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第2ゲーム『一つの失敗』



 ――試合開始。



 このゲームはサッカーと同様にポジション決めが要だ。

 相手のフラッグを破壊するか相手をせん滅する『アタッカー』

 自陣営のフラッグを防衛する『ディフェンダー』

 そしてどちらの役割をこなす『リベロ』

 これはゲームをこなしていくうちに自然と決まっていくものだ。



 そして…

「ミカ、聞こえるか?」

『大丈夫だよー、オト!』

 このゲームは4VS4VS4の各チーム四名、三陣営に分かれて戦うのだが、戦場である『フロント』にはしか行動できない。

 では残りのはどうするのか?

 この残りがこのゲームの特色であり要と言ってもいい。

 役職名は『オペレーター』

 この役職だけは、上記三つと違いシステム的に決まるのだ。

 このプレイヤーはフロントに出ない代わりに、フロントを俯瞰して見渡しつつプレイヤー間の指示。

 罠の設置と起動。さらには乗り物の操縦や数個しか持ちこめないアイテムの転送など諸々を裏から支えるポジション。

 また離れた距離でも敵の行動がすりガラスの様な感じだが、ある程度目視できるのだ。

 まさしくゲームの影の立役者だ。多くのチームがこのオペレーターの存在で勝負が決まったというアンケート結果が何よりの証拠だ。



 ちなみに僕らのチーム、荒波の家のメンバーは以下の通り。

 僕こと、オトがリベロ。そして、一応リーダーだ。

 ミカがオペレーター。サブリーダーも兼任している。

 クロスがアタッカー。派手に暴れる担当。

 メノがディフェンダー。拠点フラッグの最終防衛ラインだ。彼女が破られたら高確率でゲームオーバーだ。

 この四人が僕らのチームの構成だ。



 そして戦場である今回のフロントは空中に大小無数の岩が乱雑に浮いた『魔法石の空域』というステージだ。

 制限時間は約18分、フラッグが取られなかったらダメージ量で勝敗判定される。

 このステージは岩がランダムに上下左右いたるところに空中を浮いており、それを飛び石の様にジャンプして進むか、空中用装備で飛んでいくしか移動手段がない難易度が高めとされているステージだ。

 大体、互いのチームは1.5キロの位置に正三角形の構図で配置される。



 問題は、空中系統のステージは緑の柱国『アイビー』が得意なステージだ。

 陸戦が得意な赤の柱国『クリムゾン』は苦手なステージで、水中戦が得意な僕らの柱国『ホリゾン』はどっちつかずなことが多い。

 このゲームでは国家間でそういう三すくみが至る所に発生している。





『……うげっ…みんな!アイビーの連中、早速いつものやってるよ…。』

「大きさ、数は?」

 ミカが引きつったような声が僕らの耳元に届く。

 緑の柱国アイビーがなぜ空中戦が得意なのか…。それは単純だ。



『えー…空中重巡洋艦1隻、空中駆逐艦2隻。』



 あいつら緑の柱国の特産品は戦艦だからな。

「フルスロットルじゃないか!?さすがアイビー豪快だな!!」

 喜ぶなクロス。こっちはだ。

 別に駆逐艦クラス1隻だったら戦えないことはないが。

 流石にこの数は無理だ…。

 赤の柱国にぶつけて漁夫の利でフラッグをこっそり潰すしか勝ち目がない。

『赤の方は砲台が…1、2、3…。近寄らないほうがいいよ…。

数えるのが面倒になるレベルで砲台の要塞をいたるところの岩に作ってる…。』

 赤もか……やばいな……。

 距離は1.5キロほど…こっちも守りを固めないと砲弾が飛んできてフラッグを速攻で破壊されて退場だ…。

 僕らの守るべき『フラッグ』とはではない、バスケットボールぐらいの大きさをした楕円形の宙に浮く宝石だ。

 程々に耐久力はあるが戦艦クラスのレールガンのような高威力長距離で撃ち抜かれたらまずい…。



 ――まず、すべきことを考えないと…。



「ミカ!バリスタと鉄壁を設置!

メノはフラッグを背に全方位をできるだけ警戒してくれ!

クロスは僕とともに素早さアップのアイテムを使って、岩に隠れながらアイビーの戦艦へ大回りのルートで突っ込む!」

『了解。オト、クロス。グライダーを転送するね。メノにはガトリング砲を配置しておく。

敵が接敵するまではそれでけん制を。』

 僕の合図とともにオペレーターであるミカが拠点の周りに、鉄壁やガトリング砲を配置し拠点の攻防を高めていく。

 そして僕とクロスの攻撃部隊に空中ステージ移動用のグライダーを二つ用意してくれる。

『空路はこちらの指示用の矢印を出す。メノは敵の目視できたらすぐ撃っちゃって!』

 僕らは互いに了解のスタンプを押し、僕とクロスはグライダーに乗り込む。



 ▽ ▽ ▽ 



 6分後…。



「ここか…。」

「ミカ!みどりを目視!もういいか!?豪快に暴れまくりたいんだが!!」

『ちょい待ち!クロス、敵の行動はどうなってる?』

 僕らは点在する岩場の壁に張り付きながら敵のようすを見る。

 この空中ステージは落ちたら即刻退場だ。落ちないように慎重に手に力を入れる。

 VRだが『ハンドデバイス』のセンサーが反応し、極小モーターのおかげで岩に掴んでいる感覚が実際ある。

 慎重に手元に力を込めつつ、単眼鏡で敵の空中戦艦を見てみる。



 空中戦艦は僕らが隠れているような空中に浮いた岩を押しのけながら赤の柱国のフラッグへと進んでいる…。

ただし一隻はフラッグを守っているのか、あたりを循環している…。

「メノの方はどう?」

『今のところ変化はないね。今、フィールドの真ん中あたりで赤のけん制はあるけど、どうやら赤と緑が接敵し始めていてあまりこっちを本気で攻撃してきていないみたい。』

「なめられているじゃないか!オト!今ここでぶっ叩こうぜ!!」

 息巻くクロスに対して僕はこの状況を分析してとあることに気が付く…。



 ――確かに舐められているが…まさか、マジで漁夫の利を行けるのでは…?



 一つの気づきだった、つまり僕らがやるべきことはシンプル。

「ミカ全員へ伝達頼む、僕らは全力で逃げながら相手同士をぶつけあい潰す!

漁夫の利を狙って逃げつつ相手を軽くあしらい挑発しながら、弱ったところを叩く!クロスは特にHP管理を慎重に!」

『了解!コースを指示するね!

あと防御中のメノからできるだけ、私達の拠点から離れた位置で、挑発してほしいらしい!

流れ弾が一発でも飛んできたらやばいらしいよ!』

 強豪達と中堅には絶大な実力差がある。特にこういう板挟みな状況で下手な行動をとるとあっという間に退場する。

 こういいう時に戦闘バカであるクロスは全力で戦場で暴れたがると思いがちだが…。

 そこはゲーマー。感情に身を任せて行動せずあくまで冷静に確実に勝利へ挑むのだ。



 クロスは緑の軍艦を指さす。

「オト、俺があのフラッグを守っている緑の軍艦をひきつけつつ赤の砦へと誘導する。

いくつかのスキルを使えば、多分それなりに双方を共倒れにできると思うし…。」

「了解、その間僕がフラッグへ近づく、赤が弱り切ったところで緑のフラッグを破壊する!

いざってなったら、さっき買った『移動君ゼロ式』でクロスの元へ駆けつける!」

 僕らは互いにうなずき合い別行動をとることにした。



 思えばこれが()であった。

※ブックマーク、評価、レビュー、いいね、やさしい感想待ってます…!!

この物語の『更新』は初日の3部、1月2日第4ゲーム、1月3日第5ゲームを除いて基本『毎週金、土、日』に各曜日1部ずつとなります。

次の更新は1月1日午後20時頃にあります!


■ ■ ■ ■

~FrG豆知識のコーナー~

■ ■ ■ ■

オト「クランのランクが上がらないと1試合で使えるアイテムの種類は、一人当たりせいぜい15種類だったりするんだよね。」

メノ「中堅まで来たメノ達で大体、20~30種類くらいじゃなかったっけ?」

オト「そうそう、アイテムは試合ごとに取捨選択しなきゃいけなくて、アイテムに頼ってばかりいられないんだよね。」

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