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第14ゲーム『4丁目と超絶怒涛破滅的爆弾猫、捕獲作戦!』



 リュフォーとヒバナさんに、僕らが案内されたのは旧校舎の2階の教室。

 僕とタクローは瞬時に悟った明らかにやば目な雰囲気を出しているその教室に。

 探偵団って名前かもしれないけど、やっていることは『傭兵』とか聞いていた。



 ――だが内情はもっとひどそうだ、その教室はスプレー缶で落書きされており、あちこちに『出テイケクソ探偵!』『許サネェゾ!』などの張り紙が貼られており、窓ガラスが割れてボロボロの机が教室の前に積み上げられている。

 どう見てものいていい場所ではない。まるで暴力団の事務所か何かに来てしまったかのような居心地の悪さ、場違い感が半端なかった。

 それと同時に何でおとなしそうなリュフォーや、ヒバナさんがここに所属してるんだ??という疑問が出てきた。

「「失礼しまーす。」」

 二人とも躊躇がない!さすがにこの異様な雰囲気の中、物怖じしている僕は口をあんぐりと開け、明らかに魔窟とでもいうべき教室に堂々と入っていく二人にちょこちょこと着いていった。

「お邪魔しまーす。」

「豪快なこの俺様が邪魔するぜー!」



 教室に入るとそこは物々しい廊下側とは違い、雑多な印象を受けた。

 どこかのファンシーショップ化とでも言いたげな大きなぬいぐるみ、だるま、カラーコーン、部屋の隅から微妙にずれた位置にあるロッカー、明らかに斜めっている教卓机。などどう見てもカオスな空間が僕らの目の前に広がっている。

 そして傾いた教卓には一人のファンシーな男がいた。

 体型は長身で針金のような細い体型に高い鼻

 服装が大胆そのもので、いくら自由度が高い高校とはいえ紫のスパンコールを着たアフロヘアーに小さな黒いハットを乗せていた。

 男は目を細めた、俗にいう糸目でありポテトチップスを口に器用に加え、僕らをニヤリと見つめていた。



「ガハハ!ようこそ!協力者のゲーマーさん達よ!

ワガハイは、この探偵団所長を務めている西岩ニシイワ 法矛頭ホウムズってもんだ。

まぁ所長でよい!適当に腰かけてくれたまえ!」

 所長であるその男は図太く堂々と、傲慢さを隠さずに僕らに名乗る。

「僕らは……。」

「2年2組、ナオトにタクローか、同じ組のナミカとメルカ、2年1組のルビはいないのか……。

ま、事情は把握している。」

「もう事情は……。」

「話は手っ取り早くがワガハイたち探偵団の流儀でね。

だが貴様らの協力の前に、先にやらねばならん依頼があるんだ。」



 ?



「そのやらねばならない依頼って?」

 僕は興味本位で聞くと所長は一枚の写真を取り出した。

 そこには口に風車を咥えた一匹の太った猫が写っている。



「この猫を捕まえることだ。」



 ▽ ▽ ▽ 



 猫……。僕の脳裏に予言がよぎる。

「あの~ただの猫が俺様たちの事件より重要なんっスか?」

「まぁ聞き給え、この猫はな厄介な猫なのだよ。」

「「?」」

 僕らの頭上に?マークが浮かび上がると、所長は顔の堀が深くなり、やたら低い特撮の解説風な声でこういった。





「この猫こと、爆撃にゃんこー=くり~む君1号は改造にゃんこーである。

彼を改造したゴロニャーは、世界征服をたくらむ悪の秘密結社である。

爆撃にゃんこーは猫の自由のために、と戦うのだ!」



 ――……ん?んんん??今、なんか妙な点が……いっぱいあった、よな。



 ゴロニャーって何?改造にゃんこーって何ぞ?爆撃にゃんこーって一体、何??

 そして一番肝心なのは…………この猫もしかして特撮にありがちな秘密結社に敵対するとかではなくて……()()に敵対するってことは……。



 ――……めちゃくちゃ、わかりやすい人間の敵じゃないか!!






「闘え!爆撃にゃんこー!人間を撃ち滅ぼすその日まで!」

「豪快にな!」

「「「滅ぼそうとせんでください!」」」

 全員が所長とタクローのボケにツッコミを入れたのち、僕らはその爆撃にゃんこー『くり~む君1号』とやらについて詳細を聞くことにした。



 ▽ ▽ ▽ 



「くり~む君1号

ジャンプ力、一跳び30.0m

走力、100mを1.2秒

猫キック力、30t

猫パンチ力、50t

必殺技は、猫パンチボンバー。

愛車は『ニャイクロン号』という名のスーパーとか倉庫とかで重いものを運ぶ荷台だ。

これに乗り、口に咥えた風車が廻ると変身する。」

 日曜朝によく見るタイプのヒーローみたいな概要だ……。

 写真パッと見て虎柄のデブ猫だけど……。



「当然、猫なので会話は通用しない。気が向いたら人を襲ったり襲わなかったりする。

猫じゃらしが弱点だ。極めてトレンディな奴さ。」

 まぁ猫だし気まぐれなんだろうな……。

「攻撃を受けたものは突如、『閃光のような光とともに放たれた爆撃』で火傷を追ったりする。

被害者はまるで『火の玉や花火』が出現したかのようだったと証言をした。」



 ――閃光のような光とともに放たれた爆撃……??火の玉や花火??



 それって僕らの教室を半壊させた小さな太陽のことじゃないのか?

 だってあの火球は明らかに、そういった類の攻撃だぞ……?

 なら教室を襲った犯人はこいつってことじゃあないのか!?

 この平凡な町に、あんな火の玉を出せるなんて……そうそういないだろう。

 被害者と僕らの教室の状況もある程度合致が行くし合点がいく。



 はは~ん、話は読めてきたし繋がってきた……。

 ゲームで培った灰色の脳細胞がフル回転し状況が理解できた。

 ゲームとかマンガでよくある展開だ。

 予言はこいつを捕まえるためにあると仮定すると、あれらの予言の意味がわかる……。







 ――つまりあの()の予言はそれぞれ別のことを差しているように見えて、本当は()のことを間接的に指している可能性がある。



 だが、そうなると少し疑問が残る。

 ナミカたちのことだ。

 ナミカたちは何かをしにどこかへと今、揃って移動している。

 ほんとにどこに何をしに行っているのかはわからないが、もしそれぞれの予言が今日一日に関連した何かの事件に関連するものであるなら、ナミカたちの予言も絡んでいる可能性が少なくともある……。

 女性たちが喫茶店の近くにいるというのであれば……。







「ナミカが危ない!!」






 ▽ ▽ ▽ 



 僕は事情を説明しつつ、探偵団の所長とヒバナさんとタクローとリュフォーとともに喫茶店の路地裏にやってきた。

 ただし少し大げさな猫の檻などを用意しているけど。

「ここに爆弾猫が……。」

「僕の仮説が正しければここにナミカがいると思うんだけど…。」

 だが先に発見したのはナミカの方ではなく……。

「みんな!アレを見ろ!!」

 路地裏の曲がり角から高速に車輪の転がる音とともに、奴は現れた。



 事前の説明通り、倉庫で使われる荷台に乗り、口に風車を咥えた体重6~8キロはありそうな巨体に虎柄のデブ猫、くり~む君1号だ!

「シャッァ~~!!」

 しかも相当気性が荒く威嚇をし、曲がり角をドリフトをし直線的にこちらへと真っすぐ向かってくるではないか!

「こ、こっちへ来るぞ!」

「俺様に任せろぉ~!!豪快に捕まえて…」



「にゃにゃぁんッ!

(変身ッ!)」

 タクローが猫へとびかかろうとした瞬間、猫はその巨体からは考えられないほどの大ジャンプをし、口にくわえた風車からまばゆい特撮的な光が放たれる。

 すると、くり~む君1号はデブ猫から、身長は猫のままなのに無茶苦茶ムキムキの直立二足歩行し、プロレスラー風のマスクとボクシンググローブを付けた、いかにも()()()()()()()に変身した!

「にゃんにゃー!

(ワンツー!)」

「ぶごッ!だッ!がぁ!」

「タクローーーー!!」

 タクローは猫にとびかかろうとした際に見せたわずかな隙を突かれて、みぞおちに一発、顎に一発、おまけにニャイクロン号とかいう荷台に引かれて三発もらい裏路地に倒れ伏す!

 見事な猫パンチの手際に感心してしまうが、明日は我が身と言う言葉を思い出し、僕らは急いで距離をとる。

 タクローは地面にうずくまり悶絶して動けそうにない。

「にゃにゃーあん!

(人間どもめ)

にゃにゃにゃぁぁ!

(これで決めてやるにゃぁぁ!)」

 何を言っているのかわからないが……。

 マッスルポーズを決め込んでいるあの感じまるで格ゲーでよくある『溜め』のようだ……。

「にゃっにゃにゃ!

(必殺!)」

 猫の二の腕?前足?が神々しく光ってる……。これは……まずい!!







「伏せて!!」

「にゃにゃんにゃーーーーーーー!!

(猫!パンチボンバーーーーーーー!!)」

 くり~む君1号の両前足が、僕らへ伸びると同時に勢いよく放たれたのは、摂氏数百度はあろう爆炎が僕ら4人(あと地面に倒れているタクロー)に襲い来る!


※ブックマーク、評価、レビュー、いいね、やさしい感想待ってます…!!

この物語の『更新』は現状『毎週金、土、日』に各曜日1部ずつとなります。



■ ■ ■ ■

~FrG豆知識のコーナー~

■ ■ ■ ■

リュフォー「そもそもこのくり~む君は改造前は飼い猫だったんですか?」

所長「いや……なんていうか半ノラ猫というやつでな……。いろんな家にふらりとやってきて餌をたかる奴だったらしい。

だが、ノラ猫に餌をあげるなっていう自治会の命令のせいで、こいつは食いっぱぐれて人を恨むようになったらしい。」


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