ!」

 教室がざわつく中、ホーリーが一喝して静かになる。



「今日からこのォ!ぱっとォしない教室で貴様らと数か月間、教育実習生として過ごすことになった『アカリ先生』だ!

一部授業をしてもらうことにもなるゥ!!これも社会の荒波に一歩を出る貴様らァの先輩だァ!

社会に出たことのない貴様らから学ぶべきちょびぃっとォのことや、我ら社会経験豊富な教師の背中から学ぶべき偉大いだァいなことをこの数か月間で経験してもらうぞォ!

ではアカリ先生!」



 ホーリーにキビキビそう言われると、アカリ先生は大きな声でしゃべりだす。

「あ、はい。ありがとうございます、堀岡先生。

えーー、教育実習生のアカリです!

子供のころからの憧れだった先生になりたくて、こちらの高校で学ばせていただきます!よろしくお願いします!

何かわからないことは質問していってください!……わ、私も質問しちゃうかもしれませんが…。」

「せんせー質問デース!彼氏はいますかー!」

「え”ッ…!?」



 クラス一のバカであるタクローが手を上げ質問する。

 わかるぞ……タクロー…。男としてここまで可愛くて、()()()()と大きな女性…まさにお前の好みだもんな…。

 僕を含む男子生徒全員が頷く。

「くォォォォらァァァ!鳥摩トリマァァ!」

 ホーリーが怒ろうとする中。アカリ先生が一歩出て指を差し首を傾げタクローに目を合わせる。

「内緒です!あとそういうことをあったばかりの女性に聞くのはマナー違反だぞ~!」

「あ、はは…すいません……。」

 やばい、一つのしぐさっていうか、動作がかわいい…。最後ウィンクした…。

 タクロー…顔真っ赤だし…。僕もなぜか、真っ赤だ…。

「さ、ほかに何か質問はある?」



 ▽ ▽ ▽ 



 こうして半ばホーリーの授業の前半部分にアカリ先生の質問コーナーが行われた。

「先生は兄弟はー?」

「先生は上に姉と、下に妹がいます!」

「アカリ先生は何で先生に?」

「憧れの人物が先生だったので!」



 等と言っているうちにホーリーが立ち上がり…。人差し指をブンブン振りながら苛立つ動作をする。

「オッホン!!……アカリィィ先生ェ!時間管理をするゥってのは社会や授業中に置いて重要なこと!

質問はそれまでェですッ!」

「あ…すいません……。」

「今後はこのことを学びィィ!しっかりと授業へェと励むのでェすゥ!

それェェこそが社会経験!貴様らもアカリィ先生に対する質問より、授業に対する質問をしなさァい!

そっちの方が兄弟姉妹の有無よりよっぽどォ社会で役に立つゥ!」

「…は…はい。」

 ホーリーの唾が飛ぶ中、アカリ先生が若干うなだれつつちゃんとメモを取っている。





「とゥいうわけでェ!中間テストォの結果を返すゥ!!()()()()()の重みを知る、心構ゥえェをしろォ!!」

「「「「えええええ~~~!!」」」」

 クラス中は授業の引き延ばしに満足がいかなかったり、アカリ先生と話し足りなかったことや、テストを返すことに対して大ブーイングだ。








 ――僕は今回も平気点ぴったりだった。よかった…。





 ▽ ▽ ▽ 





 僕らはホーリーの歴史の授業が終わり、そのまま2限目、3限目と……時間は無常にも過ぎていき。

 今は昼休み。4限目は熱血な体育でへとへとな僕らはご飯が待ち遠しかった。

 体育は男女別で二クラス合同で行うのだが、体操着の着替えは男子が僕らのクラス。

 そして女子のみ女子更衣室で行われる。

 そのため女子が時間差で戻ってくる……っていうのがいつもの展開なのだが…。

 僕らがご飯を食べる前、まさに着替えているとき廊下から着替え終わった女子の声がざわめく中、教室の後ろ扉が開き。

「こんにちはー!ご飯一緒に食べに来ましたー!」

 とまだシャツしか着てないズボンをつけていない状態なのに、アカリ先生が教室に入ってきたのだ。



「……あ。」

 アカリ先生は着替え中だった僕らを見て顔を真っ赤にして、さらに僕らもアカリ先生を見て、見つめ合い互いに顔を真っ赤にしたのちに、アカリ先生が無言で何も言わずにすごすごと教室から気まずそうに去っていった。

 まだルールに慣れていない中、少し恥ずかしそうなアカリ先生はなんだかかわいかった…。



 ▽ ▽ ▽ 



 僕ら4人が固まって教室の真ん中あたりでご飯を食べる中、アカリ先生が一緒にご飯を食べることになった。

「いやーごめんねー…。」

「いいッスよ!アカリせんせ!豪快で!」

 落ち込むアカリ先生を三色弁当の海苔を歯に着けた状態で、タクローは勢いよく励ます。

「はは、まだ慣れないけどこれからよろしくね。」

「よろしくなのです。そういえばアカリ先生のお弁当かわいいですね。」

 メルカはアカリ先生のお弁当を指摘する。

 かわいらしい犬のキャラ弁だ。凄く凝ってる…。

「あ、ありがとう……でもこれ…………お……わ、私の姉が作ったものなんだ。

頑張って練習して作ってくれたの。」

 どうやら愛妻弁当ならぬ愛()弁当ってやつらしい。

 よく見ると可愛いだけじゃなくておいしそうだ。犬の目の部分は短冊切りのゆで卵、下はベーコンで、横にホウレンソウと栄養素も考えられている…。

 いいお姉さんなんだろうな……。

 そういえばアカリ先生にそっくりな()が……僕のにいた気がするけど、だったっけ……?

 その誰かを思い出そうとアカリ先生の顔をちらっと見て、僕は奇妙な違和感を覚える。



 ――そういえば、の感じとかこの立ちが、ではなく()の様なさを感じる……この妙な違和感はなんだろう?




※ブックマーク、評価、レビュー、いいね、やさしい感想待ってます…!!

この物語の『更新』は現状『毎週金、土、日』に各曜日1部ずつとなります。



■ ■ ■ ■

~FrG豆知識のコーナー~

■ ■ ■ ■

ナオト「(小声で)ホーリーってどこにアルバイトに行ってたんだろうな?あいつ、いつも偉そうだし……。」

メルカ「(小声で)噂だと事務員とか何とか……。」

ホーリー「ひそひそ話をしてェる暇があれば社会に役ゥ立つ勉強をしろォ~!そういうのが社会の不調を生むゥのだからァな!」

メルカ・ナオト「「は~い……。」」

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