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第55ゲーム『1時間前と探偵室での異変』



「…なんで、ホーリーが…………。」

 あいつまだ秘密があんのか!?

 政府関係者ってこと以外に何かあるのかよ!

『とにかく俺様たちはホーリーを訪ねに学校へ行く!

ナオト!ナミカ!お前らは王に頼んで、いつでも出発できるようにしておいてくれ!』

「わかった!」

 そう言って通話を切る。



 気づけば、時刻は午後十六時。残り二時間で出発だ。

 ハナビさんに動きはない……。

 タクロー達は大丈夫だろうか……。

 メルカとリュフォーがいるから大丈夫だろうが…………。





リュフォーの視点

 ■ ■ ■ 



 午後16時30分



 ホーリー……。

 僕の妹が消えた原因に何であいつがかかわっているんだ……。



 僕らはいまだに立ち入り禁止になっている学校の職員室を勢いよくノックする。

「ホーリー!いるか!?俺様たちだぜ!」

 タクローが叫ぶが返事はない。

 そりゃまだテロ事件が癒えていないからな……。

 学校には恐らく警備員や警察くらいしかいないだろう……。





 ……しかし時間がないな…………。

「……いったん探偵団アジトに向かおう。

とりあえずホーリーを探すとして……

もし十八時に間に合わなかった時用に、二人がログインできる環境を整えておきたい。

あそこにはパソコンがあったし、探せばVR機器くらいあるかもしれない。」

「マジ!?助かるぜ!リュフォー!」

「学校からログインなんて粋なことしてくれてありがたいの。」

「急ごう!」

 ボクらは探偵団アジトの教室へと向かう。

 薄暗く夕日が沈む廊下の中、3人だけの足音が響き渡る。



 ▽ ▽ ▽ 



「あいかわらず豪快に物々しいなここは。」

 教室のカギはボクが持っている。

 所長が渡してくれた大切なカギだ。



 ボクらが部屋に入るとだいぶ部屋が汚れている。

 いつものことだけど……。

「だいぶ散らかってるの……。

テロリストのせいと思いたいの。」

「所長のせいです。あとヒバナさんのせいです。

すいません……大体の物の配置は決まっていませんが、パソコン用品の場所だけは決まっているので……。

そこのロッカーの上にあります……。」

「もはやそれだけ決まっているのが異様に不自然だけど、今はとにかく感謝するの。」



 ボクはドカッとパソコンの用品が詰まった段ボールを机に置く。

 中にはLANケーブルやら、マウスが入っている。

「お宝さがしみたいだな!」

「ボクはパソコンにゲームをダウンロードしておきます!お二人はゴーグルを!」

「「了解!」」

 ボクは自分の席のパソコンを起動して、ゲームのダウンロードを始める。



 ▽ ▽ ▽ 



 ――20分後。



 午後16時54分。



「ゲームダウンロード完了!」

「ちぃと古い型だがゴーグル見つけたぜ!

これで一人は最悪ログインできるぜ!」

「「イェーイ!」」



 ボクとタクローが拳を重ねて喜び合っている中、メルカが鋭い目つきで明後日の方を見て小首をかしげる。



「…………。」

「メルカ……?」

「ねぇリュフォー……少し聞きたいんだけど……。」

 メルカはある場所を指さしながら、声音を低くして尋ねる。







「ここっていつから、開いているの?」








「へ……?」

 夜風でカーテンが揺れる。

 そういえばここの窓はずっと、木の板とかで侵入者が報復に来ないようにふさぎっぱなしだった気がするけど……。

 何故だか木の板が無く、人が通れそうなくらい窓が不自然に開いている。

「な、なんで……!?

木の板で侵入できないはずじゃ……。」

「……。」

 メルカは窓の淵を見ている……。

 そして窓ガラスの方を見ている……。

「鍵はかけていた?」

「うん……ずっとかけていたはず……。」





「リュフォー……タクロー……落ち着いて聞いて……。

これはおそらく……侵入されたんじゃない……この部屋から誰かが『出ていった』。」

「「え!?」」





 探偵団ボクらよりも探偵をしているメルカはボクらの目を見る。

「窓ガラスが割られていない。つまり鍵を外から開けていない。

侵入者の妨害用のバリケードだけど、外から破壊しようものなら必ずと言っていいレベルで『木くず』飛び散るはず。

でもその痕跡が無い。

つまり犯人は内側からバールのようなもの……つまり『くぎ抜き』を使ってバリケードを取り外した可能性が高い。」

 ……じゃあ廊下側から誰かがこの部屋に入って窓から出ていったってことだよね……。




「窓を破壊せず、なおかつバリケードの木の板をわざわざ取り外して出ていったところから考えると。

犯人は急いでいない。

だけど、鍵を使って扉から入りたくない。

誰が……そして何のために……。」

 ボクがそういうとタクローが大きく手を叩く。

「豪快にわかったぜ!ホーリーだ!

考えてみろよ!あいつは教師だ。この部屋のスペアキーくらい持ってる!

だが豪快に頻繁に出入りしてしまったらスペアキーが職員室にいつもなくて、みんながおかしいって不信がるだろ?

だからバリケードを外して窓から出入りできるようにしたんだよ!

どうだ?俺様の豪快な推理!」



 …………うーーーん、間違ってないように感じるけどどうも腑に落ちない……。

「動機……動機は?なんなの……?」

「…………豪快にこの部屋の~~……どっかにあるんじゃねぇかなぁ……。」



 ニャンタ→くり~む君→ホーリー……。

 消滅事件《code.M》は学校周辺を縄張りに変えた『ニャンタ』から始まった……。

 そこに学校関係者であるホーリーが絡んでいる……。

 更に忘れがちなのがホーリーは元政府関係者。

 テロリストに狙われるほどの大物。



 この前、ホーリーがいたがゆえに、あんなこと(テロ事件)があったばかりだし……。

 よくよく考えれば『何も関係がない』っていうのはさすがにおかしいような気がするなぁ……。






 …………あと1時間。

 ホーリーを探しくり~む君について問い詰めるべきか…………。

 それとも、この部屋の侵入者(推定容疑者ホーリー)について調べるべきか…………。

「ホーリー本人に聞いてもいいけど、うまいこと言われてはぐらかされるより、この部屋を調べて確実な証拠をあげるほうがいいの。

証拠さえあれば言い逃れできないはず……。」

「……そうだな。もし、その証拠でメルカの消滅が豪快に阻止できるのなら…………!」

 ボクは散らかった部屋を見渡す。

 すぐ近くにあったのに見落としていた何らかの手掛かり。

 妹を救うため、メルカたちの消滅を阻止するためにもわずかに疑惑があるなら晴らさないと……。



「問題があるなら、ここにはゲーム機が()つしかないってところなの…………。

1時間しかない状況で家まで戻ることもできるけど、手がかりを探すなら時間が無くなる。」

 …………そうだ!

「……なら、タクロー。君は家に戻って家からログインしてくれ。」

「え、なぜに俺様?」

「……最悪・・を想定してのことだよ。

阻止することが当然望ましい。

だけど……だけどもし失敗した場合。

もし仮に消滅が発生するならゲーム側からだけではなく、リアルの方でちゃんとそれを観測・・する人間がいたほうがいい。

メルカは消滅することが確定している。」

「……ッ。」







 ボクらは実際に現実世界で消滅していく人間を『しっかり見たことがない』。

 妹は気が付けば消えていた。

 ロウス、ルビも同じだ。

 しっかり見ておくべきだ。







「メルカがフロントライゲーム・オンラインで探索している間。僕がこの部屋を捜索する。

最悪の場合、しっかり消滅する瞬間を目撃する。

そういう選択肢は正直取りたくないけどね……。」

「…………お、お前の言うこともわかる……。けど……俺様…………腑に落ちねぇよ……。」



 うつむくタクローを見てメルカは背中を勢いよくバシッっと叩く!

「……!?」

「……タクロー。しっかりするなの!

あんたがここで頑張らないでどうするの!いつものように!豪快で馬鹿なのがあんたの長所でしょ!」

「……お、おう!!まかせろ!戻るぜ!家に!フロント(むこう)で落ち合おう!メルカ!」

「……うん!」

 タクローが大急ぎで外に出ていく。









「さてと……やるよ。メルカ。捜索開始だ。」

「さぁ、頑張るなの。」




※ブックマーク、評価、レビュー、いいね、やさしい感想待ってます…!!

この物語の『更新』は現状『毎週金、土、日』に各曜日1部ずつとなります。


■ ■ ■ ■

~FrG豆知識のコーナー~

■ ■ ■ ■

メルカ「実はメルカ、脱出ゲームとか得意なの!」

タクロー「あーー、100人が競争して脱出する時とか基本1~3着で脱出するよな」

ナミカ「大体、指示に従っておけばクリアするからこっちは何も考えなくて楽でいいよね。」

ナオト「それって脱出ゲームの醍醐味である推理要素なくない?」

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