第17ゲーム『一人の王』
――……翌日
昨日の予言は大したものがなく、
【国語の抜き打ちテストがある。】
【朝のニュースキャスターの言葉を覚えておくように。】
【洗濯物が乾かない。】
という内容だった。
朝のニュースキャスターの言った言葉が国語のテスト内容に直結しており、それが雨期に関する俳句の季語だった。
おかげで僕はいつもよりテストの結果がよく気分は快調だった。
予言もたまには役に立つ。やはりそれぞれの予言は1つの物事を差しているようだった。
そして僕は帰宅し、御前試合前でナミカとともに気合十分といった感じだ。
僕らが互いの部屋に入り息を整える。
「――行くぞ。」
ただ一言のみ発し僕らの戦場へと向かう。
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昨日、ログアウトをした御前試合会場、そこはこの国の中央。
すでに人だかりができており、何やら騒がしい。
まるでお祭りで僕はもみくちゃにされる。
――青の宮殿、広場。
「来たか、オト!」
大勢いる人だかりの中クロスを見つけた。
後ろにはカルビ、さっき別れたミカもいる。
ただし、どうやらメノはまだ塾で勉強中らしく今日はこれなさそうだった。
「なに……この……すさまじいまでのパッション!?」
「今日の御前試合の観客たちだよ!まったく豪快だぜ!」
それもそうか……御前試合、つまり王が来る。
このゲームに三人しかいない偉大なプレイヤー。
統治者で、人前に出ること自体滅多になく激レアだ。野次馬も出てくるだろう。
そして野次馬とともに王として皆で見物するというのがこのゲームでの御前試合だ。
ここで認められたら、強豪として名を連ねることが多いのだ。
「荒波の家が来たぞー!!」
野次馬の誰かが叫ぶ、確かこの声は製造業で僕らの拠点が贔屓にしている家具屋だ。
それに気づいた他の野次馬が僕らによってたかってくる。
「頑張れよ!」
「相手は圧倒的強者だ!」
「ゲンジョーは遠距離だけじゃないぞ!俺も相手にしたからわかる!」
「勝て!そして青の国に名誉を!」
そんな受け答えに愛想笑いをしていると、突然。
――パーッパラッパラッパパー!!
というラッパの音が宮殿の広場に響き渡る。
「皆、静粛に!これより御前試合を開始する!
クラン荒波の家、前へ!」
「はい!」
僕らは大臣に言われて宮殿の中央へ行き、玉座の前へ膝まづく。
玉座はきらびやかで金でできており、その左右に大理石の柱が四つ。
その玉座の裏には青い国旗。
さすがに緊張し僕らは生唾を飲み込む。
「頭を垂れ!控えおろう!
青の柱国ホリゾン!激流王!バイグス様のおなーりー!」
僕らはおそらく後ろにいる野次馬を含め、全員が頭を下げる。
床が擦れる音が聞こえる。
僕はちらっと眼を動かすと目の前に青いマントが揺れ、玉座へと鎮座する。
「面を上げよ。」
僕らは無言のまま、王を見る。
その王は少年のような顔と身長だが、明らかに強者と分かる威圧感とややがっしりした体型。
頭には子供の頭の大きさには不釣り合いな巨大な王冠。
水色のマントに白いシャツ、青いジャケット、黒い長ズボン、式部色の目。
頬に傷があり、とてもじゃないけど無垢な子供ではなさそうな幾千ものの修羅場をくぐってきたようなアバターだ。
青の王……この人が玉座でこれから僕らの御前試合を見るのか。
こういうのをなんて例えたらいいんだろうか……。
そうだ……正直言って『恐れ多い』という表現が今の僕らに当てはまる。
「よく着てくれた、荒波の家のメンバーたちよ。
我は激流王バイグスである。お主らの働きにより国家レベルの上昇が観測された。
ついてはこれより赤の柱国『クリムゾン』のクラン『テスラレッド』との御前試合を行うものとする。
準備ができ次第、運営に信用された王のみが所有する赤VS青の特殊フロントへ転送する。
決して恥をかかぬように覚悟をもって挑め!」
「はい!」
王の言葉に熱がこもっていく。
口調からこれは思っていた以上にどうやら大ごとらしく、目に滝のような勢いがある。
「荒波の家、クランマスター、オト!我が前へ!」
「はい!」
僕は王の目の前に行き、再び頭を垂れる。
そして王は僕の耳元に口を近づけ優しく耳打ちをする。
「(僕にしか聞こえないほどの小声で。)
よいか、必ず勝て。
そして明日のパーティをこっそり抜け出し宮殿の中庭にお主だけ来い。
現状、お主の仲間にも話を知られたくない。
お主も我も互いに語り合わねばならん。よいな。」
僕は小さくうなずく。
王は元の声量で見物客に告げる。
「今回のレギュレーションは互いの力量差を考え!
一人にき個別に扱える消費アイテムは二つ!
スキルは二つのみ!
オペレーターが召喚できる乗り物は一つ!
防壁や大砲は合計四つまでとする!
フロントの環境は、『高層ビルエリア_404』!」
今回はアイテムやスキルが極端に制限されている。
ようは考えて行動しなければいけない。
環境も実は初めて聞く特殊なエリアで、名前だけでしか見当がつかない。
少しワクワクする。
王は僕の目の前にウィンドウを出現させる。
そのウィンドウには『GO』のボタンがぽつんとある。
「オト、そろそろ向こうの準備が整う頃だ。ここを押せば始まりだ。
覚悟はいいか?」
「…………。」
僕は少し息を吸い込みチラッと仲間を振り返る。
緊張しているようだが、準備万端のようだ。
「はい!荒波の家!出動します!」
僕はボタンを押して、御前試合へと出撃する。
「………………Mを止めろ、その予言書は三つのカギへの――」
フロントへ転送されていく中、ただ王は何かを小声で言った気がした。
途切れた言葉は僕らを何かへ導いている気がした。
――そして思えば僕らの日常から、すでに深紅の鎧との闘いはすでに始まっていた。
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この物語の『更新』は現状『毎週金、土、日』に各曜日1部ずつとなります。
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~FrG豆知識のコーナー~
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勉強中のメルカ『みんなどーしているかなー……。
噂によるとテスラレッドのゲンジョーは、プレイングスキルが高いってことで有名だったはずなの。
人間離れしている神業しか出さない男とか聞いてことがあるの。大丈夫かな……みんな……。』




