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第48ゲーム【03Id ability_cAtZiP】



 まずい!さっそくか!?

「みんな!目をつむってしゃがめ!!」

 僕がとっさに叫ぶとみんなが目を閉じサッとしゃがむ。



 師匠は右手の中指、人差し指を顔のすぐ横に持っていき空中でギザギザとした雷の稲妻のようなマークのような挙動を描く。

 そして指を開きピース……ハサミのポーズを取り迫りくる電撃へとむける。

抽出蓄積(cAtZiP)……。」

 師匠は指を閉じ、電撃を『指で作ったハサミ』で切る。

 斬られた電撃は閉じた指の先へ集まり師匠の中へと吸収されていく。





 これが師匠の能力。





 エネルギーの種類を空中に指で描く。

 描いたエネルギーを右手の指で作ったハサミで切る。

 そしてハサミで切ったエネルギーを師匠が吸収する。

 師匠はエネルギーであれば大体どんなものでも吸収することができる。

 熱、運動、電気何だって吸収できる。

 そして吸収されたエネルギーは……。



「イイネェ……イイヨォ……。だろー少年?連勤明けの休日はこーじゃなくっちャァナ!」

「ああ、うん……。」

 師匠の生きるための活力に変わり怪力や思考力、感覚過敏など様々な状態を発揮しつつ師匠に蓄積される。

 そして大体の場合、性格がこういう風に『ハイ』になっておおざっぱになり、『ロー』の時とは別ベクトルにな人に変わる。

「ゲハハ!テメェら顔上げナ!もう大丈夫ダゼ!

どうやら棚にぶち当たって自分らにぶち当たる前に無参しちまったみテェダ!根性がねェナァ~~!!」

 あ~そういう誤魔化し方ね~……。

 ナミカらにそういう風に能力ごまかすのね~~……。

「え……ほんと……。

…………。

あれ?おっさん……。ハイになってる……?」

「おっさんじゃあァネェナ!ゲハハ!!」

 この状態はだいたい6~7割充電済みだな……。

「……これ…………誰?」

「ああぁんン!?」

「ヒッ……。」

 おもわず、スミさんがビビってしまう。

「ハイの時の、イトさんだよ?

職場でもたまに見かける。」

 職場でもまれにこれになってんのか……。

 ケムリさん……職場の方々、すまない……。







「自分のことはどーでもイインダヨ!だがナ、これだけでトラップが終わるとは、限らネェヨナァ!」

「……たしか、電気の後は毒ガスが2分後吹き出すはず……。

ボクら姉妹は大丈夫だけど、3人がやばい……。」

「……ここはあたいに任せな……。」

 スミさんはボストンバックを床に置き、望遠鏡とかカメラとかで使う脚立のようなものを取り出す。

「激走ユニットA-05起動。」

 スミさんの言葉にこう押して脚立がスミさんの下半身にまとわりついていく。

 脚立だった部分は少しずつ大きくなっていきスミさんに融合していく。





 そのまま高速で脚部が変形していった結果…………。





「……さぁ!突破するぞ!」





 まるでスミさんは下が金属のせいか、鎧をまとったケンタウロスの様に下半身が力強い馬、上半身が女性のようになる。

「あたしがドアをぶち破る!みんな!ついてきて!」

 闘牛とかで見たことがあるように前足を助走をつけるようにその場で蹴り上げる。

 そしてそのまま勢いよく突進していく。



「いくぞ!!デャアッ!!」

 アメフト選手なんかくらべもののならないほど、力強いタックルでスミさんはドアをぶち破る。

 吹っ飛ばされたドアが2、3回ほど廊下にぶつかり原型をとどめないほどだ。

 こんなのを人間が喰らったらミンチになる自信がある。

「こっちだよ!」

 ケムリさんがゲームを持っていないほうの腕を伸ばし、僕らを引きずるように走る!

 僕らも体制を立て直し、引きずられつつも全力で走る。

 前方でスミさんがトラップの壁やいろんなものを破壊していってる

「ゲハハ!!かけっこダ!!かけっこをしよーじゃねぇカヨォ!!ウォルラァアアッ!!」

 師匠!?馬脚で四足歩行のスミさんと同じスピードで走ってる!?

 そういえば師匠が電気を吸収した場合の効果は速度上昇じゃん!

 速すぎるだろ!?



 だが僕らが研究所を出るより先に隔壁が閉じていく!!

「あそこを抜ければ出口なのに!!」

「駄目!!間に合わない!!」

 このままだと毒ガスの餌食だ!





 師匠は勢いよく前方に積んであった箱を蹴り上げる。

「ぶっ壊れちまいナァッ!」

 待て!!師匠がさっき思いっきり蹴り上げた物体って……。

「おっさん!!マズイよッ!!」「師匠!!ソレッ!!」

「「爆弾!!」」

 ナミカと僕は蹴り上げた物体を目で追う。

 『どーみてもダイナマイトだろ!!』って感じの物体が箱に入ってた。

 それを師匠はハイになっているせいか、勢い余って障害物として蹴り上げたのだ!

 このままでは僕らを巻き込んで……。





 ――爆発する!!





03スナッチ・トワイライトIdアビリティ!!抽出蓄積(cAtZiP)!!

熱エネルギィーーーダァアアアアア!!

ヒィイイヤッホオオオオ!!」



 師匠は空中に爆弾のマークを描き、衝撃で爆発するはずのエネルギーをちょん切って自らに吸収する。

「エネルギイイィ!!満タン!!フルスロットルダアアッ!!」

 師匠が隔壁に向かって勢いよく地面を破壊しながら蹴りあげ、飛び上がる。

 速度はスミさんの比じゃない。

 まさに爆雷のようなスピードだ。



「フルスロットル!!パァアアアアアアアアンチ!!」

 師匠が隔壁を殴りつけると、その衝撃は後方にいた僕らにさえ伝わってきた。

 マグニチュード7のような巨大地震が起こった時みたいに立っていられるわけない。

 そんな衝撃に思わず、スミさんを含めて転げまわる。





 しばらくして粉塵が晴れると……。

 当然、その衝撃の発生源である。隔壁は粉々に砕け散っていた。

 そして手が少しだけ出血した師匠が立っていた。

 僕は当然無傷だが、ナミカはこけた時軽くお尻を打ったのか、痛そうに押さえている。



 師匠……相変わらずハイになると周りが見えなくなる……。



 昔の話だけど、師匠と僕は互いの能力がこうした理由で第三者に危害が及ぶ可能性があるとわかった時。

 互いに能力をむやみに使用せず事態を解決するという誓いを立てた。

 ピンチの時は周りを利用してできるだけ極力、自分の力を使わない。

 いざってときしか使わない。

 だが昨日のメールの言う通り、少し制限を緩めているような気がする……。







 ▽ ▽ ▽ 





「……はぁ。

エネルギー3割まで減少……みんな、帰ろう。

ナミカ少女、すまない。帰ったら少し手当をしよう。」

「あ、ありがと。おっさん……。でもお尻だから自分でやるよ。」

 ローに戻った……。

 僕らは研究所の外に出る。

 家路を突き進む。

「はぁ…失礼した。

まぁ自分は馬鹿力だから何とか切り抜けられたけど、危ないところだったな。

爆弾も爆発しなかったからよかった……。」

 師匠、その誤魔化し方でごまかせるのか?

「だよね~!イトのおっさん運がいいもん!力持ちだし!」

 それでごまかせてしまう妹の将来が兄は不安です。

「すごいじゃないの!イトさん!これからも会社でその馬鹿力を発揮してくれたまえよぉ~!」

「……はぁ、ケムリさん。少なくとも営業でこの馬鹿力は発揮したくないです。」

「とりあえず、このあと時間ある?

せっかくだから僕の家でやろうよ!お友達も連れてきてさ!」

「はぁ…いいですよ。」

「私は賛成!レビューだけで判断する系ゲーマーじゃないもん!」

「だね!」





 ▽ ▽ ▽ 









 ――ここで引き返しておけばよかった。



 この原盤(ゲーム)はある意味、危険なものだった。

 だが蒲公英姉妹がどこまで面倒な存在なのか、ここ数日でわかり切っていたはずなのに……。

 この姉妹の仲がどれほどややこしいか、今までのことを少し考えればわかったはずなのに……。







 結論から言おう。






 たしかに秘密っていうか……あまりにも大きな手がかりはあった。

 この消失現象(cord.M)や、テストエリアの秘密、フロントライゲーム・オンラインの秘密。

 それはこのゲームの真の遊び方と言ってもいい秘密だ。



 ――でも……。





 ――――――それ以上に失ったものが大きすぎた。


※ブックマーク、評価、レビュー、いいね、やさしい感想待ってます…!!

この物語の『更新』は現状『毎週金、土、日』に各曜日1部ずつとなります。



■ ■ ■ ■

~FrG豆知識のコーナー~

■ ■ ■ ■

数日前のハナビ『しかしラプラスの悪魔なんて……。ほかに『悪魔』っていう名前の思考実験とか概念とかあるの?』

数日前の??『ああ、あるぞ。それは『マクスウェルの悪魔』って呼ばれている熱力学を揺るがす思考実験だ。

1つの部屋に速い分子と遅い分子があるこの時は温度は一定だ。その2種類を、同じ種類だけの部屋にそれぞれ仕分ける。

元の1つの部屋にあったころと比べて仕分けると、速い方と遅い方……それぞれの部屋で温度に差が生まれる。

温度差が下がり続け上がり続けると、結果としてエントロピーが崩れ、熱力学第二法則に矛盾が発生する。

この仕分けをする架空の悪魔が『マクスウェルの悪魔』って呼ばれる。

詳しくはググレ、科学の思考実験は俺は詳しくない。

Idになってないことを祈るばかりだ。下手したらラプラスの悪魔を超え、滅ぼすことが可能だろう。』


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