第29ゲーム『5限目直前と崩壊』
――翌日。
死の予言当日。
昼休み。
予言は
【黒い水が来る。】
【空で枯渇する。】
【確定通達:堀岡 社太郎、蒲公英 灯、蒲公英 火花、光菜 波香、光菜 波音の五名は射殺される。】
の3つだ。
最後のこれは……なんだ?
僕だけが死ぬわけじゃない。
ホーリー、アカリ先生、ヒバナさん、ナミカ、僕。
5人……それになんだ?射殺って……。
都市の外には凶暴な動物とかを射殺するために銃を使うことがあるって聞いたことはある。
だけど、ここのような都市内で武器は使えないって製造会社や政府が禁止していたはずだ。
何だ……射殺って……。
そもそも予言は予言された上の行動を織り込み済みで伝える。
ということは僕を含む5人が死んでしまうことを僕は伝えなければいけない……。
言っていいのだろうか?
言うべきなのだろうか?
だって『今日、あなたは死ぬ』なんていう
残酷で
ひどいことを
僕は言えるのか?
大切な人や今日、一生懸命生きている人に……。
言わなければならないのだろうか…………?
「ナオト?どしたの?ご飯食べずに?」
ナミカが気に掛ける。
さっきからご飯が喉を通らず箸が進んでいないからか……。
「あ……いや……。」
言うべきなのか……。もう僕だけの問題じゃない……ナミカ達にも……。
「しかしアカリ先生、今日もここでご飯食べるんスね。」
「まぁね~。」
タクローが鼻の下を伸ばし机に乗せた胸をチラチラ見ながらアカリ先生と話す。
そして肝心のアカリ先生はよく僕の方へ眼を向けている気がするのは何故だろう?
やはり死の予言と何か関係があるのだろうか?
「アカリ先生のご飯おいしそうなの~。」
「キャラ弁だよね~。」
そして女子2名はアカリ先生のご飯……。
見た感じ割と量があるように見えるがとてもかわいらしいうさぎのキャラ弁だ。
ご飯に海苔を使いウインクした白兎、その周りに花柄カットの人参、ベーコンを使ってクラッカーから出てくるリボンを表現していて、デザートにウサギカットのリンゴで相当凝っていることがわかる。
量も見た目もすごいうまそうだ。
「姉ちゃ……長女が使ってくれたんだ……。
いくつになってもポンコツだけど、料理と水泳だけは得意なんだよね…‥。」
「水泳選手とかだったんスか?」
「う~ん。確か学生時代は水泳部に入っていたこともあったけど半年でやめて、家庭科部に入ったの。
複雑な理由とかは恐らくなしに、たぶん『ただ飯が食べられる』からっていう理由だろうけど……。」
野良犬か?
「まぁご飯はおいしいんだけどね。まれに嫌いなものとかが入ってるけどね。
ごちそうさま。
ほら、ナオト君もちゃんと食べないと、ナミカちゃんが作ってくれたんでしょ?」
「あ…………はい。」
――何だろう。不安になりすぎて味がしない。
僕は一生懸命、ご飯をかきこむ。
僕以外の全員が『ごちそうさま』と言い終わり日々を生きている。
この日常の中で人が死ぬ。
射殺される。
受け入れられない。
現実的じゃない。
こんな光景の中、そんなのはあり得ないじゃないか。
予言なんて信じられるわけないじゃないか。
だってあれはゲームなんだ。
ただのゲームのはずなんだよ?
信じられるわけないじゃないか。
悩んでいる間どれくらいの時間がたったのだろうか……?
「……ナオト。やっぱり何か悩んでるでしょ?」
「……。」
勘づくよな。ナミカは。
どれだけお弁当を食べても。こいつだけは勘づくんだ。
「黙っていても、私はわかるよ。
お母さんのおなかの中にいた時から一緒だもん。
わからないわけないでしょ?
とんでもないことが分かった時の顔。
抱え込む時はいつもその顔をしてる。
どれだけ無表情、平常な顔をしても無駄なんだよ?」
……ほんと敵わないな。
言うべきだな。
時計を見るとそろそろ5限目だ。
詳しいことは後で言う……として軽くでいい最後の予言だけはおかないと……。
「ナミカ……ありがとう。
実はナミカとアカリ先生にも話しておきたいことがあって……。」
2人はきょとんとしている。
「実は…………!」
――ジリリリリリリリィィィリリリィリリリリリリリリリリリィィィィィィ!!
僕が話そうとしたときだ。
奇妙な音が校内中に響き渡る。
火事の時になるサイレン音?
いやもっと大きく緊急性のあるような音……。
何だこの音……。
どんよりとした天気の中鳴り響く、不安を掻き立てる音。
クラスメイトのどよめきの中、いわれのない恐怖が響く。
「何これ……。」
「……。」
「先生?」
タクローがアカリ先生を見る。
「……ナオト君。話は後。
みんな!!教室にとどまって!!いいわね!?」
教室には5限目間近だったため受けるためにほぼ全員がいる。
いないのはごく少数だ。
その場にいる全員がアカリ先生の迫真ある声にたじろく。
「地震の警報じゃないよね……?」
「大丈夫、アカリ先生がホーリー呼びに行っただろうし……。」
「大丈夫だろ?誰かが火災報知器のアレをいたずらで鳴らしたんだろ?」
クラスメイトが口々に言う中、机にタクローが乗り上げて
「おまいらー!
なにか天気が不安定だしゲリラ豪雨的なのとか、土砂崩れがあって豪快な早退って感じだろー!?
豪快な不安になることなぁーし!」
そうタクローが言った直後だ。
音は唐突に止み。
教室の入り口からアカリ先生が入ってくる。
だがその後ろから黒づくめで、覆面をかぶりゾロゾロと銃を装備し防弾チョッキを着た連中が入ってくる。
それもアカリ先生へ銃口を突きつけて。
「くっ……。」
アカリ先生は苦虫をつぶしたような顔をしながら、後ろにいる男たちをにらむ。
教室は何人かが声にならない恐怖のあまり叫びを上げる中。
アカリ先生の後ろにいる男達の一人が教室の天井にサブマシンガンを向け、空砲をダダダっ!!っと発射する。
男たちは教室を取り囲むようにして
「静粛に。
ガキども!全員席に着け!!
死にたくなければな!」
こうして僕らの日常が銃声とともに崩れ落ち。
――死への秒読みが開始された。
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この物語の『更新』は現状『毎週金、土、日』に各曜日1部ずつとなります。
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~FrG豆知識のコーナー~
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???「やっぱり僕って天才!妹たちの嫌いな食べ物をそれとなくお弁当に仕込ませることで、いつの間にか苦手な食べ物0にしてくれる姉にありがたみを感じる天才的な作戦!」
妹たち一同「「「「うッ……口の中に違和感が……。(これ絶対、長女の仕業だ……。)」」」」
???「ありがたく思いなさい!妹たち!(邪気のない笑み)」




